第13話 天使が通る①
読んでくださってありがとうございます。感謝感激です!
「Tout est vostre - et y entrez! 」
(死にたくありましぇぇぇぇぇぇぇん。)
トゥーレルへの攻撃を敢行するジャンヌ・ダルク。内心泣きながら攻撃の矢面に立っているのだが、当然、占星術の関係で攻撃など当たるはずもなく、おびえているのはイングランド兵の矢でも、ハシゴを登っている途中に後ろ振り向いて「あっ、意外と高い」となり高所に恐怖している訳でもない。
(何ですかあれ?魔女と魔女の戦いってあんなに異次元なんですか?終末ですか?)
多くの兵士達はこの事に気づくことはない。気づかないから、気づけないから占星術師達は影の存在でいられたのである。気づいたとしても、彼女達は天災であり、悪魔であり、何かの間違えであるとそう認識していくことで人類は生きながらえてきた。
「そう、貴女がジャンヌ・ダルクですか。」
「え?」
落下するジャンヌ。
「いてぇぇぇぇぇぇ。ん?痛くない?」
落下したとはいえ占星術師の端くれのジャンヌ。この程度では死ぬことはないし、それどころか痛みすら感じることさえない。
「初めまして。私は“教会”で聖女をやっている...。ローラシアと申します。」
「...?」
ジャンヌは首を傾げる。
自分は空を見ているのだから。何故、自身は空を見ているのか?
そして、「聖女」という文言が聞こえた気がする。しかしながら、ジャンヌはそれどころではない。梯子から落下したことで、魔術が切れてしまった。
「ここまで私を無視するのも少ないのですが...。」
ローラシアがジャンヌに向かって右手を広げる。
「それは困るな。」
ローラシアの腕が宙を舞う。
「なっ...!」
教会の“聖女”ローラシア。歴史の分岐点となるジャンヌ・ダルクを殺しに来る地点で全ての対策はしていた。しかしながら、当然、こちらの確実に障害になる魔女達や“聖者”、半人半霊、それらを完璧に動けなくしてからの舞台の開演、そのように考えていたがダークホースがいた。
「ここで颯爽と登場と。そして、フランス軍人としての威厳をとり戻さなければならない。」
ジル・ド・レ
変態軍人としての汚名を返上するため...、ではなく、"黒”がもしもの時のために配置していただけである。
そして、もう一人。この戦場をコントロールするために"黒”に用意された兵器「ラ・イル」。
とある死体の残骸から作りだした人造人間。
「天使の死体を使うとは...。私の対策も万全といった所でしょうか?いえ、ここにすぐにはこれない辺り"大天使”には対応できなかったみたいですね。」
ローラシアはジャンヌと目の前に現れた二人?を見てつぶやく。
「...」
ラ・イルは小さい斧でローラシアの首を切りにかかる。そして、それに合わせてジルも攻撃に参加する。
「なめられたものですね。対策としては満点。ですが、私は"天后”の能力のみ頼っているわけではありませんよ。」
「なるほど、そういうことか。」
ジルはグチャグチャになった自身の幻影をみてつぶやく。
(ご主人様の判断は間違えていない。基本的には私の魔術で対処すればダメージを受けることはない。)
ローラシアは澄ました顔で攻撃を避ける。
聖女も"黒”もどちらも今回のオルレアン攻防戦において介入の可能性は考えていた。
聖女としては、そもそも、ここまでフランスが耐えている方がおかしいのである。
"赤”の介入により、フランス戦線に下手に人員が送れなくなったが、それでもフランス王家に送った刺客が倒されているのは疑問であった。となると、アクレシア家の可能性もあったが、それだけでは説明できないほどの戦力を送り込んでも撃退されていた。"聖剣”を持つドイツ騎士団も歴史そのものである東方騎士団もそれぞれに事情があり動けない。となれば、自分を殺す事が可能な"真面目聖騎士団”も"歴史家”も"千剣”も“神速”も動くことはできない。そうなれば必然的に動くのは魔術協会か円卓、そして、魔女しかないわけである。
(予想は当たっていました。しかしながら、ここまで私の情報が漏れているとは...。"貴人”は流石にそろそろ排除しておかないいけませんね。)
魔術協会はヴィンランドの開拓に忙しい。占星術の神代の残り香がまだくすぶっているヴィンランドには魔術師を主体とした魔術協会は非常に不利である。となると、魔術協会の主戦力である"ホロスコープ”はほとんど出払っているであろう。そして、“円卓”はローマ時代以来、大陸の事には一切の興味を示さない。その理由はオークニーにて、“聖遺物”を守っているだけの引きこもりと化しているということからだろうが...。
いずれにしても動けるのは魔女だけ。
動きを把握できていないのは“白”だけである。となると、色持ちに相当する魔女がフランス王家の内部に存在する。それも最近になり、残された王太子にアクレシア家の余力が回らなくなってからフランス王家に入った魔女だと、ローラシアは全て想定していた。
そのために“黄”を動かし、教会の“四大騎士”の一人も利用して削ることまで考えていた。ここまでは想定の内、逆に言えば、ノーマーク、大穴も良いところのジルとラ・イルの二人がおかしいのである。
「とはいえ、準備が整えばこちらのもの。」
杖の先を地面に2回、コンコンとノックする。
そして、場面は移動する。
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「“聖女”ローラシア...。いえ、“天后”と呼ぶべきですかね。えぇ。」
「...。なるほど...。転移先まで読むとは...。」
ローラシアはジャンヌを対象にしつつ、ジルとラ・イルを対象からはじき、移動した。
「なるほど、貴女でしたか、私の転移を妨害したのは。」
「いえ、私ではないですよ。それよりも適切な主がいますからね。えぇ。」
「はぁ~。本当に“貴人”は...。」
「こちらも、基本的には同意ですがね。えぇ。」
「まぁ、それでも貴女だけなら...。」
「まあ、私の“術式解放”を使用した所で、もって一分くらいでしょう。」
伊勢守も当然熟知している。この聖女がどのようにして、教会内部を掌握したのかを。
「ふふ...。それなら...。」
聖女は自身の切られた腕を治し、伊勢守への魔術?を発動させた。
伊勢守の周辺の空間が捻じ曲がる。
「一分は稼ぎますけどね。えぇ。
―術式解放―【天義不承】 」
伊勢守の術式解放。それは、一定時間の間、あらゆる魔法や魔術等の霊力による外部干渉を無効化する。
次に来るはずであろう、その魔女のために、伊勢守は幼き聖女ジャンヌ・ダルクを守るように行動する。
(まあ、もし仮に、私が死にそうになれば流石にあのお方も介入するでしょう...。)
オルレアン攻防戦
聖女ローラシアの介入により、ジャンヌ・ダルクが別の場所に転移。
伊勢守 vs 聖女ローラシア
伊勢守の“固有式”:残り時間「0:51:09」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
レビュー?とか評価?とかしてもらえるとうれしいです。(システムをよく理解できていない)
それでは、どうぞ皆様よしなに。




