第45話 現在 あれからとこれから
それから。
リンナに会うためだけに生きてきた。
リンナに追いつくためだけに走ってきた。
危険な橋も渡ってきた。
汚い仕事もやってきた。
リンナと再会できた今。次は何のために生きるか? 何のために走るか?
決まっている。リンナを守るために生き、その願いを叶えるために走るのだ。
それだけが、たったひとつの俺の願い。
───森の中を、一陣の風が吹き抜けた。
[ん、んん……ん?]
「目が覚めたか? リンナ」
[……カイ]
「なんか、ごめんな。勝手に運んじゃって」
[ううん。ありがとう〜]
目を覚ましたリンナはもう大丈夫そうだ。
「記憶は……どうだ?」
[う〜ん、ところどころはっきりしないトコがあるけど、大体は思い出したみた〜い]
「そっか……そりゃ、良かった……」
ホッとしたような、どこか残念そうな、複雑な表情のカイ。
[それで? なんでカイは捜索隊に入ってたの〜?]
「あ、いや、リンナの手がかり、というか噂を聞いたから潜り込んでたっつーか……」
[な〜んか怪し〜な〜? でも、まぁいいや。助けてくれてありがとね♪]
「どういたしまして。……で? どこまで思い出せてるんだ?」
[あ、うん。ぼんやりとだけど……元いた世界のこととか、ソラに起こしてもらってからのこととか。村でみんなと暮らして、ノダさんを生き返らせたいって思うようになって、旅に出て……途中でリクにも会ってるみたい。それで確か『禁忌の地』にヒントがあるかもしれないって思うようになって……そのくらいかな?]
リンナの記憶はどこか曖昧だった。リクにも会っているのに、前後の記憶の繋がりがよくわからない。なぜ禁忌の地を目指したのかも。
そして……禁忌の地で出会った『誰か』のことを、今はなぜか口にできなかった。
「よりにもよって禁忌の地かよぉ〜……いや、お前が行くならどこにでも付いてくけどな」
[カイ……ありがとう]
「それで、目的地が禁忌の地なら、まずは仲間を増やさなきゃな」
[仲間?]
リンナはキョトンとする。今まで仲間という発想などなかったのだ。
「……覚えてないか? リンナは俺がまだガキの頃に『秘密基地』のメンバーだったんだぞ? 一緒に旅もした」
[ほえぇ〜〜……]
「ってことで、だ。まずはねーちゃんをスカウトするのに王都を目指すか?」
[リクは王都にいるの?]
「ねーちゃんがいるのは王都のはずれにある教会、だそうだ」
[へぇ〜]
「ま、とりあえずは教会にいくかー」
[おぉ〜!]
───こうして、1人の旅は2人の旅となり、とりあえずの目的地もできたのだった。




