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第48話 憧憬 CHALLENGE DOLL R135ヘッド 155cm Bカップ 28kg


「てめえよくもリンナをおおおおおおおっ!!」


 逆上したカイが、新しく取り出したナイフを両手に構え、飛びかかる。


「ちっ!」


 リンナから離れたカオルが剣を一閃すると、カイの両手のナイフは刃元から切断されていた。


「まだまだぁっ!!」


 この男、何本のナイフを持っているのか。一瞬の後には両手にまた新しいナイフを構えている。


「暗器使いかっ!? ……じゃなくて、ちょっと待って!!」


「待てるかゴルァアアアアアッ!!!!!」


[カイッ!!]


 飛びかかるカイを止めたのはリンナの声だった。


[この人が本気のままだったら、とっくにあたし達はやられてるよ]


「くっ……!!」


「そ、そんなことより……あああああ!? どうしようどうしようどうしよう傷つけちゃったごめんねごめんねごめんねっ!?」


 あまりのカオルの変貌ぶりに、その場にいた全員がキョトンとする。


「リンナちゃん? って言うの!? ホンットーにごめんなさい!! ドールちゃんだと知ってたら手加減したのにいいいいいっ!!」


「な、なんなんだこいつは……?」


 思わず呟くカイに釣られるように動き出した衛兵達。


「い、いや! 助っ人はありがたかったが、そもそもあなた達は一体……?」


「あっ、やべっ。とりあえず逃げるぞリンナッ!」


[う、腕っ! 拾ってから行くっ!]


「あああああ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!!」


「ああもう! なんだかわからんがあんたも一緒に来いっ!!」


「「ま、待てーーーっ!!」」


 ………


 逃げに逃げて野営の準備を整え、ようやく落ち着いたところで話をする。


「まずはこっちから質問させてもらう。あんた、一体何者なんだ?」


「あ〜……アタシの名前はカオル。異世界から来た勇者様らしいよ?」


[え? 勇者ってモンドのことじゃないの?]


 夜中だろうとお構いなしにサングラスをかけていたカオルは、腰まで届きそうなポニーテールを揺らしながら名乗る。


「あ、これタバコじゃないから」と言いながらタバコ状の物を咥えつつ、自称勇者のカオルが語ったところによると。



 おおよそ3年前、19人目の勇者として王宮に召喚された。元いた世界での予定を狂わされたことに腹を立て、その場で召喚士を殺そうとしたら放逐された。むしゃくしゃしたのでこの世界を滅ぼそうと思いついた。その後、旅をしつつ体を鍛えていたら変な男と知り合い、一緒に暮らしていた。1年前『機械仕掛けの魔女(ゴーレム・ウィッチ)』の手配書を見、それが異界から来たラブドールらしいと知り、いつかは会えるかも!? と期待。とりあえず更に1年間、魔力の修練を積んで、まずは召喚士を殺してからドールちゃんを探すことにした。そして今日、夜の闇にまぎれて召喚士の暗殺に来たら噂のドールちゃんに会えた。



「きゃーきゃーきゃー! アナタ、|CHALLENGE DOLL(チャレンジドール)社のR135ヘッドちゃんよねっ!? 見たところ155cm Bカップ 28kgタイプかな? 抱いた感触からゼリー胸と判断したけど、どうかなっ!?」


[あ、えと、えーと……?]


「聞いていた通り強いのね! 喋るし、動くし、自分の意思がある! ……のに、アタシはなんてことをおおおおおっ!?」


 カオルは山の天気のように落ち着きがない。


「えーと、まずはどこから突っ込んだものか……って、いや待て。どうしていきなり『異界から来たラブドール』なんて単語が出てくるんだ? 話を聞いた限り、あんたは3年前にこの世界にきた。15年前に死んだノダとは接点がないよな?」


「ノダが15年前に死んでる? 何言ってるの? アタシはこの話、去年ノダから聞いたのよ?」


「[……は?]」




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