7 ドッペルゲンガーに話しかける
桜のドッペルゲンガーを発見したが、どうやら桜ではない別人のよう。
話しかけるか? いやでも何て話しかける…?? 桜ですか? は変だし…
悩みつつ、とりあえず、しばらくバレないように後をつけることにした。
「え、あれって田中じゃないの? 湊、良く分かったなー」
と、なぜか伊藤くんと渡辺くんも一緒に隠れながら、桜のドッペルゲンガーさんを観察する。
時折見える横顔も、メイクの感じも、歩き方まで桜にそっくりだ。
雑貨屋で特に買い物をするでもなく、フラフラとウィンドーショッピングをしている。
尾行しながら、伊藤くんと渡辺くんにも簡単に事情を説明した。
「制服着てるってことは、うちの学校のやつだろ? もう、気になるから話しかけちゃおうぜ!」
コミュ力おばけの伊藤くんが、桜のドッペルゲンガーさんに向かってスタスタと歩いていく。
えぇ、人見知りを全くしないなんて、違う人種だ…すごい…
と感心しながら、伊藤くんと渡辺くんの影に隠れて付いていく。
「ねぇねぇ、うちの学校のやつだよね? 何年何組?」
バッと振り向いた桜のドッペルゲンガーさん。
「伊藤先輩!」
「え、俺のこと知ってるの?」
先輩、ということは、桜の後輩のようだが、名前を呼ばれた伊藤くんは、知り合いというわけではないようだ。
「はい、桜先輩のクラスメイトですよね。…もしや、後ろにいらっしゃるのは桜先輩の幼なじみさん…!」
男子高校生二人に隠れていた私を発見し、目を輝かせている。
この言い方は、桜の知り合いなのだろうか?
「あぁ、突然すみません! 私、一年三組、小林結です! 伊藤先輩も、桜先輩の幼なじみさんも、はじめまして!」
「えぇと、はじめまして。桜の後輩さん…?」
「はい! 桜先輩の後輩でもあるんですが、実際にお会いしたことはまだなく…」
女子二人でまごまごしていると、伊藤くんが助け舟を出してくれた。
「話が長くなりそうだから、とりあえず下の階のカフェでお茶でもしながら話す? みんな時間大丈夫?」
「大丈夫です! ぜひ」と桜の後輩さんも元気よく返事をしてくれて、みんなでカフェに向かうことになった。
桜の後輩だが、桜の知り合いではなく、伊藤くんはともかく、私のことを桜の幼なじみだと知っている?
本物のドッペルゲンガーではなくて良かったが、桜にそっくりな彼女は、一体何者なのだろうか…?




