第46話 戦闘 シャルウィーダンス?
追手を避けるため、ウエストタウンを大きく迂回し、森の中の獣道を通って少しずつ王都に迫る2人。
[よくこんな道知ってるね〜]
「生きていく上で身に付いた知恵、ってトコかな」
語り合いながら、2人は華麗に森の魔物を狩っていく。
「よっ! ほっ! はっ!」
身軽に飛んだり跳ねたりしつつ、両手のナイフで的確に魔物の急所を狙っていくカイは、しかし息を乱さない。
[カイ、やっぱり村に住んでた頃と大分変わったね〜]
「まぁ、習うより慣れろ、かな? あんなに頑張った剣術の修行が無駄になってる気がするのは複雑な心境だけど」
[きっと無駄にはなってないんじゃないかな〜?]
「……ならいいけどな、っと!」
リンナは気付いている。最初からずっと、カイはあたしに合わせて動いてくれていると。おかげでなんだか1人の時よりも戦いやすい気がする。返り血もほとんど浴びずに戦えているし。これが『仲間と一緒に戦う』ということなのか。なんだか村のお祭りで一緒に踊ったのを思い出させる。
「あれ思い出すなっ! 祭りの夜、一緒に踊ったやつ!」
[だねっ♪]
同時にリンナは思い出す。元いた世界でノダが急に『凛菜! 踊ろう!』と言い出し、結局リンナを支え切れず、腰を痛めた日のことを。あれは確か『たからくじでいちまんえんあたった日』だったか。
……ひとしきり数十体の魔物を狩った後、カイは1体1体の死骸を丁寧にチェックし、解体している。
[カイ、何してるの〜? 汚れちゃうし、大分遅くなってきてるよ〜?]
夜が近い。夜は魔物の時間だ。連戦でもあるし、流石に軽々と『無双』はしづらくなるだろう。それまでに森を抜けたいところだが。
「……この作業が、冒険者にとっての貴重な収入源でね」
[ふ〜ん……?]
「まぁ泥臭い、汚い作業だけどな。俺は霞を食って生きてるわけじゃないんでね」
カイは自嘲気味に笑う。
「悪い。リンナを皮肉ったつもりはないんだ」
[うん。わかってるよ]
「まぁ、確かに時間も遅いし、惜しいが今日はそろそろ切り上げるとするか。死臭で他の魔物がくるかもしれないしな」
これだけの死骸の山だ、恐れをなして近付く魔物は少ないだろうが……それでも近付いてくるヤツは厄介な相手に決まっている。1体程度ならともかく、まとまった数がくればリンナを守り切れる自信がなかった。
[そういえばカイは鼻が効いたよね? こんなことしてて臭くないの?]
「……もう慣れたさ。森を抜けた先に小川があったはずだ。そこで返り血を落として野営しよう」
[うん]
「俺は夜の間に一旦王都に先行してくる。魔物から取れた素材を売って、変装のための道具を買い揃えておきたいから、先に休んでいてくれ」
[分かった]
………
夜もかなり更けた頃に帰ってきたカイは、茶髪と金髪のカツラを手に持っていた。
「俺も捜索隊を裏切ったお尋ね者になってる可能性があるからな。2人一緒に変装して潜入と行こうぜ」




