4 文化祭とパンフレットの謎
桜と私は、模擬店で買った焼きそばやらたこ焼きやらを、休憩スペースとなっている教室で食べることにした。
「ダンス部のステージも毎年見応えあるよ」などと紹介してもらっていると、最初に見たときから感じていたパンフレットの違和感に気がついた。
「ねぇ桜、このパンフレットの模様、ちょっと不思議じゃない?」
表紙と裏表紙が見えるように、後ろ向きにガバっと開いて桜に見せる。
「ここの枠線、線と星マークが交互に並んでるのかと思ったら、線が二回続いてたり、星が二回続いてたり、ランダムに並んでるの。印刷ミスかな? こういうデザインなのかな?」
「どれどれ、んー。ほうほう。…小春、最近好きな人とかいる?」
「!? 何突然!? 女子校だよ、いないいない。今はアイドルを推すのに全力です!」
「じゃあ、トキメキ足りてないよねー! 今日はちょっとトキメイちゃうか!」
「えぇ!?」
話の展開が見えない!
パンフレットの謎と何か関係があるのかな?
「文化祭は午後四時半までだから、それまでにできるだけ回っちゃおー!」
そして、桜とともに文化祭も遊び尽くした午後四時半少し前。
「最後のイベントは、屋上へレッツゴー!」
「え、でも屋上では何もやってないよね?」
パンフレットの地図を見てみるが、屋上は立ち入り禁止になっている。
「まぁまぁ、行ってみれば分かるから!」
桜と連れ立って屋上に来たものの、特に何かあるわけでもなさそう…と思ったら、後ろの階段から人が登ってくる気配がした。
「小春、隠れるよ!」
腕を引っ張られ、入り口から見えないところに回り込む。
「湊、こんなところに連れてきて、どうしたんだよ! って、田中? 小春ちゃんも!」
迷わずに私たちを見つけたのは、先ほど会った桜のクラスメイトの伊藤なんちゃらさんとお連れのカタだった。
「げ! なんで伊藤が? って、隠れて隠れて!!」
さらに後ろから、誰かが階段を上ってくる音がして、慌てて4人で隠れることに。
次に来たのは若い男性で、制服ではないので在校生ではないみたいだ。
私たちに気がつかず、屋上の入り口からまっすぐと進み、グラウンドが見渡せる屋上の端の手すりのそばまで歩いていく。
すると、間もなく、さらなる来訪者が訪れた。
「山本!」
これまた制服ではない若い女性で、どうやら先に来た男性に呼びかけたらしい。
「中村! 来てくれたんだ!」
山本と呼ばれた男性は嬉しそうに振り向き、女性に笑顔を見せる。
私たち四人は、気づかれないように、さらに奥に進み、四人で密着して聞き耳を立てる。
「家にパンフレットを届けて、ご丁寧に私に分かるように暗号まで書いて。こんなことされたら、来ない分けには行かないって!」
そのまま二人の話を聞いていると、どうやら二人はこの学校の卒業生だったことが分かった。
パンフレットの暗号? 桜はそれを解いたの? 思わず桜を見ると、ニヤニヤ笑ってウインクされた。
「ケンカ別れみたいになって、ずっと後悔していたんだ。
…オレ、やっぱり中村が好きだ! せっかく同じ大学に入れたのに、あのまま別れるなんてイヤだよ」
ひゃー! 告白を初めて聞いてしまった!
私までドキドキしてきた。
「私も、ずっと山本と連絡取りたかった。でも、ひどいこと言ったのを許してくれるか怖くて…。
私も、山本が好きだよ」
きゃー! OKの返事だ! カップル誕生!
告白し合ったばかりの若い男女。後ろには綺麗な夕日が。
ロマンチックだ…。
夕日のせいで、私も顔も赤くなってるに違いない。夕日のせいで。
その後も男女二人は小声で少し話してるみたいだったが、少しして二人で手を繋いで屋上から出ていった。




