*仔犬が来た
おはようございます!
あかりんとTallのそれからを
毎日8時を楽しみにして頂いていらっしゃる方,有難うございます♪
このPVを励みに、毎日、頑張ってますので
灯と享のこれからも、どうぞお見守り下さい(^-^)/
これから”仔犬”も大活躍します!!
お楽しみに♪
翌日、昼過ぎ。
ビルは約束通り、ブルーマールの青い瞳の濃い方の仔犬をピックアップに乗せてウィンスロット家にやって来た。
道側には、まずは車が三台ほどは置けるスペースがあり、その奥まったところから石塀に囲まれた広大な庭が広がる。アールデコ調の黒鉄の門扉があり、その外からビルが中に向かって声を掛けてきた。
「こんにちは!お約束通り、仔犬を連れて来たよ」
「こんにちは、有難うございます!どうぞ、入ってください」
庭先で、洗濯物の乾きを確認していた灯が駆けてきて、門扉を開ける。
まだ生まれてから3ヶ月ほどの仔犬は、何にでも関心がある時期なのか、ビルの腕の中でキョロキョロとあたりを見回していた。
「いらっしゃい、ビルさん、わんちゃん。こちらにどうぞ」
庭先にはベンチに腰かけた、おばあちゃんが日傘をさして座っていた。
「あぁ、ビル、有難う。お時間ある?お茶でもどうかしら?」
「え?いいんのかい?じゃあ、ちょっとゴチになろうか」
おばあちゃんに促されて、ビルは足元に仔犬を静かに下すと、テーブルの横にあった木の椅子に腰かけた。
灯がビルに話しかけた。
「紅茶とコーヒーのどちらがいいですか?」
「じゃ、コーヒーで」
「コーヒーはミルクとお砂糖はどうしますか?」
「この旨そうなクッキーを食べていいんなら、アメリカンで頼むよ」
「どうぞどうぞ焼きたてなんです!召し上がってください。おばあちゃんは、ミルクティーでいいよね?」
「えぇ、灯、お願い」
「はい、少しお待ちくださいね」
灯はダイニングのテラスから中に入って行った。
「いいのかい?クッキー食べて」
「もちろんよ、朝から灯があなたのために焼いたクッキーなの。食べてあげて」
「え?そうなんんだ、嬉しいなぁ~頂きます」
チョコチップがたっぷり入った大き目のクッキーは、バーバラおばあちゃん直伝のクッキーだ。
そこに、コーヒーとミルクティーのカップを持った灯が戻ってきて、ビルとおばあちゃんのそれぞれの前に飲みものを置いた。
「うまい!」
「え?本当ですか?」
「あぁ、バーバラさんと同じ味だ!ん?でも、ちょっと甘さ控えめか?」
「少しだけ……あまり甘いものばかり食べるとお腹に悪いんですよ」
灯が笑う。
「え?そうなのかい?」
「はい、太っちゃうんです」
「それか~ははは!気をつけなきゃだよな~。でも、これにはナッツもはいってるから甘さと香ばしさが、ちょうどいい具合だね」
「良かった!試しにちょっとだけアーモンドを砕いて入れてみたんです」
「うまいよ!何枚でも行けそうだ」
「良かったら奥様にもお土産に持って帰ってください」
「あぁ、孫たちの方が喜びそうだ」
「え?お孫さんいらっしゃるんですか?」
「あぁ、いるよ。10歳を頭に2歳まで、5人だ」
「おじいちゃんなんですか?」
「あぁ、そうだよ」
「お若いのに、びっくりです」
「お若いって年じゃないよ。もう50だよ。そうそう、メグと俺とマーサは同級生だったんだよ」
「え?メグママと同級生だったんですか?」
「中学校までな。メグは頭の出来が良かったから高校からいいとこ行っちゃてなぁ。まあ何しろ、美人さんだったからなぁ、どこに行ってもマドンナだったよ」
『さすがメグママ』と思いつつも灯はお子さんについて尋ねてみる。
「お子さんはお幾つなんですか?」
「32歳と30歳の男が二人で、嫁さんもいて、10歳と8歳と5歳が上の方の孫で、5歳と2歳が下の方の孫だよ」
「18歳で結婚されたんですか?」
「まあ、なんていうか。子供ができたから結婚したっていうか」
「あ……すみません……」
「灯は初心なんだからオブラートに包んでお話してちょうだいな」
ビルは、おばあちゃんに、そう言われて大笑いした。
仔犬は勝手にウィンスロップ家の庭先を、まだ自分の思うようにはままならない脚で転げまわるように走り回って、灯の足元にやってきた。
大きな瞳をクリクリさせて灯のことを見つめてくる。
「抱っこしても大丈夫ですか?」
「あぁ、もちろん。もうここんちのワンコなんだから、煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
「こんなに可愛い仔、食べられないですよ」
みんなで笑う。
抱きあげた仔犬は灯の顔をぺろぺろ嘗め回す。
「灯の方が美味しいってよ」
ビルが大笑いした。
「そんで、名前は決まってんのかい」
「おばあちゃん、どうしよう?」
「灯のワンちゃんなんだから、灯が考えなさい」
「あの……マールってどうかな?って」
「日本では、円のことを”丸”って言うんです。”物事を丸く収める”みたいに、角がなくて良い意味で使われることが多くて……ワンちゃんの名前にも人気がすごくあるんですよ。それに何より、この仔の毛色はブルーマールでしょ?”丸”の響きとも重なるし”マール”って呼ぶのはどうかなって?」
「ほう、そうなのか?」
「灯、それはいい話だわ。丸,マール……マールいいわね!」
灯は仔犬に向かって話しかける。
「今日からあなたは、マールよ」
「クウ」
不思議そうな顔をしているマール。
もう一度灯はマールを呼んだ。
「マール」
「キャン!」
ビルが驚いた様に言った。
「初めて吠えた」
「名前が気に入ったんじゃない?」
おばあちゃんは、満足げに笑った。




