<初任務の打ち合わせ>
テレビ会議が繋がり、レモンスイマー側からもゴンベ達の様子が見えたようだ。
「あら! 長野ちゃんったら、今日は若い子も一緒なのねん♪」
と楽しそうな声が聞こえてきた。町会長さんの名前は長野利彦と言う。
「あははは。レモンちゃんは今日もご機嫌そうじゃのう」
町会長も愉快そうである。
「うふふ。矢橋さんところの正太くんね。しばらく見ないうちに、すっかり大人になったのねん」
レモンスイマーの言葉に、なぜか正太くんは恥ずかしそうに俯いてしまった。
「そちらの、ゴンベさん? は初めましてよね」
「はい。よろしくお願いします」
「ゴンベさんはシステムエンジニアをしておってな、レモンとも話が合うかもしれんぞ」
「あら! それは嬉しいわね。なにせ長野ちゃんは機械音痴だし、全然話が通じないのだもの。でも、ゴンベさんと正太くんなら、まともな話もできそうねん♪」
「ふむ。その話じゃが、やはり監視カメラを設置して、犯人を特定する方向で考えたいと思うのじゃがな」
町会長がいうと、レモンさんも大きく頷いた。
「ですよね。でも、けっこうお金も手間もかかるけど、大丈夫なの?」
「うむ。予算面はこれからじゃが、その辺は矢橋電気さんの協力も期待できるじゃろうしな」
と言いながら、正太くんへ怪しい笑顔を向けていた。
「あらあら! そうね。矢橋電気さんなら頼もしいわね。で、どの程度設置するのかしら?」
「ふむ。現状被害報告が出ているのは、全部で4箇所なのだが……」
町会長はそういうと、少し考え込んだ。
「あの、まずは優先的にその4箇所に設置してはどうでしょうか? それと、他の地域に関しても更に聞き込みを続けて、予算との兼ね合いから最終的な設置箇所を決めていけばいいと思いますよ。できれば被害報告のある場所には早く設置したいですしね」
ゴンベが少し具体的な提案を出した。
「あら! ゴンベちゃんはなかなか優秀ね。その案にはあたしも賛成だわん♪」
レモンスイマーも同意してくれたようだ。
「うむ。確かにそうじゃな。ということは、まずは4台用意するということじゃな?」
町会長の言葉に、ゴンベが反応した。
「いや、できれば1箇所あたり2台か3台は設置したいですね」
「ん? 2台か3台設置???」
町会長が不思議そうな顔をして見つめてきたので、ゴンベは補足説明をした。
「はい。1台は見た目も防犯カメラというもので目立つ場所に設置して、合わせて『防犯カメラ作動中』の看板も設置しておきます。それだけでもかなり抑止策にはなりますが、カメラを意識して顔が映らないように違法ゴミ出しをするかもしれませんので、別に小型のカメラを1台か2台、目立たないように設置しておくのです。そうすれば、確実に犯人特定の手がかりが得られやすくなりますからね」
「あらー! 本当にゴンベちゃんは優秀ね。なかなかの策士さんじゃあーりませんか♪」
レモンさんも非常に楽しそうだ。
「それはいい考えですね。どちらにしろ看板は設置して撮影していることを明示する必要がありますからね。その意味で、目立つダミーカメラの他に小型の隠しカメラを設置するのは非常に効果的だと思いますよ」
正太くんも称賛してくれた。
「なるほどのう。それじゃあ、ゴンベさんの案を元に、正太くんの方で見積もりを作ってくれんかの? 早速予算調整も行いたいからの」
「分かりました。でも、できれば先に設置予定場所を確認したいのですが。どこに設置するかによってタイプも違いますし、特殊な取り付け金具を用意する必要があるかもしれませんからね」
「正太くんの言うとおりですね。私もまずは設置場所を確認しておきたいと思いますので、正太くんと一緒に見てきたいと思います」
そこで、この後すぐにゴンベと正太くんは、被害届の出ているゴミ置き場を回ってくることになった。
そして長野町会長は、集まらなかった別班メンバーを個別訪問して、彼らには他のゴミ置き場周辺の聞き込みを進めてもらうように依頼することになった。
「あらあら、今日は随分と話の進みが良いわね。なら私の方でも、設置したカメラの情報をどうやって管理するかなどの問題を詰めておくわね。その辺は正太くんとゴンベさんにも共有してもらいたいから、そのやり取り方法なども含めて私の方で用意して連絡するわん♪」
こうして初任務はトントン拍子で進みだした。




