↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/32

24話 兄



「うっ眩しっ。」


薄く開いた瞼の隙間に、強烈な日差しが差し込んできた。

さっきまでスリープモードだったはずの脳が叩き起こされる。



「今何時だ、、、」



外から入り込む日差しの角度的に、もう正午だろうか。

昼起きなんて、いつぶりだろうか、、、

というか、、腹が減ったな、、、




食料を求めて、足が自然とリビングへ向かう。

行けば、何かしら口にできるはずだ。



「おはよう、ユート。よく眠れた?」



「お、おはよう、、、」



セリナがいた。

その腕には、赤ん坊が抱かれている。



――そうだ。

その姿を見た瞬間、昨日の出来事が思い出される。




「リフェもおはよう。」



あいさつはしたが、もちろん帰ってくるわけはない。



「昨日はお疲れ様。ユートにも無理をさせちゃったわね、、、ごめんなさい。」



「いやいや、一番大変だったのは母さんの方じゃないですか。本当にお疲れ様でした

。」



母と談笑しているところに、昨日のMVPがやってきた。



「あら、おはようございます坊ちゃん。」



「おはようござます。フキルクさんも昨日はお疲れ様でした。おかげで妹が無事に生まれました。」



「坊ちゃんこそ、お手伝いご苦労様でした。きっと良いお兄ちゃんになれますよ。」




お(・)兄(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)、、、かぁ。



俺は、改めてリフェを見た。


リフェは小さく寝息を立てて寝ているようだ。

この生き物が、つい昨日まではセリナの体内に収まっていただなんて、少し現実味が無い。生命の神秘ってやつだ。



それにしても、、、本当にかわいいなぁ。

どう成長するかはわからない。けれど、赤子の時点でこれだけ顔が整っているんだ。将来は絶世の美女になるに違いない。



この子の兄になるのか、、、俺が、、、



なれるだろうか。

いや、何もせずとも兄にはなれるんだろう。

だが、どうせならちゃんとした兄にならなければ。



、、、ちゃんとした兄といっても何をすればよいのだ?



俺は兄という概念をよく分かっていない。


二次元の世界での兄妹は、特に意味もなくラブラブなケースが多い。


しかし、リアルで妹を持っている友人に聞いた話では、「妹と関わるとお互いに悪影響しかないから、兄の方からなるべく距離を取るべき」だと言っていた。

俺もそうすべきなのだろうか。



流石に二次元の兄妹の関係が誇張しすぎなのは分かるが、なるべく関わらない様に過ごす。ってのも違うような気がする。どうせなら仲良くしたい。

俺は、リフェとどう関わっていくべきなんだろう。



そもそも、俺はそう遠くない内に元の世界に帰るつもりだ。

まだ何も確証は得れていないが、その予定だ。

元の世界に帰るということは、こっちの世界で死ぬようなものだろう。

もちろん行き来が自由。なんて可能性も考えられなくはないが、、

基本はそういうものは一方通行だろう。

いや、一方通行だと、帰れないってことになるじゃん。




ま、まぁともかく、あまり深く関わるのは良くないのではないだろうか。


これだけ可愛い子と家族として接していたら、愛着が湧いてしまうに決まってる。

そうなったら、帰るときの足枷になってしまうのではないだろうか。


帰る。という信念が揺らぐくらいなら、いっそのこと全く関わらない方が、、、




「おはようユート。昨日はよくがんばってくれたな。」


ヴェルトが裏口から家に入ってくる。



「おはよう父さん。今日は仕事はおやすみ?」



「まぁそうだな。今、リフェ用のベビーベッドを仕立て直しているんだ。お前が使ってたやつをそのまま使いまわすのもなんだろ?だから、色々改良してるんだ。」



そう言うヴェルトの手にはノコギリのような大工道具が握られている。



「昨日あんなに動いたんですから、今日くらいはゆっくり休んだほうがいいんじゃないですか?」



「なーに。普段の仕事に比べりゃ、休みみたいなもんよ。」



「そ、そうですか、、、」


大工仕事だって十分疲れるのでは、、、?



ヴェルトがノコギリを壁に立てかけ、セリナに近づく。

そして、腕の中のリフェに目を向ける。



「本当に、、無事に生まれてくれてよかった、、、、」


ヴェルトは急に今にも泣きそうな顔でリフェを抱きしめる。



言葉には同意だが、そんなに感極まる状況だっただろうか?

まあきっと、実際の父親にしかわからない何かがあるのだろう。

しばらく、リフェを抱きしめた後、ヴェルトは俺に向き直る。



「ユート。」


少し真剣な顔持ちになっている。



「ど、どうしました?父さん。」



「お前は賢い。 だから頼む。」



「な、なにを、、?」



心臓が早鐘を打ちだす。



「この子を、守ってやってくれ。」



「は、はぃ。」


思わず情けない返事をしてしまう。



「お前は俺の息子だ。だから、リフェのお兄ちゃんだ。」



そんな当たり前な、、、

いや、、これはもしかして、、、



「いいか。お兄ちゃんなんだから、妹をしっかり見てやってくれ。分かったか。」




「、、はい。分かりました。俺に任せてください。」



「いい子だ。」



ヴェルトが俺に近寄って、頭をワシャワシャしてくる。




しょうがない。命の恩人に守ってくれと言われたんだ。

少なくとも、リフェが大人になるまでは見守ってやろう。



どのみち、帰る手段がそんなにすぐに見つかるわけでもないだろう。

ちょっとしたサブクエストのようなものだ。



よし、やるぞ。

俺がこの子のお兄ちゃんになってやる。






中目標

・リフェが大人になるまで守る。new


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。