陣の忠誠〜中編〜
最近疲れる事が多くなりました。これって夏バテ…?
耳長の美女がアルヴの元へ歩み寄る。そして、アルヴを泣きながら抱きしめる。
「ああ、アルヴ様。こんなに痛々しいお姿に…」
眩い輝きを放ち、抱きしめたままの状態を保つ。
そして体を離すと貫いた部分は完全に癒え、毒々しく色が変わっていた部分は仄かに輝く程度。
「さて、私はアレを片付けるわ。ヒヒイロ、アルヴ様を頼みました」
「ACCEPT。マスターを守護する事を最優先とする。
展開、:防護:反射,魔法:」
アルヴを抱えたゴーレムに見える鎧騎士が使ったのは魔法。しかも人類が初めて見る使い方。用途を唱えただけで使えるそれは異常だった。
しかし、それ以上にデタラメなのがこの美女だった。
「"帰りなさい"」
なんとあの紅く蠢く蛇のような物が美女が一言言っただけで鎮静化し、薔薇の城|(正式名称をティナ以外は知らない)へと帰って行き、取り込まれたのだ。
「まったく、造り主へ手を挙げる魔術陣なんて物は要らないわ。
だからこそ私がいるというのに…、気づいていないのだから仕方のない事だけれど…
正体を明かしたほうがよろしいようですね」
そこでちらっとアスタルテとティナを見ると、
「貴方達も来なさい、知っているから入れてあげるわ」
美女は微笑みながら言った。
その微笑みが崩れたのは次の言葉だった。
「お、おい!アレは魔族だ!魔族が助けに来たんだ!
あいつらを倒せぇっ!」
こう言ったのは館から出てきた騎士だった。
薔薇の城へいく途中のヒヒイロ目掛けて魔法がいくが、当たる直前でなぜか反転して、発動者へ戻っていく。
その時の美女の顔は微笑んではいたが目は笑っていなかった。
「あらぁ…一度ならず二度までアルヴ様を攻撃しましたわねぇ…」
美女が目の前から消えた。と思うとアスタルテとティナを抱きかかえ、もう一度消える。
そして出てきた時に冷たい目で、
「これを使うとここら一帯干からびますが構いませんね…
ではぁ、いきましょう。
:死の吸収:」
すると魔術師団達は干からび始め、近くにいた騎士達も崩れ落ちた。
唯一無事だったのは王女だけだろうか。
もうすでに気を失っており、起きた時には惨劇を見る事となるだろうが。
「はぁ、やっぱり『魔王へとなられる』のですね。止めていたのに、無理でしたか」
美女はそれだけ言うと薔薇の城へ帰って行った。




