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4.0土族ファントラウス族

精霊シクラースの破片


薄暗い洞窟の奥へ進むにつれ、空気の温度が変わっていった。

冷たいはずなのに、どこか内側から温められるような、不思議な感覚。


岩壁には青紫の光が走り、脈を打つように明滅している。

足もとに散らばった小さな結晶片が、こちらの足音に反応するように淡く輝いた。


やがて、広い空洞へ出る。


そこに、それはあった。


巨大な結晶。

鋭く尖った破片でありながら、まるで祈りの形をしているかのように美しい。

宙に浮かぶその中心では、白金の光が静かに燃え、周囲を漂う青い霊気が、ゆっくりと渦を巻いていた。


???

「……見つけたわ」


彼女は一歩前に出る。

その声は、洞窟の奥深くまで吸い込まれていくようだった。


少女

「こっちは、精霊シクラースの破片ね」


結晶が、淡く脈打つ。


まるで、その名を呼ばれたことに応えるように。


少女

「大きな結晶だわ。きっとこれが、この洞窟を維持しているに違いない」


彼女は結晶を見上げた。

青紫の光がその頬を照らし、瞳の奥に、小さな星のような輝きを映す。


周囲の岩肌が低く震えた。

天井から落ちる水滴さえ、結晶の光に触れた瞬間、銀色の粒となって宙へ消えていく。


少女

「見て。壁の鉱脈も、床の紋様も……全部、この破片から力を受け取っている」


彼女はそっと手を伸ばした。

だが、触れる寸前で止める。


結晶の表面には、無数のひびが走っていた。

けれどそれは壊れかけているというより、内側に抱えた力があまりにも大きく、器から光が漏れ出しているように見えた。


少女

「土族であるファントラウス族のエネルギー源でもある。

彼らがこの地の奥深くで生きてこられたのは……この子のおかげね」


一瞬、洞窟全体が静まり返る。


その静寂の中で、低い共鳴音が響いた。

地の底から聞こえる、眠れる精霊の鼓動。


仲間

「……これが、精霊の破片……」


少女

「ええ。でも、ただの遺物じゃないわ」


彼女の声が少しだけ硬くなる。


少女

「今も生きている。

この洞窟を支え、ファントラウス族に力を与え続けている。

壊れた破片なのに……まだ、誰かを守ろうとしているのよ」


青い霊気がふわりと揺れた。


まるで、彼女の言葉を聞いていたかのように。


少女

「精霊シクラース……あなたは、まだここにいるのね」


結晶の中心で、光がひときわ強く瞬いた。

その輝きは眩しいほどなのに、不思議と目を逸らせなかった。


それは破片だった。

けれど同時に、この洞窟の心臓だった。


そして、ファントラウス族の命をつなぐ、最後の灯火でもあった。

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