前世を思う魔術師
ちょっと暗く、悲しいです。
「(…ねえ、響〜!起きてー、起きてってば!)」
「(あと30分…)」
俺はベッドに横になり、もう一度眠ろうとする。
「(遅刻しちゃうんだってば!早く!もう…えいっ)」
「(どぅをわぁっ!痛ーな、何すんだよ)」
「(起きないのが悪いんだもん)」
「(あーはいはい、あ、怒った顔も可愛いですねー)」
「(にゃっ、お世辞でもそういう事はいわにゃいで!)」
「(いわにゃいで(笑))」
プンスカ怒っているが顔が紅潮しているためあまり怖くもない。
「(ふん、もうしーらない)」
「(あははは、__をからかうのって面白いな)」
__、あれ名前が分からない。とても好きだった、__。__誰。誰だ。誰なんだ。__は誰だ!顔は出てくる、でも名前が分からない!好きだったのに、忘れている。なんで、なんで思い出すだけでも、こんなに胸が締め付けられるのだろう。
ああ、死んだ理由には__の事もあったのか。でも、良かった、助けられて。
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「ッ!」
ガバッと机から顔を離す。どうやら少し寝ていたようだ。日が沈み、時計は8時を指している。ふと、窓に映る顔を見ると泣いていた。
「な…んだ……、今、の」
なぜ、こんなにも意識が混濁しているのだろう。この引き裂かれているような苦しみを分かるものがどこにいるのだろう。
「あ、ああ…、うああぁっ…、ああああああああぁぁぁぁぁぁっっっっ!」
頭に流れてくるのは昔の記憶。前世の転生する前の記憶。…幼馴染みを愛していた記憶。
「み…、なみ…?美波、そうだ、なんで忘れてたんだ。俺が、あいつの事を忘れないつもりだったのに」
どれもこれも大切な記憶。それを忘れていた自分を殴りたくなる。
「美波、かぁ。あいつ元気にしてるかなぁ…」
響は泣きたくなる心を抑え、そう言った。そして、
彼は、思い出にふけっていて響はドアが少し開いていたのに気づかなかった。
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「…響、私の事見ててくれてるかな」
彼女の前世は『美波』…現在は、『ティナ』彼女は響が死んだ後、過剰なストレスにより、鬱になり自殺してしまった。彼女の意識がこの体に宿った時は災害により、破片に頭をぶつけた時だった。薄っすらと覚えているのは誰かに前世について話しては駄目だと言われた。そこまでしか思い出せない。すると、アルヴの部屋から泣き声が聞こえ、気になるので覗いた。すると、
「み…、なみ…?」
ドキッと心臓が跳ねた。自分の前世を知っているのは、なぜ。
最後の言葉で知っている口調を聞いた瞬間、とめどなく涙があふれた。心配してくれている、まだ覚えてくれている。これ以上ここにいると泣きすぎてここにいるのがバレるかもしれないと思い、自分の部屋に帰った。
「まさか、アルヴが響だったなんて…」
言いたいのに言えないジレンマ。何が起こるかわからない故の恐怖。
「響が気づくのを待つしかないのかなぁ…」
どのくらいかかるか分からないが、いつか、気づく日が来るのを彼女は祈った。
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