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最強傭兵団でこの先生きのこるには  作者: 蛇色の海
フローデ・・・イタリア語で詐欺
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26/27

お祭り騒ぎ

外に出るとそこに広がっていたのは収容所の陰湿な空間とは別世界だった

収容所で聞いていた音楽は外へ出た事で爆音となって耳に突っ込んでくる

誰も彼も半狂乱で踊り狂う傭兵達に

露出度の高い服で踊る女性達

彼女達は一体どこから来たんだ?


いつのまに用意されたのか小高く作られたステージでは

ドラムやら、バグパイプやらその他あらゆる楽器を演奏する人が集まり即興でノリのいい音楽を奏でている

更にそこら中に緑やら赤やら黄色やらカラフルな照明が付けられてまるで昼間のように明るいのだ

遠くにはごうごうと燃える火の塊も見える

そんな中で

男も女も体を激しく揺らしながら

酒を飲んで食べて楽しんでいた


「さあー今日はトラットリア商会の全部持ちだよー!!

やけくそだー!飲んで騒いで嫌な事全部忘れろー!」


トラットリアさんがステージで酒をラッパ飲みしている

横には鍛え上げられた肉体の傭兵達が

ファイアーダンスを踊っている

こういうのを酒池肉林と言うのだろうか


「な!こんな日にあんな所で転がっていたら損だって!

とりあえず駆けつけ三杯だ!やれやれ!」


ジュリィ団長はその辺の傭兵のグラスを奪いとると

俺に押し付けた

俺はそれを一気飲みしてみせる


「おお!あげあげだねー!いいよいいよー!

ようユーリ!エリオ君連れて来たぜ!」


「おおお疲れエリオ君!兄貴もルチオも!

ガンガン飲んでたべよ!

トマトも肉もいっぱいあるよ!」


俺たちはすぐ近くで酒を飲んで肉を焼いていたユーリ団長達と

乾杯した

ユーリ団長は派手な花柄のシャツにハートの形をしたメガネをかけてトマト片手に肉を焼いている

そして隣に寄り添うキーリ副団長は青色を基調とした落ち着いた柄の浴衣を着ていた

浴衣!なんでこの世界にあるんだよ!

しかも王女殿下いるよ!

こっちも浴衣だよ!


「お疲れ様、突撃隊長

あなたお姉様の服も脱がしたんですってね

ふふ、うらやましい」


「ちょっと何言ってるのレスビカ」


酒が入っているからだろうか

さっきまでの緊迫した雰囲気とはまるで違った様子の

王女殿下にどう返事をすればいいのか俺は迷った

ああ、先ほどはどうも、と軽く会釈をして

間を持たせようと

団長にこの場にいない連中について聞く事にする


「ベルとかチカチーはどうしてるんですか?」


「ベルは天幕で寝てるよ!

エリオがどうとか言ってたぜひゅーひゅー!

チカチーはソシェと一緒に色々見て回ってるよ!

あいつらどんだけ仲がいいんだよ!

ほらエリオ君飲め飲め!」



ユーリ団長はキーリ副団長からグラスを奪い取ると

俺に押し付けた

俺はそれを

まて、キーリさんのグラスだと!!!


俺は邪魔が入る前に一気にそれを飲み干した


「エリオ君大丈夫?あまり無理に飲まないほうがいいわよ

昼間の私なんてついつい熱くなっちゃって、、、

余り思い出したくないわ」


俺は自然な動きでキーリ副団長にグラスを返した

「いえ、昼間の副団長すごかったです、俺もあれくらい強くなりたいです、はい」


ふふ、ありがと、と副団長は笑って俺の渡したグラスを新しい物に取り替えた

なるほどそうですか


ジュリィ団長はトラットリア商会の従業員達が陣営地を酒やら肉やら持ってうろうろしているのを捕まえてごっそり肉と酒を確保する

俺はそれらをもらいながらも

ユーリ団長と一緒に肉を焼く手伝いをした


何て賑やかなんだ

俺たちの背後では花火が夜空に花開き

パッと空が明るくなるとドォンと腹に心地よい衝撃音

夏祭りの時のような香ばしい匂いに包まれていると

俺のせいで傭兵団が

この場所から去らなくてはならないと言う事を

忘れてしまいそうになる

そのかわりについさっきまで旅に出ようとしていた事を

思い出していた

俺はここで言うしかないと

思い切って切り出した



「団長達、、、それにキーリさん、、、そして王女殿下

すいませんでした!

俺のせいで傭兵団は、、、」


「何言ってるんだよ?何も問題はないよ?こういうのは

俺たち結構慣れているからよ!はっはっは!」


ユーリ団長がフォローしてくれる

その心遣いが胸に響く


「慣れているって言ってもまた新しい戦場を見つけないといけないんでしょ?それって大変な事じゃないですか?」


俺の発言にキーリ副団長はくすっと笑った


「エリオ君まだ何も聞いてないの?

私達は何も問題ないのよ」


副団長まで気を使ってくれて

俺は申し訳ないと思いながらも

肉を食べる手が止まらない

一杯食えよとユーリ団長はわんこそばのように次々と肉を盛り付けてくれる


「だからそれはみなさんが色々な戦場を渡り慣れているからで

結局陣営地は引き上げないといけないんじゃあないですか?」


ふぅと一息ついて

話そうとするキーリ副団長を

王女殿下が制した


「お姉様、私から説明するわ

フロメルの突撃隊長

私はこの場所で行われている事

それを帰っても報告しないつもりよ」


俺はぽかんと口を開けてその場で立ち尽くしてしまった

近くを通る水着を着た女の子が竹で作った水鉄砲で俺の口に向けて酒を発射してくるのでかっと喉が熱くなる


キーリ副団長はじんわりと油が浮いてきたコブクロをトングで返しながらその時の話を俺に教えてくれた



―――エリオがベルと一緒に飲みに行く少し前―――


レスビカ王女と私はその辺に転がっている傭兵達をそれぞれの陣営地に返し、二人きりで話をしたの

王女の要望で少し離れた場所にソシェが居たけど

彼女の位置からは二人の会話は聞こえなかったでしょうね


「つまりあなた達は戦っている振りをして

領主から給料を騙し取っているって事?」


「端的に言うとそうですね」


レスビカには私から傭兵団の秘密を

事細かに説明したわ

できるだけ語弊が無いように


「レスビカ、何も悪い事ばかりじゃあないわ

アリアート・メルチェナーリョがいればこそ

アルトリゾネ帝国は

コリナポルタへ進軍してくることはないのだから」


「、、、どういう事?」



「私達とアルメルの関係をアブラモ卿は知らない

大してアルメルの雇い主レチニオは私達の事を知っています

その上で協力している我らがいなくなれば

本格的な帝国軍の侵攻は時間の問題」


レスビカは私の話を聞いている間ずっと

険しい表情を崩さなかった

私は更に続けたわ


「言うならば私達は国境警備兵よ

いつ迫るかもしれない危機に対する保険

確かに普段は戦っている振りをしているけど

もしも本当の危機が迫れば傭兵団一丸となって戦うわ

私達がいるからこそ領民の血が流れずに済んでいる」


私の真剣な眼差しにレスビカの表情が若干和らいだわ


「、、、一理あるわね

だけど今日の出来事を秘密にしておく理由にはならない」


駄目かと思った、次の言葉を聞くまでは


「、、、もし理由があるとするなら傭兵団の人柄ね

傭兵団の団長が領民と一緒に作物の収穫?

ありえないわ

戦争の振りをしている以上にありえない

そんな傭兵は物語の中でもありえない」


彼女は3回もあり得ないと言う言葉を使ったの

更に続けたわ


「私はね、傭兵って嫌いなの

私の知っている傭兵は金に汚く

嘘八百、まああなた達も嘘をついていたけど

まあ嘘八百、粗暴、乱暴、酒乱、イカサマ、

領民への脅し、暴力、強姦なんでもあり

糞のような連中って認識だった

だからこそ驚いた

あまりにも、、、あまりにもあなた達の傭兵らしくなさに」


彼女の言う傭兵像はまるで間違っていなかった

ただし私達はそれにあてはまらないけどね

私は黙って彼女の話を聞いていたわ


「だからこそ信じられなかった

領民が、傭兵団の陣営地に遊びに来たり

傭兵団が領地の街で畑仕事を手伝うなんて事

私はここへ戦場を見に来たのよ?

まさかこんな物が見れるなんて思っていなかった」


「レスビカ、、、」


「いいわよ、お姉様

あなたの傭兵団はきっとこの街に必要なんだと思う

私とソシェだけの秘密にしておくわ

その代わり、、、」


「その代わり?」



―――再びBBQ会場―――


キーリ副団長は十分に焼けたコブクロを俺の持っていた取り皿へ

乗せてくれる

「それで彼女は納得して私達傭兵団はこの地に

残れる事になったのよ」


そうしたまた新しい肉を乗せて焼き始める


「え!終わり!?」


「ええ、終わりよ

傭兵団はここへ留まれる事になった

めでたしめでたし」


「ええと、そ、そのかわりなんなんですか?」


キーリ副団長はにっこり笑った


「副団長を借りるわ、コリナポルタ王立海軍にね」


俺は顎が外れるかと言うほどぽかんと口を開けた


「ええ!じゃあ副団長は」


「しばらくレスビカと一緒に海賊退治ね

まあ傭兵団は心配いらないでしょ

頼りになる新人もいる事だし」


そう言ってキーリ副団長は俺の取り皿にぽいぽい肉を乗せる

団長が野菜も食えよとトマトを押しつけてきた


「はっはっは!これからはエリオ君にたくさん働いてもらわないとな!」


「大丈夫よ突撃隊長

お姉様は少しの間だけ手伝ってもらうだけだから

、、、ここだけの話なんだけど刺青頭皮のハリーアダムスって

男を最近捕まえたの

彼の頭の刺青は宝の地図になっているらしいのよ

その場所を見つける事ができればコリナポルタの国庫は

潤う事になる

その為には協力な助っ人が必要なのよ」


「そう言われても、、、不安ですよ

頼りになるったって、、、俺は暗殺団に間違われたり、傭兵団のやっている事がばれる原因を作ったり、、、」


「あらあなたが暗殺団だとはあまり思っていなかったわ

特に刺客を殺す事を躊躇った時に確信した

ああ、この子にそういった事はできないなって

まあ戦場でのいきなり脱がされたのは

少しびっくりしたけどね」


少しびっくりしたぐらいで済むんだ、、、

俺は蒸し返されるかと思っていたのにラッキーと思った

愁傷な態度で詫びをいれておこう

「その件については本当にすいません、、、」


「まったくです。まだ顎がじんじんします」


ここぞとばかりにルチオさんが追撃してくる

彼女は、はふはふとリンゲルをしゃぶっている


「まあまあ過ぎたことだ!これからの事!考えよう!

傭兵団はこの場に残れる!明日からも飯に困らない!

良い事づくめじゃないか!おしエリオ!陣営地回るぞ!

付き合えよ!」


そうして俺はジュリィ団長に手を引かれて

BBQ会場を回る事にした

そこから先の記憶はあまり定かではない

確かなのは目覚めた時ペイシュパルデの平原にいた事だ


ハリーアダムスはカットスロートアイランドって映画に出てくる海賊の名前です

この映画でスタジオの経営が傾いたらしいです


リンゲルは豚の内臓です

興味のある方はどの部位か調べてみてください

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