*披露宴・Tall編
いよいよ、昨夜から、始まりました!
Just like starting over
〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます〜のアフターストーリー
『あかりんとTallのそれから』
いかがでしたか?
結婚式の後の披露宴の出来事は、第一話は灯目線でした!
となると今夜は?
そうです!Tall目線!
二人の考え方の違いがまた笑えるお話です♪
ぜひ読み比べしてみてくださいね。
そしてアメリカに渡った後の物語へとお話は発展していきます。当時、本当に起きたお話などもとり混ぜて、古き良き時代のアメリカも感じて頂けると嬉しいです。
これからもPVで応援頂けると嬉しいです!
宜しくお願いします╰(*´︶`*)╯
『明らかに機嫌が悪い』
隣に座っている花嫁の灯がダンマリのムスッ顔。
入れ替わり立ち替わり友人や知り合いが祝辞に来てくれる以外はニコリともしない。
『これ以上ないってほど、色々な事詰め込んだのに何が気に入らないんだ。昨日の事が原因か?……灯、綺麗になった……つい我慢出来なくてFlyingしちゃったの不味かったか?』
大学で初めて大人になった灯を見つけた時は、まだ幼い頃の面影があり、あどけない少女の様に見える時もあった。
ところが二年半の間に、中身はどうであれ、これほどまでに美しく知性を感じさせる"女性"に変わっているとは……。
享の我慢の限界を突破させたのは灯の変貌ぶりも一役かったようだ。
『ちょっと話しかけてみるか?』
「あかりん?」
「は?」
「辛い?」
口をきくのも億劫なのか灯は「は?」とは返したものの、その後の返事をしない。
『とりあえず謝ってみるか』
「ごめん」
灯はこっちも見ない。
「灯がますます綺麗になってたから……我慢が出来なくて……」
『ちょっと待てよ、またあの時みたいに逃げ出したりしないだろうな』
不安になる享。
「あのさ……手を繋いでもいい?」
返事がない。
「灯、またいなくなりそうな顔してる」
『無視かよ!じゃ、これでどうだ!』
「明日の夜便で立つけど大丈夫だよね?」
「え!!」
「昨日、話したよね?」
「……ちょっと、いつそんな話した?」
享はやっとこっちを向いた灯を嬉しそうに抱きしめて、耳元で囁く。
「あの時……愛し合った時に、もう離れない、ずっと一緒にいるって言ってくれたじゃない」
「その時、そんな話をした?」
「したよ」
何かしら享の話し方に不信感を覚えたのか、灯は素気無く言い返す。
「聞いてません」
「そう?おかしいなぁ、あの時……僕の肩にしがみついて……」
「ちょっと!!今、言う事?」
「じゃ、何でいつまでも怒ってるの?」
「胸に手を当てて考えてみて」
「胸?」
享は灯をもっと強く抱きしめると、お客様側からは見えない方側の灯の胸に手を当てた。
「!!!」
「考えても分からないんだけど……大きくなった事だけしか分からない」
享は笑った。
「この!」
灯が立ち上がりそうになった時、
「皆様、ご注目下さい。新郎、新婦によるウエディングケーキのご入刀でございます」
アナウンスがあり、目の前にそれはそれは大きなケーキが運ばれてきた。
『灯の好きなカスタードクリームとフルーツがたくさん挟まってるケーキだぞ』
切り分けられたケーキを見たら、きっと灯のご機嫌もなおるだろうと簡単に考える享。
それぞれのお付きの人が横から、あれこれ話しかけて来て、リボンのついたピカピカのケーキナイフを一本二人で持たされた。
「お二人の初めての共同作業でございます!それではケーキにご入刀をどうぞ」
享は満面の笑みを浮かべ、灯を見つめる。
灯は思わず苦笑いしながら、二人で持つナイフをケーキに入れた。
拍手喝采が起きる。
出席人数が500人ほどだと轟音だ。
一度ケーキは引き上げられ、カットされ新郎新婦席とお客様に振る舞わられる。
そして、この後、ファーストバイトが行われる事に。
「新郎から新婦へ、新婦から新郎ケーキをお口にお運び下さい」
「一生、食べるものに困らせないよ」
享は灯の口に合わせた大きさのケーキをフォークに乗せて運ぶ。
灯は、怒りがおさまらないまま、それを仕方なく口にする。
そして自分が享の口に運ぶ時、これは絶対入らないと言う大きさの一切れをフォークに乗せた。
「あかりん、それはいくら何でも」
「一生美味しいお料理作ってあげるのに?」
「!!」
口を開けるか開けないかのうちにケーキを押し付けられて顔半分が白いクリームやら黄色いクリームだらけになった享。
それを見て灯が大笑いする。
『こいつ!何の仕打ちだ!』
これまた客達も大爆笑大騒ぎだ。
お付きの人が慌ててナフキンを差し出すも、享は手で遮ると、灯の腕を引く。
そして、その顔のまま灯に口づけした。
灯は手に持っていたフォークを思わず落とす。
驚いた灯は目を開けたままで享と目が合う。
顔を離した享が灯の顔を見て笑いながら、同じ様にクリームだらけの灯の鼻の頭をペロっと舐めた。
灯が思わずゲンコツを享の顔に向けて繰り出した時、『そんな事想定済みなんだよ』と、その手を片手で受け止めると、そのまま肩に担ぎ上げた。
そしてお客様に向けて享が言い放つ。
「すみませーん!二人ともこんなんなんで、お色直しってヤツに行ってきます!皆様はどうか引き続き、お楽しみください」
またギャラリーからは盛大な拍手が起きた。
建物の中に入る二人。
灯がジタバタして享の肩の上で騒ぐ。
「おろして!」
『誰が下ろしてやるもんか』
新郎の控室に勝手に連れて行かれた灯。
「おろせ!」
『はいよ』
灯はその場に落とされた。
「痛っ!」
いくら足が沈むほどのフカフカの絨毯の上でも、いきなり落とされたら、昨日の今日ではかなり痛い。
置いてあったおしぼりで顔を拭く享。
「ちょっと、いくらなんでも落とす事ないでしょ」
「おいたが過ぎる」
「え?」
「お仕置きだ」
「ちょっと……」
享はしゃがむと灯の身体を羽交締めにする様に抱きしめて顔のクリームを舐め始めた。
「いや!気持ち悪い!」
「ダメ!自分がやったんだから」
「やめ、やめて」
「じゃ、後は大人しくする?」
「大人しくする」
「じゃ、やめてあげる」
「……」
『こういうときの灯は何か考えてるはず……』
黙っていた灯が今度は享にキスした。
またクリームが享の顔につくが、
『何だよ、灯、可愛いなぁ、ごめんなさいのキスか?』ところが、そのまま二人は深い口づけになっていく。
『灯、このまま続けたらマズイんだけど』
と享が思った時、灯は唇を離した。
「灯……」
「ん?」
「僕に火をつけて、どうする気?まだ披露宴の真最中なのに」
灯はすっくと立ち上がると
「では、ワタクシはお席で大人しく待ってます」
と、ニッコリ笑いながら部屋から出て行く。
『おいおい、何のつもりだったんだよ……やる事が可愛すぎるよ、全く!』
「こいつ……覚えてろ!今夜も寝かさないからなっ!!」
そう言いながら享は楽しそうに笑った。




