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未完成のまま― 最適解に選ばれなかった僕たちへ ―  作者: はるねこ
第2期

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45/48

第45話 透明なる意思

セキが五つの光となる。

やがて、その光は人型へと変化する。

鋭い赤、ガーネット。

静かな青、フローライト。

軽い黄、シトリン。

防御姿勢の緑、ジェイド。

そして少し不気味な紫、アメジスト。

それぞれ同じような顔でも、違った雰囲気を放つ。


ハルト『分身か。しかも、ただ増えただけじゃない』


1人1人が役割を分担している。

そんな気がした。

ハルトの目は完全に“見極め”だった。

その瞬間。

シトリンが消える。


ハルト『速っ……!』


高速移動でハルトの背後へ回る。


シトリン「閃駆晶式(アクセル・アーツ)!」


高速の蹴り。

顔目掛けて放たれる。

だが、ハルトは振り向かない。


バチッ


攻撃が当たる直前。

小さな雷が響く。

次の瞬間、シトリンが吹き飛ぶ。

ビルへ激突。


ガーネット「っ!?」


ハルト『軽いな』


雷で飛ばしただけ。

それだけで、シトリンが微動だにしなくなる。

肌は透明な結晶へと変わった、次の瞬間。


ガシャァン!


宝石像は粉々に砕け散った。


ハルト「……え?」


さっきまでセキの身体だったものが、一瞬にして消えた。

ハルトは大量の冷や汗をかく。


ハルト「セ……セキ……、これって……大丈夫なのか?なんか、やっちゃいけないことしちゃったような……」


近くにいたフローライトが表情を和らげる。


フローライト「安心して。これはセキあっても、セキ自身じゃないから。本人には影響はないわ」


ハルト「……?ということは、君たちは一体何者なんだ?」


ガーネットが前に出る。


ガーネット「私たちは、セキの分身体。セキの意識が宿った五つの宝石よ。ほら、続きを始めよ」


まるで、性格がセキ本人とは違かった。

ガーネットは強気で、フローライトは優しさを感じた。


ハルト「分かった。それじゃ、いつでもいいよ」


その言葉と同時に、ガーネットが動き出す。


ガーネット「破砕晶式(クラッシュ・アーツ)!」


真正面からの打撃。

一直線の火力特化。

ハルトは息を吸う。

そして、片手でガーネットの拳を止めた。


ガーネット「何!?」


ハルト『攻撃タイプか、悪くない』


バチィッ


ガーネットも雷により吹き飛ぶ。

近くの壁にぶつかり、結晶化。

そのまま砕け散った。

それを見て、フローライトとジェイドが同時に動く。


フローライト「偏折晶式(プリズム・アーツ)


変則的な動きでハルトに近づく。

それより前で、ジェイドは構える。


ジェイド「守壁晶式(フォートレス・アーツ)


フローライトを守るように、壁を展開する。

悪くない連携。

だが、ハルトには見えていた。

次の行動が。


ハルト『背後に回るな。とりあえず、避けてみるか』


足に雷を溜めて、避けようとする。

その瞬間。


ハルト『っ……!あれ、動けない?』


足だけでない。

身体全体が固まっていた。

動こうとしても、1ミリも動かない。


ハルト『まさか……!?』


最後の1人、アメジストが手のひらを向けていた。


アメジスト「束縛晶式(バインド・アーツ)


その隙に、フローライトは背後に回る。

ジェイドは正面のまま。


フローライト「やぁっ!」


首の急所を狙う。

ハルトはまだ動けない。

このままでは当たる。

だが。


ハルト『まだ甘いな』


その時、全身に雷を走らせる。

フローライトが触れた瞬間、周囲に電流が走る。


フローライト「!?」


ジェイドもそれに巻き込まれる。


ジェイド「ぐっ……!」


2人に大きなダメージが入る。

そのまま結晶化し、砕ける。

そして残るは、アメジストのみ。

ハルトはまだ、手に持つ鎌を使っていなかった。


アメジスト「……っ」


アメジストは拘束を解く。

動けるようになったハルトは、ゆっくりと近づく。


ハルト「どうした?攻撃しないのか?」


アメジストは下を向く。

そのまま、小さな声で。


アメジスト「……私だけ残っても、何も出来ない。……私たちの負けよ」


ハルト「……そっか」


そしてアメジストは、結晶化し始める。

今度は砕けず、元のセキの身体へと戻った。

息が荒く、膝が震えている。


セキ「……やっぱり……私、弱いの。私なんか……誰にも気にかけてくれないんだ……」


ハルトは少し黙る。

静かにセキの元へと歩く。

そして、そっとセキの手を取る。


セキ「……っ」


ハルトは、温かく笑った。


ハルト「君は、弱くなんかないよ」


セキ「……え」


セキが顔を上げる。

ハルトは続ける。


ハルト「分身の役割分担もできてるし、連携も悪くない。それに、能力自体はかなり強い。ただ……」


ハルトの目が少し鋭くなる。


ハルト「君自身の気持ちが負けちゃってる」


セキの肩が揺れる。


ハルト「セキは戦う前から、“自分は弱い”って思ってるだろ」


セキ「っ……」


図星だった。

続きをゆっくり話す。


ハルト「分身が言ってた、セキの意識が宿った五つの宝石だって。セキの気持ちが変われば、分身も変わるはず」


真っ直ぐとセキを見る。


ハルト「弱気だと、力が入らない。動きも鈍るし、判断も遅れる。だから、もっと強気になるんだ」


セキ「……強気?」


ハルト「相手を倒す。勝つ。そう思って戦えば、もっと強くなれる」


その言葉。

不思議だった。

今まで、そんなこと言われたことなかった。

みんな、セキを弱いと言った。

みんな、セキを足手まといと言った。

でも、ハルトは違った。

敵でも関係ない。

私に、希望を与えている気がした。


ハルト「能力に振り回されず、君自身が変わるんだ」


セキは少し俯く。

胸の奥がザワつく。

悔しい。

でも、嬉しかった。


ハルト「ま、いきなり変われって言われても難しいけどな」


セキ「……」


小さく息を吐く。

そして、ほんの少しだけ笑った。


セキ「……変な人」


ハルト「よく言われるよ」


セキ「でも、ありがとう」


ハルトも笑顔になる。

敵同士のはずなのに、お互い仲間だと思ってしまうほどに。

その時。


ゾワッ


その場の空気が変わる。


ハルト「……!?」


背筋が凍る。

本能が警告する。

ヤバい、と。

そして、高層ビルの上。

1人の男が立っていた。

黒いコート。

無表情。

冷たい瞳。

セキの顔色が一気に変わる。


セキ「っ……!! 」


声にならないほどの恐怖。

本物の恐怖だった。

男は2人を見る。


???「……何してる」


それだけで、空気が凍る。


セキ「ち、違っ……」


???「敵と話していたのか」


セキの肩が震える。

ハルトは前に出る。

セキを庇うように。


ハルト「……お前は、誰だ 」


その瞬間、男はビルからゆっくり降りる。

まるで、重力すら感じないほどに静かに。

その時、文字列が表情される。


《接触確認》

ハルト

・属性:雷

・ランク:Ⅴ《超越者(オーバー)


そして、ハルトの目に映ったのは。


《接触確認》

シオン

・属性:死

・ランク:Ⅵ《到達者(アライバル)


To be continued…

第46話 死の恐怖

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