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未完成のまま― 最適解に選ばれなかった僕たちへ ―  作者: はるねこ
第2期

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第36話 とある日常にて

崩壊した都市のマップ。

銃声が鳴り響く。

エリアが縮小を続ける。


PLAYER3「残りはワンパだ!このまま攻めるぞ!」


敵はビルの中に隠れている。

1人は敵の方へと突っ込む。

だがそこには、4人の敵。

こちらの存在に気づき、反射的に撃たれる。


PLAYER3「うわっ!!やべぇ死ぬ!!」


遮蔽物の無い中、徐々に体力が減る。


PLAYER2「カバー行くよ!」


PLAYER4「しょうがないな、俺も行ってやる」


2人はビルに入る。

既にPLAYER3は瀕死状態だった。


PLAYER3「危ねぇ助かったぜ!」


PLAYER2「よし、反撃だ!」


PLAYER4「全員ここで倒してやる」


3体4の撃ち合いが始まる。

だが、敵はハイグラを取っている。

遮蔽物も少なく、被弾が多くなる。


PLAYER2「まずいっ、このままじゃやられる」


PLAYER3「ならばこれしかない!グレネードだぁ!!」


1人は威力の高いグレネードを敵目掛けて投げる。


PLAYER3「これで全キルだぜぇ!!」


だが。

投げたグレネードは勢いが強く、壁を反射し、自分たちの元へと返ってくる。


PLAYER3「あっ」


逃げる暇もなく爆発。


《PLAYER2 DOWN》


《PLAYER3 DOWN》


《PLAYER4 DOWN》


PLAYER4「おい何やってんだよ!」


PLAYER3「わりぃ、普通に力加減ミスった」


PLAYER2「ここから1体4、勝てるのか?」


画面右上。


《残存》

PLAYER1


圧倒的不利な状況。

全員が勝てるはずがないと思ってしまった。

しかし。


PLAYER1「まだまだだな、お前たち」


その時、PLAYER1が動く。


PLAYER1「ちゃんと見てろ。これがFPSってやつだ」


ハンドガンを持ち、敵のいるビルへと入る。

瓦礫を滑るように移動。

敵の死角。

遮蔽物。

高所。

全てを利用しながら一気に距離を詰める。

敵はその存在に気づき乱射。

だが、一瞬でスライディングし射線を切る。

壁を蹴るように飛びながら、真上から撃ち抜く。

たった一発で。


《1KILL》


PLAYER4「おぅ……」


PLAYER3「うめぇ……」


残り3人。

敵が一斉に詰める。

だが、それでも引かない。

突然、真上にグレネードを投げる。


PLAYER3「おいおい、なにやってんだよ」


グレネードは天井に当たり空中で爆破。

それにより出た煙の中へ、自分から突っ込む。


PLAYER2「えっまじで、行った!?」


煙の中。

視界が遮られる中でも。


《2KILL》


《3KILL》


PLAYER3「うおおおお!?」


PLAYER1「この武器は連射速度低い代わりにヘッショ倍率高いからワンパンしやすいんだよな」


敵1人に対して一発。

これで十分だった。

残りは1人。

既にビルの屋上に向かっていた。


PLAYER1「上まで行くの面倒だな」


その時、またグレネードを取り出す。

そのグレネードを真下へ投げた。


PLAYER4「……は?」


PLAYER3「なにしてんだよ!?」


その瞬間、ビルの窓へと走り出す。

先程の戦いにより、かなりの高さにいる。

落ちたら、即死だ。


PLAYER2「ま、まさか!?」


グレネードの爆破と同時に外へ飛び出した。


PLAYER4『爆風を利用して飛ぶ勢いを増したのか』


PLAYER1「おっ、いたいた」


敵はもう屋上にいた。

PLAYER1が取り出したのは――スナイパーライフル。

さらには空中で、スコープすら覗いてない。


PLAYER3「は!?それはさすがに無理だろ!!」


だがもう、構えていた。


PLAYER1「じゃあな」


スナイパーライフルが撃たれる。

その軌道は真っ直ぐ、敵の方向へと向かう。

そしてその弾丸は――敵のすぐ横を通り過ぎた。


PLAYER2,3,4「……え?」


PLAYER1「はぁ、やっぱり空中でノンスコスナイパーは無理か。次からは魅せプ用だな」


そう言いながら、素早く武器をハンドガンに切り替える。

銃口を向け、撃たれる。

その弾丸は、今度はちゃんと頭に当たった。


《4KILL》


《VICTORY》


PLAYER2「……いや今の何?」


PLAYER3「全く分からなかったぞ」


PLAYER4「理解ができない」


画面がロビーへ戻る。

そこでようやく、いつもの声に戻る。


ハルト「これが普通だよ」


ソラ「ハルトってゲーム上手いとは聞いてたけど、まさかここまでとは……」


ラウル「お前絶対チート使ってんだろ!あんなん人間ができる技じゃねぇって!」


クロウ「俺らが弱く見えるぞ」


ラウル「少なくともハルトの次に強いのは俺だな」


クロウ「あんな自爆しといて何言ってんだよ」


ラウル「う、うるせぇ!」


騒がしい通話。

でも、どこか懐かしい空気だった。

戦いが終わってから数週間。

ようやく、全員が普通の日常へ戻り始めていた。


ソラ「次どうする?」


ラウル「もう一戦!今度は俺の実力を見せてやる!」


クロウ「勝手に自爆するのはいいが、俺たちを巻き込むなよ」


ラウル「もう自爆はしねぇよ!」


ハルトが小さく笑う。


あのAIの世界。

命を懸けた戦い。

失いかけた仲間達。

そして今、仲良くゲームをしている。

全部、遠い夢みたいだった。

その時。


ピコン


突然スマホから通知が鳴る。

通知音から察するに、メール音だ。


ハルト「ん?誰だ?」


ソラ「僕も来たな」


ラウル「俺もだ」


クロウ「ということは、俺たちのグループメールか?珍しいな」


ソラ「確かこのメール、バルクが親のメールと送り間違えたのが最後だったような」


ハルトはスマホを手に取り確認する。

そして、メールを見る。

その内容は――。



その頃。

とあるショッピングモールにて。


ミナ「ねぇお姉ちゃん!これ可愛くない!?」


ユリカ「どれどれ〜?」


ユリカが服を見る。

白を基調としたパーカー。


ユリカ「わぁ!可愛い〜!絶対ミナに似合うよ!」


ミナ「やっぱり〜!あっ!あの服も可愛い!」


時間はあっという間に過ぎる。

2人は袋を抱えながら歩く。


ユリカ「いっぱい買っちゃったね〜」


ミナ「思い切ってつい買いすぎちゃった」


命を懸けてきた2人。

今はもう、普通の姉妹だった。

あの頃の世界は、もう遠い過去だった。


ピコン


2人のスマホに通知が鳴る。



とあるラーメン屋にて。


ガルド「大将!ラーメン大盛りおかわり!!」


大将「あいよ!」


バルク「大将!俺も追加だ!!」


大将「あいよ!」


机の上には大量のどんぶり。

少なくとも四杯は食べている。


大将「よく食うなぁ!見てるこっちも元気になるよぉ!」


ガルド「鍛えるには食うのが一番だからな!」


バルク「俺餃子も食おうかな」


ガルド「じゃあ俺もだ!」


大将「あいよ!どんどん食えよぉ!!」


賑やかな声が店に響いた。

その中で。


ピコン


通知が鳴る。



とある公園にて。


カイ「だから!ハルトの次に俺が最強だ!」


エルマ「違うわ!ユリカの次に私が最強よ!」


公園の真ん中で、いつもの口論。


カイ「俺はハルトの次に速いぞ!」


エルマ「私はユリカの次に厄介な能力よ!」


カイ「お前の遅延とか、俺なら喰らう前に倒せるし」


エルマ「その前にあなたなんて止めるわ」


カイ「止められないだろ」


エルマ「止めるわ」


カイ「いや無理だろ」


エルマ「止ーめーるーわー」


カイ「怖いって」


エルマは少し笑う。

2人はどこか楽しそうだった。

あの頃とは違う。

命の取り合いではなく、ただの会話。


ピコン


2つの通知が鳴る。



とある河川敷にて。


ケイル「涼しいね」


ブラン「あぁ」


2人は並んで歩いていた。

静かな川で、風が吹いている。


ケイル「僕、こういう何も考えずに歩く時間が一番落ち着くな」


ブラン「そうだな。たまには心を落ち着かせるのも悪くはないな」


ブランは小さく笑う。

2人は歩き続ける。

どこに行くのも決めてない。

何をするのも決めてない。

けど、それがいい。


ピコン


静かな空気の中、通知音がした。



とあるコンビニにて。

静かな店内。

ゼインは1人だった。

カゴの中には、おにぎりと惣菜。

そして、お気に入りの飲み物。

それだけだった。


店員「温めますか?」


ゼイン「……お願いします」


袋を受け取り、外へ出る。

ゼインは1人で歩く。

誰も待ってない部屋へ。

小さい頃からそうだった。

だがもう、慣れていた。


ゼイン「……」


ふとスマホを見る。

そこには、少し前に届いた未読のままのメール。


《ユリカ:ちゃんとご飯食べてる?寂しかったらいつでも呼んでね》


ゼインは少しだけ目を細める。

そして、小さい笑った。


ゼイン「……うるせぇよ」


でもその声は嬉しそうだった。

その時。


ピコン


また一つ、通知が来る。



とある水族館にて。

青い光が揺れる。


アイラ「……綺麗」


フィオ「落ち着くね」


セラ「来てよかった」


ノア「そうだね」


4人の前に小さな水槽。

そこには。

透明な身体と小さな羽でゆっくり漂う生き物。


アイラ「あっ、クリオネ」


セラ「ほんとだ」


フィオ「ふわふわしてて可愛い」


静かな水の中。

漂う二匹のクリオネ。

それはどこか、あの姿を思い出させた。


ノア「……なんか不思議だね。僕たちがこんなに平和なのって」


フィオ「命を懸けて戦ってたからね」


セラ「みんなが無事でよかったよ」


アイラ「私も、ノアくんが生きててよかった」


みんなは落ち着いていた。

でも。

胸の奥ではまだ、ざわつきがあった。

クリオネは、何も知らないように、静かに漂い続けた。


ピコン


4人のスマホから同時に、通知音が聞こえた。



レイの部屋にて。

モニターの光だけが部屋を照らしている。


レイ「……やっぱりおかしい」


リン「何か見つかった?」


レイが高速でキーボードを叩く。

大量のデータ。

AIのログ。

たくさん流れている。


レイ「昨日まではある程度の情報しか流れて来なかったのに……。でもこれ……」


レイは画面を指差す。

そこには。


《観測対象:40名》


リン「……40?」


レイ「私たち、20人だったはず」


空気が変わる。

さらに。


トア「こっちもだ」


別のモニターに映っていたのは。


《SIXTH OBSERVER》


トア「……第6……観測者?」


部屋が一気に冷たくなる。


トア「なんでいきなり出てきたんだろう?」


レイ「でも、この情報はみんなに伝えないと」


リン「そうだね」


レイはスマホを手に取る。

メールを開き、文字を打つ。


《レイ:みんな、大至急私の部屋に集まって》


ポン


メールが送信された。

To be continued…

第37話 再会と再開

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