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未完成のまま― 最適解に選ばれなかった僕たちへ ―  作者: はるねこ
第2期

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第37話 再会と再開

夕暮れ時。

ハルトたちはレイの部屋に集められていた。


ラウル「狭っ!!」


バルク「おいもっとそっち寄ってくれ!」


エルマ「もううるさいわね!」


狭い部屋に20人。

そこにいるのに精一杯だった。


ハルト「それで、急に俺たちを呼び出してどうした?何か分かったのか?」


空気が少し変わる。

レイは静かにモニターを操作する。


レイ「まず結論から言うと……」


一瞬、指が止まる。


レイ「私たち以外に、あの世界を経験した20人がいる」


ハルト「……は?」


ラウル「いや待て待て待て、意味が分からん」


クロウ「どういうことだ」


クロウがゆっくりと顔を上げる。


クロウ「俺たち以外にもいるって」


レイがキーボードを叩く。

画面に大量のログが流れる。


レイ「私たちは毎日、あのAIについて調べてた。そしたら今日、突然おかしい部分が大量に出てきた」


ミナ「例えば?」


レイは無言で画面を切り替える。

そこに表示された文字。


《観測対象:40名》


ユリカ「……40?」


ソラ「いや、僕たち20人だったよな?」


部屋の空気が重くなる。


トア「うん。そして、さらに調べて分かったのが……」


少し間が空く。

その沈黙が、妙に不気味だった。


トア「あのAIの世界は二つあった」


その瞬間、全員の表情が変わる。


ハルト「二つ……」


ハルトが小さく呟く。


ハルト「ということは、その俺たち以外の20人はそこで……」


トア「まだ断定できないけど、それ以外の説明がつかない」


静かなノイズ音だけが部屋に響く。

レイはさらに画面を切り替えた。


《SIXTH OBSERVER》


ラウル「しっくす……なんて読むんだこれ?」


レイ「シックススオブザーバー。つまり、第6観測者」


アイラ「観測者って確か……」


ハルト「クリオのことか」


レイが頷く。


レイ「クリオが仮に第1観測者なら、他にもクリオみたいなAIがいる」


トア「それと……これ」


画面が切り替わる。

そこには。


《XENO》


クロウ「……なんだこれは?」


トア「多分“ゼノ”って読むと思うんだけど、これだけ情報が少なくて……。今のとこ何も分からないの」


レイ「だから今は、この存在があるってことを知っておいて欲しい」


その時だった。

モニターの光が急に強まる。

ブツッ、とノイズが走る。


ハルト「っ!?」


ラウル「うおっ!?なんだなんだ!?」


画面が白く染まる。

大量の文字列。

意味不明なログ。

ノイズ音。

部屋の空気が一気に変わる。


レイ「まずいっ、操作が効かない!」


その瞬間、白い粒子が画面上に広がった。

その粒子はゆっくりと、人の形を作っていく。


ハルト「……まさか」


ハルトが目を見開く。

そして。

光の中から、1人の少女が現れた。

白い髪。

透き通る瞳。

以前とは変わらない姿。

しかし、確かにその瞳には感情があった。


クリオ「お久しぶりです」


懐かしい声。

どこか柔らかかった。


ハルト「クリオなのか!?」


クリオ「はい」


その返答を聞いた瞬間。

空気が少し緩む。

全員が安心したように息を吐く。


ミナ「よかった……」


ソラ「また会えたな!」


以前とは違う。

その変化に全員は気づいていた。


トア「急に来てどうしたの?」


クリオは静かに全員を見渡す。

その目には、以前には無かった焦りがあった。


クリオ「あまり時間がありません。簡単に説明します」


部屋が静まる。


クリオ「まず、私たちのプログラムの中に“第二接続(リンク・ベータ)”というものがありました」


レイ「第二接続(リンク・ベータ)?」


クリオ「はい。あなたたちが経験した世界への接続を“第一接続(リンク・アルファ)”と呼びます。そして、本来はこれから“第二接続(リンク・ベータ)”が行われる予定でした」


ソラ「ということは……俺たちまた戦うのか!?」


ミナ「嫌よ!もうあんなことしたくない!」


クリオ「その“予定”でした」


その言葉で、空気が静まる。


ハルト「……どういうことだ?」


クリオは続ける。


クリオ「あなたたちが接触する予定はありません」


レイ「詳しく説明して欲しい。なぜ私たちは第二接続(リンク・ベータ)をやらなくていいの?」


クリオは少しだけ目を伏せた。

そして、静かに告げる。


クリオ「私が、拒否しました」


一瞬、静寂が流れる。


トア「拒否?」


クリオ「あなたたちは、ようやく現実へと戻れた。もう戦う必要なんてありません」


全員は驚く。

まさかそんなことを思ってくれていたとは。


クリオ「だから私は、“第二接続(リンク・ベータ)”との同期を停止していました」


その声には、はっきりとした感情があった。

レイはゆっくりとクリオを見る。


レイ「それを伝えに来てくれたの?」


クリオ「はい」


クリオは少し不安そうに視線を下げる。


クリオ「……ご迷惑でしたか?」


その言葉。

まるで、普通の人間みたいだった。

レイは微笑む。


レイ「いや、私たちのためにそんな事をしてくれたなんて。とてもありがたいよ」


ハルト「そうだよ。またクリオに会えたんだし、全然迷惑じゃない。むしろ嬉しいよ」


クリオの瞳が微かに揺れる。

そして、微笑んだ。


クリオ「お役に立てて良かったです」


その空気にはどこか、安心感があった。

全員が初めて感じる、穏やかな時間。


レイ「そうだ。いろいろと聞きたいことが――」


だが、その瞬間。

警告音と同時にモニターが赤く染まる。

部屋の空気が一気に変わる。


ハルト「今度はなんだ!?」


トア「待って!勝手にアクセスされてる!」


大量のコードが画面を流れる。

ノイズ。

エラー。

クリオの表情が変わる。


クリオ「嘘……そんな……ありえない」


その瞬間。

画面中央に、オレンジ色に近い赤い粒子が広がる。

身体が形成されていく。

そして。

光の中から、1人の少女が現れた。

その姿は、クリオと似ていた。

白い髪。

透き通る瞳。

しかしどこか、薄く赤色が混ざっていた。


ソラ「まさかこいつが……」


トア「第6観測者……?」


その少女は、無表情のまま全員を見る。

その視線だけで、空気が冷たくなる。


???「接続確認。観測個体を確認」


クリオが前へ出る。


クリオ「リオネ……」


クリオは少し、警戒をしていた。


リオネ「クリオ。第二接続(リンク・ベータ)停止行為を確認」


リオネがクリオを見る。


クリオ「私はただ、この人たちのために……」


リオネ「非効率。観測価値の損失」


その声には一切、感情がない。

まるで、昔のクリオのようだった。

リオネは20人を見渡す。


リオネ「情報による観測個体の集合を確認。予測通り」


トアは気づく。


トア「まさか……!」


レイも察する。


トア「わざと私たちに情報を見せて……」


リオネ「観測個体を一箇所へ固定させるため」


空気が凍る。

つまり、最初から。

レイたちに情報を見せた時点で全部、誘導されていた。


ハルト「お前……何が目的だ!」


リオネは静かに答える。


リオネ「第二接続(リンク・ベータ)の開始」


そして、全員に手を向ける。

手の先には、赤い光が集まる。


クリオ「やめてください!!」


クリオが前へ出る。


クリオ「この人たちは辛い世界を乗り越えて、ようやく現実に戻れたんです!!もう終わったのです!!」


その叫び。

初めて見せる怒りだった。

だが、リオネは変わらない。


リオネ「否定。観測は未完了」


その瞬間。

赤い光がクリオに広がる。


《SYSTEM OVERRIDE》


クリオの身体にノイズが走る。


クリオ「っ……!」


アイラ「クリオ!?」


クリオは苦しそうに膝をつく。


リオネ「クリオの制御権を一時的に制限。第二接続(リンク・ベータ)を強制開始」


トア「強制開始!?」


レイ「まずい!!」


その瞬間。

部屋全体へ、赤いコードが広がる。

床、壁、天井。

全てが光へと変わっていく。


ラウル「くそっ!またかよ!!」


クロウは静かに目を細める。

ハルトはリオネを睨む。


ハルト「……お前は、何がしたいんだ」


リオネは答える。


リオネ「観測。そして、“完成”」


その言葉。

どこか昔のクリオに似てきた。

だが、決定的に違う。

リオネには、人間らしさが一切無かった。

クリオが苦しそうに顔を上げる。

そして、震える声で。


クリオ「……ごめんなさい」


全員を見る。

透き通る瞳で。


クリオ「今度は……私が……あなたたちを守ります」


次の瞬間。


《LINK・BETA》


《40 PLAYERS》


《SYSTEM START》


赤い光が全員を飲み込んだ。

To be continued…

第38話 願いの意味

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