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Just like starting over〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃって~からのあかりんとTallのそれから〜  作者: 優月菜


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23/27

*おばあちゃんにおねだり


少し肌寒くなって来たある日、灯は思い切っておばあちゃんにお願いごとをすることにした。


「おばあちゃん、お願いがあります」

「どうしたの?急に改まって」

「あの……これなんですけど」

「あら!」


濃紺の中太毛糸で編みあげたセーターの後ろ身ごろに、筒編みの腕部分はできているものを、ダイニングテーブルの上に広げた。


「享に?」

「はい、クリスマスにと思って」


おばあちゃんは、かなり嬉しそうだ。


「上手に編めてるじゃない。何がお願いなの?」

「あの表側には縄編みを何本か入れたいんですけど……本を見ても、よく分からなくて」

「あぁ、それをね!」

「はい、教えて頂きたいんです」

「もちろんよ!灯!享が大喜びする顔が思い浮かぶわ」


「有難う!おばあちゃん!」

「早速、やりましょう!」

「あ、その前に」

「え?」

「これを」


灯が差し出したのは小さな様々なモチーフを編みこんだパッチワークで作られた三角の肩掛け(ショール)だった。


「あらまあ、これ灯が?」

「最初に教えて頂いた時から毎日少しずつ編んでて、出来たらクリスマス待てなくて」

「まあまあ、私の孫娘は本当にいい子!かけて頂戴」

「はい」


孫娘と呼ばれて灯は嬉しかった。

ダイニングテーブルの椅子に腰かけている、おばあちゃんの肩に後ろから灯がそろりと肩掛けを掛けた。


「まあ、なんて素敵な……マーガレット、バラ、チューリップ……全部お花の柄なのね!しかも同じ柄がないわ!有難う、灯、暖かいわ。ちょっと前に来て」

「あ、はい」


おばあちゃんは灯にしゃがむように促す。

そして灯の両頬を両手で包み込むようにして、見つめ合うと


「灯、本当に有難う……あなたがいてくれて本当に良かった。メグからも聞いてた。可愛いお隣さんの女の子の話」

「メグママが?私の話をしてくれたの?」

「えぇ、亡くなる前の日、朝早く電話※をかけてきて……」


===


「ママ聞いて、享とケンカしちゃったわ」

「12歳の子とケンカなんて大人げないわね」

「だって今回の達志の転勤で、そっちに帰れるのよ。嬉しかったからクリスマスはおじいちゃんとおばあちゃんと過ごせるわね!って言っただけなのに、享ったら、お隣の家に女の子のことが大好きで、その子とクリスマスは一緒にいる約束したから行きたくないって言うの」


「あらまあ、よっぽど、その子が好きなのね」

「まあ、私も可愛いと思ってるし、二人は本当に仲良しで享の妹だったらいいのにって達志に話したこともあるくらいなんだけど。享には本当の妹じゃなんだから、いつまでも一緒にいる訳には行かないのよって言ったら、”ママのバカ、大っ嫌い”って、もうベッドルームから出てこないの」


「そんなことを享に言われたの?」

「大ショックよ」

「でも、妹じゃなくて良かったんじゃない?」

「え?」


「運命なんて言葉があるとすれば、二人はもしかしたら、もしかするかもしれないでしょ?」

「え?……あぁ!そうね!灯が本当の私の娘になる可能性もあるってことよね?」

「灯っていう子なのね?そうよ、灯と享がお互いずっと、今の気持ちを忘れなかったら、もしかしてよ」

「明日その話、享にしてみるわ。きっと喜ぶ……それなら私も嬉しい」

「まだ子供だから、分からないけどね」


「ううん、きっと享はその話を実現させるわ。本当に灯のこと大好きなんだもの。もちろん私も達志も気持ちの優しい灯のことが大好きなのよ。連れて行かれるならアメリカに連れて行きたいのは私も一緒なんだもの」


「おやおや、メグはいつまでたっても夢見る乙女みたいなこと言って」

「なによ、先に言いだしたのはママでしょ。もしも実現した時にはママも灯のこときっと気に入るし、可愛いって思うはずなんだから」


「じゃ、楽しみにしてるわ。アーサーも私も生きてるうちに実現するように祈ってるわ」

「もう、縁起でもない!そんな先の話じゃないわ。子供なんて、すぐに大人になっちゃうんだから」


「そうね。じゃ、灯がウインスロップを名乗ってくれるのを祈ってるわ」

「それは分からないけど」

「ふふふ、じゃあ、身体に気を付けて!帰ってくるのを待ってるからね」


「じゃあね。ママも元気で待っててね」


===


「そう言って電話を切ったのが最後になってしまって……私が一番長生きして……でも、お陰で灯に会えた」


そう言いながら、おばあちゃんはメグとの会話を聞かされて涙が止まらない灯のことを抱きしめて頭を撫でてくれた。


灯は、そんなやり取りがおばあちゃんとメグママの間であったことを、きっと享は知らないのだろうとも思った。

そしてメグママを一緒に見送ったあの時の会話がなかったら、灯と享はもう一度会いたいという約束をしなかったかもしれない。


だが、メグが告げるまでもなく、享の気持ちの中には既に、達志との会話の中で得た知識から必ず灯をお嫁さんにするという気持ちは固まっていたのも事実。

元々、享と灯の強い意思から繋がり続けた想いが結び合わせた赤い糸を二人は持っていたに違いないと、バーバラは考えていた。


そしていつか、この話を天国で待っているアーサーとマーガレットにも話してあげようと思ったのだった。




※日本とマサチューセッツ州レキシントンのと時差は13時間

日本で午後8時の場合、レキシントンでは午前6時頃になる。


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