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初恋相手との文通は清らかに紡がれる  作者: 香雪 莉子
襲撃編

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5-3.襲撃


『またディカエの気配が見えなくなった。タチが悪いな……。』


「精霊力は使えそう?」


『転移までは厳しいな。もう少し行けばできるだろう。』


「じゃあ早く行きましょう、レイオール侯爵令息が……!」


『セリーナ、気をつけろ……!』



一瞬消えたディカエの気配が再び今までの比ではないほどにブワッと膨らんだ。ここまでの圧を感じたことのないセリーナは、恐怖に足が震える。



『……同じだ。』


「……何が?」


『全て同じだ、競技大会とやらの時も、()()()()も。こうしていきなり気配なしにディカエが現れた。』


「い、以前?」


『……()()()()()()()()()……!!!!』



溢れ出る怒りと共に咆哮したレンは、いつかの時のようにディカエを元に戻す力を展開する。その瞬間、近付いて来ていたディカエの気配がごっそりなくなるのを感じる。しかし、()()()()()()()()()()()()()()



『……やはりな。』


「え、何? なんなの……? ディカエの気配は薄れたけど……。」


『これでは埒があかん。走るぞ!』


「え、ちょっとレン……! あ、危ない!」



また進み出そうとしたレンの左側からいきなりディカエが襲ってくる。慌てて対ディカエ専用の防御魔法をセリーナが出したため無事だったが、いきなりの攻撃にレンも直前まで気配を感じなかった。



「……っ!!」


『大丈夫か、まだ右手で魔法は難しいだろう。』


「でも……右手の方が防御魔法はすぐ展開できるから……。」


『……かなりの数だが私が相手をする。そなたは自分の身を守ることだけ考えろ。』


「危険よ、レン! 駄目に決まって……あ、待ってレン!!!」



セリーナの目の前に駆け出したレンは目視できるようになった大量のディカエを相手に攻撃を仕掛けていく。精霊に戻すのではなく、攻撃を仕掛けていることにセリーナは固唾を飲んで見守っていたが、攻撃を受けたディカエが精霊の姿に戻ることもなく霧散して消えていくのを見てセリーナは目を見開いた。


競技大会でミファ様を襲ったディカエも、跡形もなく消えてしまったからである。


あの一件の犯人は捕まっておらず、国王陛下まで動いて犯人を探していると聞いていた。その犯人が、今度は私にディカエを仕向けてきたということだった。



“ 私がそんな人に狙われる理由って一体何……! ”



権力争いにもゴルドー伯爵家は全く関与していない上に、伯爵家の中でもほぼ力を持っていない家柄である。狙われる理由は皆無である上に、万が一自分が契約者だとバレていても不利益を被る人間がいるとは思えない。

考えても考えても答えが見つかる糸口すら見えないセリーナは、自分に防御魔法を展開しつつ、レンが危ない時には防御の壁を作って時間を稼ぐという後方援護をしていた。


そんなセリーナの後ろに、ディカエが数匹音もなく近づいてきていた。



『……!! セリーナ、気をつけろ後ろだ!!』


「えっ……」



神経を研ぎ澄ましていたのに、と後ろを振り返るとざっと見ても十匹は超えるディカエがセリーナを見ていた。防御結界越しでもここまでの至近距離でディカエと向かい合ったことはなく、全身に鳥肌が立つ。元は精霊な可哀想な子達という認識だったディカエが、先程から精霊に戻ることなく霧散して消えていくのを見ていたセリーナは目の前のディカエから得体の知れない恐怖しか感じない。


防御結界を前にしても容赦なく攻撃を仕掛けてくるディカエに思わず悲鳴をあげ、頭を抱え込む。



『セリーナ!! くそ、邪魔だ!!!!』



遠くでレンが一際大きい咆哮をあげたのが聞こえる。恐る恐る視線を上げると、レンが多くのディカエに覆い被さられそうになっていた。見たことのないレンの苦悶の表情にセリーナは喉がヒュッと締め付けられるような感覚に襲われる。



「……駄目……やめて、レン……!」


『セリーナ、そのまま逃げ、ろ……』


「やだ、やだ、レン……! やめて、レンから離れてよ……!!!」



セリーナはガバッと立ち上がるとレンの方へ駆け出した。右手の怪我の影響で、魔力の扱いが不慣れな左手で対ディカエの防御結界を常時繰り出していたせいで魔力も多く残っていない。立ち上がる瞬間に薄まった結界にディカエの攻撃が容赦なく繰り出され、セリーナの背中に攻撃がかする。



『来るな、セリーナ! 逃げろ!!』


「………っ!!!」



ディカエの群れの中に突っ込むために痛む右手を堪えて防御魔法を全力で展開してレンの元へ駆け寄った。怪我でボロボロのレンを抱きしめると、泣きながらレンを抱えて逃げようとする。



『……セリーナ、いいんだ、置いていけ。』


「絶っっっ対に、嫌!!!」



痛む右手で防御結界を展開しながら、もう猫の姿に戻る力も残っておらず虎の姿のままのレンを抱きかかえて逃げるのは困難であった。数メートル進んだ先で、更なるディカエの攻撃に防御結界にヒビが入り始める。



「くっ……!」


『セリーナ……』


「ごめん、ごめんね、レン! 巻き込んじゃった!! もうこれ以上防御魔法も無理そうでっ……貴方のことも守れないっ……ごめんね……!」


『そなたが謝ることじゃない、私が守れなくてすまない。』


「ごめんね、レン……! 大好きだからね!!」


『ああ、私もだ。そなたと一緒で嬉しい。』



セリーナは子供のようにびゃあと泣いてレンを強く抱きしめる。レンもどうにか精霊力が使えないかと力を振り絞るが()()()()()()()()()一向に使える気配がない。


“ 親子揃って自分の選んだ人間を守れないとは…… “


後悔に目を瞑り、セリーナの防御結果が今にも破壊されそうになったーーーその時、辺りがまばゆい光で包まれた。

懐かしい気配にレンが目を開けると、そこにはこちらに背を向けた白い虎が立ちすくんでいた。凄まじい力でディカエを一掃したその白い虎は、レンの方へ振り返ると静かに微笑みを向けた。



『……久しぶり、父さん。助けにきたよ。』




ここにたどり着くまで、この話数になるとは思っておらず……文章力の無さに自分のことながら引いております。


それでも、こんな拙い文章ではありますが、ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。


完結まではまだしばらくかかりそうですが、

最後までお付き合いいただけると嬉しいです。



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