上級空間転移魔導
「異空間の展開準備が整いました」
ノーデンスがαに告げる。
「消滅済み魂の回収が完了しました」
「『兵器』の生成が完了しました」
シヴァとイズンの声が重なる。
「良かろう」
αがコーヒーをすすりながら答える。
「異空間の生成が完了しました。転送を開始します」
唯一神αの体が段々消えていく。
「では、先に地獄で待っている」
◇ ◇ ◇
「αの探知術式が一瞬世界全土を覆ったな」
スピリット・バグが言うと、ブルーベルが頷く。
「奴特有の殺気と、人を殺すことに一切の躊躇がないいかれた精神」
「そういえば、ブルーベルは奴とあったことがあるんだな」
え、そうなの?
戦ったことあるのかな?
「あの時は右半身を爆破される程度で済んだ」
、、、ん?
右半身爆破って、どういう感覚なんだろ……
てか、なんで君生きてるの?
「バグさんは、探知術式の目的に心当たりとかある?」
ユイが考え込むスピリット・バグの顔を覗き込む。
「無いことはないが……」
「噓、分かるの!?」
ソラリスさんが大げさに驚いて見せる。
「探知術式の目的、普通は近辺の潜伏している敵の探知だが、私たちはあからさまにRC物質をさらけ出しているから、新世界秩序側にとって必要な探知とは言い難い」
つまり、、、?
「上級空間転移魔導の発動予備動作で間違いないだろう」
上級空間転移魔導……⁉
空間転移する魔導の、上級って事だから……
うん!なんか分かんないけど、強いって事だな。
「何のために空間転移を?」
「考えられるのは2つ」
ブルーベルが指を一つ立てる。
「一つ目は異世界への逃亡。私達の手が及ばない安全な別世界へと移動することで、落ち着いて計画を立てることができるから」
なるほど。理にかなっているな。
ブルーベルが二本目の指を立てる。
「最悪のパターンだが、異世界からの魂と有現世物質の吸収。異世界の魂を大量に持ち帰ることで、新兵器などの開発に利用する。相手には相当の技術士がいるようなので、こちらの方が信憑性がある」
スピリット・バグが頷き、ブルーベルが大きくため息をつく。
「異世界の座標を探らん事にはどうしようもないな」
ユイがそう言うと、ミコトがどこからともなくノートPCを取り出し、高速でタイピングを始める。
「多めに見積もって2分で特定できそうです!」
ミコトは慣れない管理者生活に順応しようと努力して、現在では管理者ハウスの警護に当たっている管理者一の努力家であり、唯一のまともな人間でもある。
この戦いにおいては、どの管理者が欠けても俺達の勝利は有り得ない。
出会えた奇跡って、すごいね……(感動)
そんなことを考えていると、ミコトの声が聞こえた。
「かなり大規模な世界のようです、やはり魂と有現世物質の回収が目的ですね」
なるほど。
「大規模というか、無限の広がりを持つ世界で、星が点在しており、恒星や惑星といった物も見られます。そして一番の特徴は、RC物質が世界に存在していないことです」
なんか聞き覚え出てきた。
「唯一神αの座標は、『太陽系第三惑星』と呼ばれている空間にあります」
間違いない。
「その世界、俺の前世かもしれない」




