陣の忠誠〜後編〜
「ぅ…ぁ…」
「アルヴッ!」
起きて目の前に出てきたのはティナ。目が泣きすぎている事を伝えてくる。
ずっと、泣いていたのだろうか…。声も少し枯れている。
「ご…めん…」
「よか、った…うぁぁぁぁん……」
ああ、まだ、生きてるのか…。でも、あそこで死んでたらさすがになぁ…。
ここで聞いた事のない声が聞こえる。
「アルヴ様、少しお話を良いでしょうか?」
「……?誰…」
耳が長く、髪は薄い緑、地球でのエルフのまんまの姿だった。
目が真紅なのはなぜだろうか?
まあ、そんなものなのだろうとアルヴは自己解釈する。
「ああ、名乗っておりませんでしたね。
私はアルヴ様から造られました、『薔薇の城』です。
そうですね、呼びにくいなら『ローズ』とお呼びください」
「君も、ヒヒイロみたいな…認識で…いい…?」
「原初に帰ればアルヴ様の魔力から造られたのでそうなります。
術式が魔力を込められるうちに周りの残留意識を集め、固まっていったのが私となります。アルヴ様の魔力はとても濃く、固まりやすいので結果私が生まれたのです」
説明は分かりやすかった。
魔力が濃いのはもともとのスペック。魔力量が増えたのはスペックに合わせて魔力貯蓄領域が広がっていったからだった、気がする。
意識を持っていたのは造られた当初からだった。僕はあの頃魔力量を増やし、使い、術式を構築、編み出したりしていたため沢山魔力が浮遊していた状態だったらしい。ある一種の領域と化していて魔物でさえも近づくのを躊躇っていたとか。
まあ、その僕の魔力を込められるうちに魔力は溜まり、周りからも魔力を少しづつ吸収。擬人化できたのは僕が『水素爆発』を放った後らしい。あれのおかげで魔力や残留意識が溜まり、固まり、人格が形成された結果僕を崇拝するようになったらしい。
「なるほど、ね」
「ところでー」
「いや、『あの』話はまだいいだろう。時間が早い。
成人してからでもよかろう」
ヒヒイロがスラスラと話したので驚く。
あれ、こんな流暢に話せてたっけ?もうちょい片言だった気がする。
「済まぬな、マスター。話せてはいたが疲れるのだ」
「そうなんだ、ところで、ここ、どこ?」
自然溢れる場所に僕は何かの花弁のようなところで寝ていた。
周りには大自然があり、小さい滝や川が心地よい音色を奏でていた。
「ここは『薔薇の城』内部です」
「?え、嘘、でしょ?」
「本当だよ、ここは『薔薇の城』だよ。
ちゃんと見た目も変わってないもん」
「うん、分かった、から、ちょっと、離れて」
さっきから体をギュッとされ少し体が悲鳴を上げている。
「やだ、こうしてないとまたどっか行っちゃいそうで…
怖いから」
涙目でうるうるされながら言われて断れなかったため、分かった、と言う意味を込めて頭を撫でる。耳も触りながら。
「?(また…?)」
「今度は、どこにも行かないで」
「あ、うん。分かりましたよ」
ティナの可愛さに負け、結局疑問は解決せずに終わった。




