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魔界では力が全てだ。
そんな世界でグロッパは、すぐに頭角を現した。
持って生まれた才能というやつなのだろう。
そしていつの間にか、周りに部下が並ぶようになっていた。
グロッパはそういうものに興味がなかったが、
本人が知らぬうちにどんどんと増えていき
それなりの勢力として見られるようになっていた頃。
「人間界に行ってみませんか? 」
と部下が言ってきた。
魔界ではグロッパの名前は知れ渡り、
名前を聞くだけで相手が逃げてしまったり、降参したりと
戦う相手がいなくなっていた。
そんな日々にに飽き飽きしていたグロッパが暇つぶしに
人間界に行ってみようと思ったのは当然だろう。
言われるがまま人間界へやってきのだが
結局つまらず、帰ろうとしたが帰れなくなっていた。
何処かにゲートは無いものかと探し回る日々。
そしてようやく遊べるものを見つけた。
そいつは今までの勇者とは違った。
簡単に死なないのだ。
これは、人間界に来て初めて楽しめた事だった。
とは言え本気で戦えばすぐに死んでしまう。
だから大切に扱った、壊れないように。
そうやって遊んでいる所に知らないやつがやってくる。
「おっ、いたいた。さすがだなヒアキ」
「いえいえ。あまり持ちませんのでお早めに」
「ああそうか。じゃあさっそく。おい、お前グロッパだろ? 」
「なんだお前は」
突然出て来たそいつは自分の事を知っている魔族だった。
「俺はクロヴァだ、まぁなんだ、魔王になろうと思っているんだがな、
それでお前の力をちょっと貸してほしいんだよ」
「魔王だ? そんなもの勝手になればいいだろ」
魔王になるには資格なんてものはいらない。
勝手に名乗ればいいだけだ、当然リスクもあるのだが。
「いやいや、魔界を統一するんだ」
「おまえ本気でいっているのか? 」
「もちろんだ、でどうする? 」
魔界を統一するって事は、全ての魔王をひれ伏させるという事
そんなバカな事をする奴がいるのか。
「それにお前、帰れないだろ? 」
どうやらこちらの事情も知っているようだった。
「おおう。まあな」
「こんな所で油売ってないで手伝ってくれよ」
「分かったよ」
グロッパは承諾した、早く帰りたかったのだ。
「あれ止め、刺さなくてよかったのか? 」
クロヴァがおもちゃの事を聞いてくる。
「いいよ、暇つぶしの相手になってくれたから」
「そうか、じゃあ戻ろう」
そうしてグロッパが久しぶりに魔界に戻ると
そこには自分の取り巻きが倒れていた。
「おい、これはどういうことだ? 」
「ん? ああ、こいつらが仕掛けてきたからぶっ飛ばしただけだ。
それとこいつがお前を人間界に追い払った奴な。
やたら偉そうにしていたから強いのかと思ったら
大したことなかったぞ。
すぐにぺらぺら話すし、まぁそのおかげて
お前の居場所が分かったからいいんだけどよ」
倒れているそいつを見ても、そいつが誰か思いだせなかった。
まだ息をしているが、顔がつぶれている。
「で、どうするよ。こいつはお前の好きにすればいいよ。」
「どうでもいい」
それはグロッパの本心だった。
それからはクロヴァと共に行動するようになった。




