3 秋の出会い
空高く馬肥ゆる秋…暑くもなく寒くもない、貴重な穏やかな秋の一日。
今日は桜の学校の文化祭に呼ばれているので、いつもより少しおめかしして出かけてきた。
共学校。それは、中高一貫の私立の女子校に、中学生の頃から通っている私には、未知の世界だ。
うちの学校ではかなり厳しく制限されている、飲食店の模擬店も充実してるらしく、とても楽しみ。
部活に入っていない桜は、午前中にクラスの受け持ちの総合受付をして、午後からは一緒に色々と見て回ろうと話している。
約束の時間の少し前に校舎に入ると、総合受付をしている桜にさっそく出会えた。
「小春! ようこそー! もう少しで交代の時間だから、パンフレット読んでそこで待ってて!」
カラフルな表紙のパンフレットを渡してもらい、近くの休憩スペースに座る。
お化け屋敷、メイド喫茶、グラウンドでライブもあるのかー。
ふむふむ、あれ、なんかこのパンフレットちょっと違和感が…と、パンフレットを凝視していたら、視線を感じた。
「さっき、田中と話してたよな。田中の友だち?」
桜の名前を呼んでいるところを見ると、同級生だろうか。
ひょろっとした短髪の男子学生が話しかけてきた。
「ええと、そうです。桜とは幼馴染で」
「そうなんだ。田中とはずいぶん雰囲気が違うな。俺は田中と同じクラスの伊藤蓮。はじめまして!」
初対面でちょっと馴れ馴れしいな、どうしよう…と悩んでいると、
「ちょっと伊藤! いくら可愛いからって、私の友だちナンパしないで! 小春、お待たせ! 怖かったよね、ごめんねー」
よしよしと、走って駆けつけてくれた桜が大げさに慰めてくれる。
ホッとすると、また伊藤なんちゃらさんは私に向かって話しかけてきた。
「小春ちゃんって言うんだ。いい名前だね。田中、これから俺の連れも来るから、一緒に回ろうよ」
え、初対面の人とちょっと気まずいな。
「何言ってるの! 今日はせっかくの小春とのデートなんだから、あんたたちなんてお断り、シッシッ」
私の心配もよそに、嫌な動物を追い払うかのように桜が断ってくれた。よかった。
「後ろの伊藤のお連れのカタ。グラウンドのステージは向こうだから、早くコイツを連れて行ってください!」
と、伊藤なんちゃらさんの後ろにいつの間にか現れた、これまたひょろっと背の高い男の子に向けて、桜が言う。
「うぉ、湊、いつの間に! 声かけろよ!」
後ろのお連れのカタは、ペコリと頭を下げ、伊藤なんちゃらさんの制服の首元をつまんで、引っ張っていってしまった。
男子高校生、やはり未知の存在だ…。
「桜、あの人たちがステージに行くって良く分かったね」
ようやく落ち着いて二人で歩き出したところで、気になっていたことを聞いてみる。
「伊藤は陸上部で、陸上部は今年は模擬店を出してないの。でも、陸上部のエースが軽音楽部と掛け持ちしてて、そのステージがあるから、そうかなーと。お連れのカタも、スニーカーが陸上競技用っぽかったしね」
ふふん、と得意げな顔の桜。さすがの洞察力である。
「どこから行く? とりあえず腹ごしらえをしに、食べ物系の模擬店を制覇するか!」
桜に案内され、いざ、文化祭!




