第12話 魑魅魍魎
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「いやっ。死ぬかと思いましたねっ。」
“黄”は首を再生して立ち上がる。
“黒”の『簡易結界+黒揚羽』のコンボは不死タイプの敵には非常に有効な攻撃手段である。『簡易結界』は敵性の相手からの攻撃に防ぐことに特化している。そのため、届けたい魔術や魔法などを安全に届ける事にも適している。
そして、『黒揚羽』は持たざる者の為の魔術であり、俗に言えば対魔式と呼ばれる魔法や占星術を無効化するための高等技術である。結界も対魔式も極東の島国で発達した技術ではあるが、この時のために対策してきた“黒”はこれも習得してきていた。
「流石に、ローマ帝国の崩壊の後に衰退したはずの対魔式をっ、使ってくるとはびっくりしましたよっ。」
「衰退した訳ではないけどね。」
「まあ、ジパングのような国でなければ使わないのですから衰退と言っても過言ではないですっ。」
「けれども、対魔式でも貴女の魔法が打ち破れないとはね。」
「頭を飛ばしたのが間違えでしたねっ。ですが、毒の方はまだ...。」
「効いてるんでしょ。」
“黄”の体には毒がまだ残っている。
「で、俺を忘れてるぞ。」
「わっ!」
地面から血の刃が“黄”を突き上げる。
既に、“赤”は領域を仕込み終わっている。
「やばいっ。反応が遅れますねっ。」
「―」
アリシアの刀が“黄”に襲いかかる。
どう見ても自身の自我が消えているようにみえるアリシアと大罪魔法を奪ったとはいえ“―原初の魔女―”なしで魔女にたどり着いた“赤”の二人を相手しなければならない。
加えて、この二人に気をとられれば、“黒”の攻撃が来る。魔女二人の連携がとれているのはまだ理解できるが、アリシアの行動が綺麗に二人に追いついている。
(操作にしては高性能すぎる...。降霊術の類いか、それとも、分霊術...。それにしてはここの面子の魂は万全な事が疑問になる。)
“黄”は冷静に分析を行う。
「考えすぎね。」
占星術師の戦いにおいて、思考を止める事は命取りである。そして、思考に気をとられれば負ける。
占星術や魔法等その他諸々の使用には想像(創造)力が必要になるが、その根幹たる思考は諸刃の剣である。
「ならばっ。
―“禁断の匣”―
『地獄・万雷の喝采』 」
“黄の“禁断の匣”
地獄
ヨーロッパにおいて後の時代に語られる『神曲』の地獄は彼女が作り出したものである。
黄色は中世ヨーロッパにおいては最も忌むべきものであり、不浄な色。それは、魔女にとって最上級な褒め言葉であり、彼女の魔法を強力なものにするのに貢献していた。
「...。辺獄...。」
“黄”の世界には“黒”が一人だけ招待された。そう一人だけ。
(他の二人は...。まあ、そっち方がいいけどね。)
「やはりっ、この魔法は使いづらいですねっ。」
「対魔女用の魔法だけど、最新の私には対応できていないみたいね。」
“黒”は最新の魔女である。“黄”は当然ではあるが何の魔法を“黒”が保有しているのか知ることはない。
赤は血
青は■■■
黄は地獄
緑は■■
紫は■■■■
白は■■
“黒”は先代であってもその魔法を知る人物は少ない。“緑”と“原初の魔女”を以外は当代であっても知ることはない。それを殺した“黄”は病で蝕まれた状況で殺したので知る由もない。
「少しだけ、魔法を見せてあげる。」
「辺獄は永遠っ。それではっ、意味な...。」
“黄”は地獄の炎で“黒”を焼き殺そうとしたが、その炎は消えてしまう。
最悪の形で“黄”の勘は当たる。
「辺獄の炎程度で殺せるとでも?」
「魔法の無効化っ...。いえっ...。」
そして、“黄”の目の前には
「だから、俺を忘れるなと言っただろう?」
深紅の髪を持つ魔女“赤”が“黄”の胸を拳で貫いていた。
「返して貰うぞ、俺の魔法を」
「なっ...。」
「―【血鎌】―」
“黄”の体はバラバラにされる。
“赤”の魔法は【血】。その魔法の中には血液操作も含まれている。そして、彼女は直接“黄”の中に自身の手を入れることで血液を鎌にしてから細切れに切り裂いた。
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「...。」
地獄は辺獄のみを見せてこの世から消え去った。“戯作者”としてもこの地獄は見ておきたかったものではあるが、中に入れば待っているのは死。作家としては見てないものを創造して書くのも一興、されど、見たことのないものに興味をもつのも事実。
「あら~。そこで何をしているのかしら~?」
ウィザー=ハーミストが戯作者の後ろに立つ。
ウィザーは左腕が欠損しており、体中血だらけである。それだけ彼女たちとの戦いが激しかったという証拠でもある。
「美しくない...。」
「そうね~。今の私では貴女の作品に出るほどの美しさはないでしょうね~。」
「...。」
「黙られると困るんだけどね~。」
「...。」
戯作者はその場を離れる。いくら―調律者―であっても―半人半霊―と戦えばただでは済まない。そして、今から来る魔女達も合わせれば面倒な事、この上ない。
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「ちっ...、あの野郎。」
“黄”は全てを残していた。逆に言えば、“赤”は自身の大罪を取り戻すことしかできなかった。ともなれば、“黄”の残骸には大罪、そして、「《《色》》」が残されてしまっている。“黒”、“赤”の二人は咄嗟にそれを回収しようとするが、
「 ―反響― 」
どこからから指を弾く音。その次には二人はふき飛ばされていた。
「―ちっ。」
「たく。“音の魔女”か」
色が空座になれば当然狙うものもいる。色持ちが空座になるなぞ千年来の好機。他の色持ちに取られても面白くはない。それに、色持ち同士の戦いである当然、両方ある程度は消耗しているはずである。
「 『選択』→『剣:刀』 」
「―っ」
“黒”は横に現れた少女から繰り出される刃を躱す。
「見え見えや。私の目からは逃れられへんわ。」
鳩尾を狙った蹴り。
“黒”は一応、防ぐことはできるが、ダメージは受けてしまう。
彼女達も死にたくはない。しかしながら、“黒”や“赤”は天災そのものであるため、「生身の人間が世界が手に入るスイッチを手に入れるために竜巻の中に一人入って行くようなもの」というのが彼女たちがしようとしていうることである。それでも、手に入れようとするだけの価値が色には存在する。
「久しぶりやな。ばばあに好かれただけの優等生ちゃん?」
「久しぶりね。“後刻の魔女”さん?」
片目を隠した独特の訛りのある口調の少女は“後刻の魔女”、刀を持つ少女は“戦争の魔女”、そして、無音でいつの間にかここに接近している女性が“音の魔女”。
「これで、あんたに勝て...。」
「 ―血刺― 」
国家戦略級の魔女3人。
しかしながら、色持ちであればその程度であれば何度も経験したことのある話。
「ちっ―」
「イタイイタイ」
「―。」
地面から伸びる血の刃。
“戦争の魔女”はある程度防ぐものの刀が折れ、ダメージを受ける。
“後刻の魔女”は一瞬だけ、自身の魔法を極限にして、どうにか“赤”の攻撃を回避する。
「あら、よそ見は厳禁ね。それに片目から手を離してはだめじゃない?」
「このボケナ...。」
ただし、“赤”の攻撃は避けることができてももう一人の天災がここには存在する。
「確か、こうだったかしら?
―嘆き苦しめ―
『青荊』 」
「化け物め...。」
バラバラにされてしまった“音の魔女”。そして、何故か他人の妖刀を使用していた“黒”によって生死不明の状態にされた“後刻の魔女”。
完全に孤立してしまった“戦争の魔女”。この色持ち二人に勝利する必要はないが、
(これは...。ムリムリ。)
魔女3人の第1陣は完全に敗北。
魔女3人にある程度削って貰おうと考えていた人間も考えを改めなければならない。今回は諦める者、他の者が出れば動くかと考える者、隙ができるまで動かない者、そして、対象を変える者。それぞれが動き出していた。
「 ― 禁忌目録 ―
『閲覧権限』=『認証』
―【 正義 】― 」
「「!?」」
鮮やかな桃色の髪をツインテールにした少女。彼女が降り立った瞬間、“戦争の魔女”の首が飛ばされた。無論、首を飛ばしたのはその少女である。
「こいつは...。」
「貴女は見たことあるんでしょう?」
「いや、天使...。四大天使は人間でも何でもない概念、権能だったはずだ。」
“黒”と“赤”の生存本能が久しぶりに警鐘をならす。神代の再来とも呼べる底知れぬ恐怖。
「ん、んん。声が上手くでるかな。私の体は《《初めて》》だからな。」
桃髪の少女は肩を回しながら首を鳴らす。それはこの世を見ることができての好奇心。そして、自身の明確な敵を認識できたことによる高揚感。
「“魔女”...。記録としては知っているが、あっけないものだったな。ん、んん。この口調も面白いですわね。」
咄嗟に動く二人
しかし、二人は少女に攻撃する寸前で止まる。
「ん、んん。気づくなんて凄いね。話し方が定まらない。」
「たく、こちらに顕現が可能な大天使の一翼が来るとはな。」
「名前なら、マイケル。そう呼んでくれてもいいんだぞ☆...ん、んん。【 正義 】と呼びづらいのであればな。」
“黒”&“赤” vs “黄”
“黒”&“赤”の勝利
“黒”&“赤”
vs “戦争の魔女”&“後刻の魔女”&“音の魔女”
“黒”&“赤”の勝利
“黒”&“赤” vs 大天使?ミカエル?
話が通じず。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
レビュー?とか評価?とかしてもらえるとうれしいです。(システムをよく理解できていない)
それでは、どうぞ皆様よしなに。




