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Just like starting over〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃって~からのあかりんとTallのそれから〜  作者: 優月菜


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*享の想い


「あ……灯?それってまさか?」


享が思いついた様に灯の涙を親指でぬぐいながら言った。


「ウィンスロップとローレンスのことだね?」


灯は驚いた様に享の方向いて頷いた。

そしてこう続けた。


「だから、私、早く赤ちゃんが生みたいの」


おばあちゃんが慌てたように話し出す。


「灯、あれはただの恒例行事のようなもので、言い合うのが楽しいだけなのよ。あなたがそんな風に思う必要はないの」

「そうだよ、灯。元はといえば、僕がどちらも選べず”横溝姓”に逃げたのが事の始まりなんだから、考えなくていいんだ」


達志も慌てて付け加える。


「でも、これは大事な話です。それぞれの由緒正しいご苗字が絶たれるようなことがあったら、ご先祖様に顔向けができません」

「「えっ???」」


まさか、こんな幼い風貌の灯から、そんな言葉が出ようとは、バーバラも達志も思わなかったようだが、享は違った。


「僕の子供だからという話は、とにかく……灯の赤ちゃんだとすると相当可愛いだろうから、女の子だけは生んで欲しくないな」

「は?」

「嫁に出すのは無理だ」

「Tall……何言ってんの?そんな話してるんじゃないよ」

「いや、重要な話だ」


「享、分かった!そうだな!それはかなり重要な案件だ。……という訳で、灯、悪いがこの話は預からせてもらう。さあ、享、もう出ないと、あっちに着くのが遅くなる」

「そうだね、父さん。初めて話が合った!もう出よう!」

「ちょっと、あの……」


「灯、おばあちゃんのこと頼んだよ。享よりも多分、僕の方が時間に融通が利くから、近いうちにまた来るからね」

「おい、今、話が合ったと思ったのに、もうそれか!」

「先に運転は僕がするから、二人でちょっと話でもしてきたら?」

「え?いいの?」

「また、しばらく会えないだろ?」


達志の言葉に素直に頷いた享は、灯の手を引くと部屋に戻った。


ドアを閉めると享は灯を抱きしめる。


「灯、ごめん。そんな風に考えてくれてたなんて思いもしなかった」

「余計なこと言っちゃったのかな?」

「まさか、驚いただけで、おばあちゃんなんて今頃、きっと嬉し泣きしてるよ……僕も考えてなかった訳じゃないけど……このことは一人っ子同士で結婚した、うちの両親の問題だし」

「でも……もうパパは再婚とか考えてないって言ってたし」


「だからと言って、僕達が責任を感じることはないんだよ」

「でも、お義祖父様は、私のこと可愛い豪快な嫁って言ってくれて嬉しかったから」

「だからって、何かの役に立とうとか思った訳じゃないよね?」

「……」

「灯、じいさんの言うことは半分にして聞くくらいで、ちょうどいいんだよ」

「え?」


「なんだかんだで、会う度にローレンスとウィンスロップって話になるけど、あれはちょっとしたお遊びなんだから」

「遊び?」

「で、なきゃ、父さんが横溝のままな訳ないでしょ?」

「え?でも……」

「ウィンスロップは、ともかく、ローレンスに戻らされてないでしょ?」


「でも……」

「まあ、灯はじいさんに気に入られたのだけは確かだけどね」

「え?」

「可愛いから、からかわれたんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ、だから心配しないでいい」


「ん……でも……」

「それより、またしばらく会えない夫に何か言うことないの?」

「え?」

「口より行動か?」


享は灯をさらに抱き寄せると、いつも以上に力のこもった口づけをする。

そして、お願いとでも言うように灯の耳元で囁いた。


「灯、僕達、まだ若いんだから赤ちゃんのことは、もう少し後にしたいんだけど」

「……でも……」

「でもは無し」


そしてまたキスを交わす。

灯はこのまま時間が止まればいいのにと思う。

仕事がいつ依頼されるか分からない享の身体の心配しつつも、つい言葉に出してしまう。


「次はいつ会えそう?」


「ワシントンの事件は知ってるよね?」

「うん、連続殺人でしょ」

「あれの依頼が来ないんだ」

「え?なんで?」


「さあ、FBI本部のお膝元だからなんだか……こっちに依頼するにはプライドでも邪魔してるんじゃないの」

「それが今一番の事件ってこと?」

「まあ、そうかもね」

「でもそれじゃ、いつ呼ばれるか分からないってことでもあるってことだよね?」


「そうなんだ、さすが灯、勘がいい」

「こっちに来るだけでも大変なのに……ごめんね、次はいつなんて聞いて」

「聞いてくれない方が淋しいよ」

「え?ホント?」

「当たり前でしょ」


灯の顔がほんのり赤くなったのを見て、享はまた灯のことを抱きしめる腕に力が入った。


「このまま連れて帰りたい」

「ごめんね、Tall」

「結婚したのに……」

「おばあちゃん、最近、顔色良くなって、お買い物も一緒に行きたいって」

「そうなんだ!元気になってきてるんだね……灯のお陰だ」

「だから、もう少ししたらスタッフォードに帰れるかもしれないよね」

「そうだね」


実はバーバラの身体のことでは灯には話してないことがあった。


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