#56 魔力を失った優衣奈
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#56 魔力を失った優衣奈
2月の中盤。
結局楓と沙奈を探していたあの日以降、
記憶が曖昧でみんなが何を話しているのか分からなかった。
魔術でどうこうとか言っていたけれど.....
そんな、この世界に魔術なんて存在するの??
あれ。そもそもなんで私は沙奈を探したり
なんで不安定な気持ちのまま日々を過ごしているんだっけ.....
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[ほほう...なるほどな....この現象は魔力を持たぬ普通の人間ならば起きえない現象じゃ。
優衣奈の場合、元の魂がこちらの世界のものではないため
魂、記憶に魔力が浸透しているであろう?
つまり魔力を抜けば同時に魂や記憶からも魔力のことが奪われ、
魔力の存在すら忘れてしまうというわけじゃ。
....となるとワシの今の声も優衣奈に届いておらんかもしれんのう。
あれも魔力を通じて声として届けていたわけじゃから....。
おおっと、ワシか?ワシは久しぶりに優衣奈の様子を見に来た神様じゃぞい。
さて、ここからどうなるか....しばらく様子を見させてもらうとするかのう....]
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...朝。いつものように学校にやってくる私。
「おはようっす。」「優衣奈ちゃん、おはよう....!」
彼女たちは私の親友、新井美歩と水野藍。
1年ほど前、友達というものが分からなかった私に仲良くしてくれたおかげで
今は親友の仲になった2人である。
...あれ?なんで私は友達というものが分からなかったんだっけ....?
「....どうしました?大丈夫....です?」
「ああ、いや、なんでもない...!ちょっと考えごとしていただけ.....!」
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「次の公式に当てはめてですね....すると答えはどうなりますか、風野さん?」
あの人は福岡先生。
この学園で数学の教師をしていて、私たちクラスの副担でもある。
あれ....?私、福岡先生に何か大事な用事があったような......
「ちょっと風野さん、聞いていますか?この問題を解いてみてください。」
「え...?あ、ああ...ここの問題は...えっと.....」
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「それでさー、優衣奈ってばお釣り間違えちゃってさー....!」
彼女も私の親友の、奥野楓。
楓とは同じバイト先でクラスも同じだったため、
昼休みもこうして一緒に過ごす機会が増えた。
....あれあれ...?楓とはもっと大事な....何かを共有していたような....?
「...ん?どしたの?」
「え...?い、いやー?なんでも...?」
すると楓はそっと藍や美歩の耳元に近づき何かを囁く。
[....ねえ、今日優衣奈何かあった?]
[いえ....何も....]
[でも確かに朝からちょっと様子が変だったっすね,,,,]
しかし私には何て言ったのか聞こえなかった。
「ほ、ほらー、それより早くお弁当食べよ...?
フィアラもほら、そろそろ本を読むのやめて....」
楓の隣で懸命に本を読んでいるフィアラ。
彼女も私たちの親友で、2学期くらいからこの学園に来た転校生。
しかもバイト先まで私や楓と同じである。
あれあれあれー....?フィアラとも何か大事な話をしていたような.....
....すると突然本を読むのをやめ、私の近くに来て呟く。
「放課後、私のところに来て。」
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...放課後になった。
今日、私もフィアラも仕事お休みで楓だけが先にカレー屋へと帰る。
あっ....だから放課後誘ったのかな....?
早速フィアラのところに行くと、何も言わず私を誰もいない空き教室のところへ連れていく。
ああ....ここ、何故かよく来る部屋だ.....
するとフィアラはスマホを取り出し、誰かに電話をかけはじめ.....?
「もしもし、楓。もう駅には着いた?
....うん、こちら準備完了。着いたらまた連絡して。それじゃ....」
楓....?
何で楓に電話してるんだろ。
楓ならさっきまで一緒にいたんだからそのとき話せばよかったじゃん?!
...などと思っていると、いきなりフィアラは教室に鍵をかける。
ガチャ...
「ちょっ....えっ....?!」
内側から鍵をかけたということは....
まさか、これ以上誰も部屋に来ないように.....?!
2人きりになった空間の中、急激な緊張が走る。
「大丈夫大丈夫....別に....あなたを本来の姿に戻すだけだから.....」
「いや、全然大丈夫じゃないんですけどこちとら?!」
本来の姿に戻す....?
何を言っているのか分からなかったがとりあえず危険はないというような意図を感じ取れた。
これから何をされるのか分からずソワソワして待っていると、
フィアラのスマホから着信音がして....?
「はい、もしもし。....着いた?了解。じゃあ終わるまでその辺ウロウロしてて。」
終わる....まで?
恐らく相手は楓なんだろうが、ほんとにこれから何が起こるのか分からなかった。
スマホをカバンにしまったフィアラは、突然目を瞑って何か唱えはじめ....る....?
「魔力よ....彼の者に正しき力を与えん....」
するとその瞬間、部屋が大きな光に包まれたかと思うと目の前は真っ白になって....?!
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「.....優衣奈....分かる?今のが魔術で.....」
「ああ、思い出した!!!私、楓に魔力を吸収されてたんだよね?!!」
するとさっきまでの不安定な気持ちが嘘のようにすっきり晴れ、
私は楓と一緒に沙奈を探していたあの日までの記憶を取り戻した。
魔力というものはある一つの共通エネルギー。
分かりやすく言うと魔力を持つ者のエネルギーは充電池のようなもの。
だから魔力のある者から魔力のエネルギーを受け取れば私の記憶が元に戻るのも当然だった。
フィアラという魔力エネルギーの元から魔力を少し分けてもらったことによって......
するとこれにはフィアラも安堵の表情を浮かべ、もう一度楓に電話をかけ直す。
「もしもし、楓...?ええ、上手くいったわ。やっぱり魔力を吸収できるのは
この町の中だけだったみたい。協力ありがとう。それじゃ....」
電話を切ったあと、フィアラは教室の鍵を開けて外に出るよう促す。そして....
「....まだ終わってないわ。一緒に楓の吸収魔術を解くのを手伝ってちょうだい。」
「ああ...ええっ?そ、そっか....」
今、フィアラから魔術エネルギーをもらえたのは
楓がこの町の外にいることで吸収魔術が反応しなかったから。
つまり楓がこの町に戻ってくれば再び吸収魔術が反応する。
じゃあ楓がこの町にいる間、なぜフィアラは魔術を吸収されなかったのかというと....
「そう....この吸収魔術、実際には魔力が動いたときにその反応を検知して吸収している。
だから優衣奈、あなたは楓のことを心配しすぎたあまり無意識のうちに
吸収魔術を感知し続けたからすべての魔力を吸収されたというわけ....」
なるほど....フィアラたちはいち早くこの仕組みに気づき、
意識して魔力を動かさなかったから吸収されなかったというわけね。
だとすれば楓に町の外へ行ってもらってから魔力を分けてもらったことにも納得だわ。
しかしこれからどうするのだろう....
聞きたいことはまだまだある中、今はフィアラへの協力に専念する私なのであった...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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