第9話 青の薔薇
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5月4日、オルレアンを取り囲むイングランドの砦の一つサン・ルー砦に攻撃が開始され一日も持たずして陥落した。次の日、5日にはサン・ローラン要塞に攻撃を加えることをジャンヌは主張したが休息日であることから翌日に持ち越された。
翌日6日の朝には、イングランド軍の弱点である南岸のオーガスティン砦への攻撃が開始された。その中でジャンヌ・ダルクは負傷したとされるが一部の将兵からは普通に歩いていたとの報告があり本当のところは不明である。
5月7日、オルレアン包囲戦においてトゥーレル砦への攻撃が開始された。ジャンヌは昨日夜に帰って来ていた軍議に参加できなかった事に加え負傷していた事から、ジャンヌの参戦は見送られるはずだったが、ジャンヌはこの作戦に参加した。
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オルレアン近郊
「貴女がアリシア=アクレシアですね?えぇ。」
「誰...。私と同じ?ゴホッ...。ゴホッ...。」
「貴女と同じく私も“聖者”ですよ。ただし、“貴人”のですがね。えぇ。」
「はぁ...。嘆かわしい...。ゴホッ...。ゴホッ...。」
アリシア=アクレシア
腰まで伸びた長い黒髪。そして、病的なまでに白い肌に目元には墨で塗りつぶしたかのような真っ黒なクマ。
伊勢守よりも先の時代の格好をしている。後に、極東の島国の女学生の格好というのは変わりはないのだがアリシアは黒を基調としたセーラー服というものに身を包んでいる。
そして、両者ともに腰に極東の島国の剣、刀を帯びている。
「...。」
「...。」
刹那
刃がぶつかる。
刀の刃は非常に鋭く、美しく、そして、脆い。故に、非常に繊細な霊力操作ができなければ、瞬時に刀はおられてしまうだろう。
両者の実力は拮抗。剣術だけであれば、圧倒的に伊勢守なのであるが、流石はアクレシア家当主の娘といいたところなのか有り余る霊力でその差をカバーしていた。
「ふむ...。それであるなら」
伊勢守はアリシアから一定の距離をとる。そして、片膝をつき刀を鞘に収め水平に前に出し構える。
「―簡易結界―」
伊勢守を中心にドーム状の透明な障壁が展開される。
「ゴホッ...。ゴホッ...。」
(あれは...。)
誘うような剣術。
後には陰陽式新陰流と呼ばれる剣術の基本形となる。
(流石に使うでしょうね。えぇ。)
伊勢守の役目は足止め。
“玄武”の“聖者”は現状どちらにつくかは不明である。恐らく、“黄”と“聖女”が手を組んでいる事は確実であるが、“玄武”との仲が良好ではないとの噂が流れているアリシアが敵ではない可能性が非常に高い。
しかしながら、“半人半霊”がこちらにいるとなるとどうなるのだろうか。伊勢守は教会内にてアリシアが“半人半霊”の研究をしていることを知っている。となると、今回の“四大騎士”が動かしたのは異端審問官のみであり、アリシアの独断ではないのか。加えて、ここで道草を食っていることに焦りが見えないのも納得がいく。
「ゴホッ...。少し...面倒...。」
「!?」
アリシアは伊勢守の誘いに乗った。
それも、真っ正面から斬りかかる。
伊勢守の結界は脆い。しかしながら、間合いを図るためのものであり守るためのものではない。
「?」
アリシアは結界の脆さに首を傾げる。
それと同時に飛び出してくる刃。刀の側面を狙った一撃。
「!?」
アリシアの刀はおられることはなかった。
カランという金属音とともに伊勢守の刀の先が《《溶け落ちた》》。
そして、振り下ろされるアリシアの刀を伊勢守は咄嗟に避ける。伊勢守の勘がアリシアの刀に触れてはならないと警告していた。
(これは...。妖刀ですね。えぇ。)
「 ―嘆き苦しめ―
『青荊』 」
妖刀の力を解放するための呪禁と使用者しか知り得ない妖刀の“深名”。
「ゴホッ...。私の刀の能力は毒。」
「なるほど...。私の刀を溶かす毒ですかね。えぇ。さしずめ、対象にとって一番有効的な毒をその刀にまとうと言ったところでしょうかね。えぇ。」
「正解...。ゴホッ...。」
「しかし、私の結界には何も起きていないあたり、その対象を理解している必要がある?といったデメリットがあるような感じでしょうかね。えぇ。」
「素晴らしい...。この一瞬で理解するような占星術師が教会にいたなんて...。ゴホッ...。ゴホッ...。」
アリシアは刀を振るう。
厳密に言えば、アリシアの妖刀『青荊』のデメリットは違う。『青荊』が対象を理解する必要がある。そのため、何回で毒が生成されるかは不明なのである。
伊勢守はなるべくアリシアの刀に触れないように攻撃を避けたり、いなしたりしている。
両者の実力は拮抗しているとはいえ、戦闘センスには伊勢守の方に軍配が上がる。それを拮抗に持っていくアリシアの妖刀の力は非常に強力である。
(戦局は拮抗。相性は良くない方ですね。えぇ。出し惜しみしても仕方ないでしょう...。)
「?」
伊勢守は刀をアリシアに向けて投げた。
その刀をアリシアは自身の妖刀で溶かして防御した。
結論から言えばこの判断はミスであった。伊勢守の刀を弾いておけば、伊勢守の側面からの攻撃に万全に反応し、防御ではなく回避に思考を割くことができただろう。
「 ―黒揚羽― 」
伊勢守は右手に黒の魔力を纏う。
アリシアは側面に瞬時に移動した伊勢守の攻撃を刀で防ごうとするが
「一手の差ではありますが私の勝ちですね。えぇ。」
そのまま、伊勢守は拳でアリシアを刀ごと殴り飛ばした。
「時間稼ぎは果たしましたね。えぇ。」
オルレアン近郊
教会“聖女派”・“玄武”の“聖者”アリシア=アクレシア
vs “貴人”の“聖者”■■伊勢守
勝者 ■■伊勢守
質問コーナー?
担当のアリシア=アクレシアさんが体調不良のため本日の質問コーナーは中止です。




