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19話 レナ暦3459年12月



12月になった。

冷気が入り込んでくるので窓は閉め切っているので外の景色が見られない。

が、おそらく雪景色だろう。



え?12月?異世界にちゃんとした暦があるわけないだろって?


それが、、、実はあったんですよ奥さん。



今年の夏でのクセスから買い物。

あの時、セリナが俺の教育に役立ちそうなものをたくさん買ってくれたのだ。

文具に本によくわからないパズルなど、、いわば教育セットだ。


そのひとつがこれ。


カレンダー。


クセスが帰った次の日には俺の部屋の壁に掛けられていたのだが、一目見てすぐにカレンダーだと分かった。紙の束が12枚重なっている、前世でもよく見たカレンダー。

しかも、月の表記に数字が使われていた。この世界の数字は前世の英数字と似ているので、カレンダーを読むのはとても簡単だった。


カレンダーを読んでいて分かったのはこの世界の暦は、全く前世と同じ方式だと言うこと。1月から一年が始まり、12月で終わる。

前世でいう、グレゴリオ暦?が採用されている。うるう年もしっかりあるらしい。


違うのは、紀年法だけ。

このカレンダーに書かれている、今年の年数は3459年。

しかも、西暦では無い。


今年は、レ(・)ナ(・)暦3459年。


レナといえば、普段使ってる言語も名前はレ(・)ナ(・)語。

どこでも『レナ』とやらが出てくる。


このレナというのはこの世界での神的な存在らしい。

通称、ノシャ・レナ。


ノが『知』

シャが『分け与える、支える』


俺風に訳せば、『賢者レナ』というとこだろう。

その賢者レナが下界へ降り、人々に農耕・計算・医療・暦の読み方など様々な知識を教えた「最初の授与の年」。それをこの世界では『紀元』としているようだ。



俺が思うに、おそらくこの賢者レナは転生者なのではないだろうか。

何か一つを発明しただけなら、只の天才の可能性もありうるが、農耕・計算・医療・暦の読み方のすべてを0から開発した。は流石にやりすぎだ。


転生者が前世の記憶で無双した。とすると辻褄が合う。



つまるところ、この異世界は

『転生者が知識無双してから3000年後の世界。』

というのが俺の推測だ。




このような発見も得られるので、クセスから買ってくれた教育セットは非常にありがたい。

この『レナ』の話も、教育セットにあった歴史書から得た情報だ。

セリナは前世で言うところの教育ママなのだろう。

前世では疎まれるかもしれないが、今の俺にとっては最高の母親だ。


まぁカレンダーに関しては、元から二人の寝室に置いてあったらしいが、、

まあでなければ、俺の誕生日を毎年正確に祝うのは無理だろう。



そういえば、このカレンダーには二人の誕生日が記されていた。


2月12日。セリナの誕生日。

8月9日。ヴェルトの誕生日。


それぞれ丸が付けられている。

二か月後にはセリナの誕生日だ。

これまで一度も祝ってあげられてなかったし、森で花でも摘んでこよう。



もちろん自分の誕生日も記されていた。

毎年春に祝われていたので、なんとなくは分かったいたが、正確な日付は初めて知れた。


4月15日。


この日、俺がこの世界で生まれたらしい。

多分産みの母が、あの雨の日に籠に情報を入れていたのだろう。



そういえば、王宮どうなったんだろうなぁ。

平和な日常を送っていたせいで、どこか遠い話のようになってしまった。


いや、忘れたほうが良いだろう。あんな記憶。


あんな、、、



「うっぷ。」



まずい。あの時見た人の首の断面を思い出してしまった。



一度外に出よう、、




外はやはり、雪景色だった。


肺の奥を冷えた空気が湿らせる。

雪が絡みついた針葉樹がずっと並ぶ森は見ていると落ち着きを与えてくれる。



「いや、大丈夫だ。」



自分に言い聞かせる。



俺は今ここで生きている。

何一つ問題は無い。

質素だけれど、静かで、穏やかで、暖かい毎日。



生きてさえいれば、

いつかきっと元の世界に帰れるはずだから。



森の奥から、斧を担いだ男が雪を払いながら歩いてくる。

ヴェルトだ。仕事から帰ってきたのだろう。



森の奥に向かって、元気に手を振った。

さっきまでの憂いを搔き消すように。


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