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第41話 激突 機械仕掛けの魔女捜索隊


[えっと〜。とりあえず東に向かえばいいんだよね。多分]


 道を爆走しつつ、リンナは呟く。


 サイクツ村は王都から西のウエストタウンを経て、その先に位置する。捜索隊と正面からぶつかるのであれば、道なりに東に行けばいいはずである。


[意気込んできたものの、モンドみたいなのがいたらちょっと怖いな〜]


 アレは魔物よりも恐ろしい人間だった。子ども達が庇ってくれなければ、どうなっていたことか。


 ともかく、なるべく村から離れるため駆ける。駆ける。駆ける。


[つ、疲れたーーー]


 リンナは疲労する。通常のゴーレムが活動限界まで同じペースで動き、魔力が切れた途端にピタリと動かなくなるのとは違う。一体どのような仕組みなのか。それは連続可動による肉体への負担を減らすためなのか。ともかく、通常のゴーレムの常識が通じないのは確実である。


[……あっ]


 いつの間にここまで来てしまったのか。遠目に見えるウエストタウンから出てきたばかりの捜索隊を確認する。


[ちょっと急ぎすぎたかな〜? まあ、村から離れてるからいっか〜]


 とりあえず少し戻り、森を抜ける途中の道で待ち受けることにする。


[ここなら目立たないから増援もないね!]



 で。


 1時間後、森の中には屍の山……ではなく、気絶した兵士の山ができていた。


 モンドとやりあった後だと、いくら数が多いとはいえ手応えがなさすぎる。


[……あれ?]


 森の中から1人の男が現れる。全員倒したと思っていたのだが……?


 男はゆっくりとリンナに近づいてくる。


[とりあえず気絶させとくか]と打ち込むが、ヒラリとかわされ、手首を掴まれる。


[……ッ?]


「やっと……やっと会えた……リンナッ!」


[えーと……どちら様ですか?]


「んなっ!?」


『ガーン!』と頭上に吹き出しが浮かびそうな表情を浮かべる男は若く見える。20歳になるかならないか、くらいか。


 綺麗な金髪が目立ちすぎるボロっとした格好は、兵士というよりも『お忍びで参加していた王子様』と言われた方がしっくり来る。しかしその身のこなしは、他のどの兵士よりも滑らかだった。リンナもまさか、この男にかわされるとは思わなかったので思わず固まってしまう。何より男には、まったく敵意がなかったのだ。


 男はポリポリと頭をかきつつ「そう来るかー」とボヤく。


「いや、他人のフリが駄目ってわけじゃないけど、流石に傷つくというか……うん、傷つく」


[えーと、ごめんなさい……あたし、記憶がなくて……]


「え!? マジなの!? じゃあ3年ぶりに会う俺のこと、本気でわからないの?」


[あたし、1年以上前の記憶がないんです……]


 フリーズする男。


「マジで? マジで覚えてないの!? 俺のことも、みんなのことも!?」


[ごめんなさい……]


「当然、ノダのことなんてわかんないんだろうし……」


[え……?]


 思わず聞き返す。なんだか頭がクラクラしてきた。


 男はそれを自分のことだと思ったか、ダメ元で答える。


「俺だよ! カイ! マイナ村のリクの弟、カイだって!!」


[カイ……?]


 ───リンナはそのまま、気を失った。




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