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人生後悔ゲーム


――11月3日。

休日なのに、私の気持ちは沈んでいた。


全身が重い。外出して気分転換したかったけれども、

宅急便の受け取りのために、一日家にいる必要があった。


荷物は19時に届いた。流石にこの時間にもなれば、外出する気にはなれない。

一日をインターネットサーフィンに費やした。無駄。


外に出て、自由に何でもすれば良かったのに。

無茶でもいいから、今からどっか行きたい。


無謀でもいいから何かすればいいのに。

やりたいことをしないと、どんどん老いていくぞ。

いいのか。お前の願い、何も叶ってないのに。


って自問自答が募りまくる。

私は何十年も一体何をしていたんだろう?


まあ、何十年というほど生きてないけれど。

空虚の過大評価。自分なりに頑張った人生だったんだけれども。


もう一人の自分が異常に後悔していた。


届いた荷物を開ける。


そこまで大きくないのに、馬鹿でかい箱に入っている。

カッターでセロテープを割くと、注文した通りにPCのリフトレストが入っていた。


これで、キーボード操作の時、腕や肩が凝ることも無いな。

肩こりが楽になるといいのだけれども。


私は20数年しか生きていないのに、身体壊しがちな気がする。

私は自分のこと、いつもは大好きだけれどもここ最近は大嫌いになりそうだ。


なんで私は私を嫌いになってしまったのか、その答えが分からない。


いっそ何か踏み出してもいいじゃない?

配信者になりたいならオーディションに応募しちゃえば?


スマホを操作して、募集画面の要綱を眺めた。


手が止まった。

『違う。そうじゃない』

違うって。違うくないじゃん。応募すればいい、それで落選したら、また挑戦すればいい。


一回挑戦することの何がおかしい?

私は何にもがいているのか分からないまま、時間が過ぎる。


その日は動画サイトで、観たい生配信があった。

有名配信者が仲間と一緒に新発売の【人生ゲーム】をするとのこと。予告の時点で、面白そうだと期待していた。


丁度配信者yも出ていた。

期待していたのに、期待は綺麗に、バッサリ裏切られた。


【人生ゲーム】ってボードゲームだったのに、移植されてヴァーチャルゲーム化していた。


昔、ボードゲーム版を家族とやったことがある。

このゲームは子どもから大人までを、追体験できるゲーム。


今は、定番の職業だけでなく、配信者にもなれるようになったんだ。

まさに追体験。スキルさえあれば、なりたい職業になれる。


その生配信は本当なら、楽しいんだろうね。

配信者yが子どものようにケラケラ笑いながら、仲間と楽しくゲームをしている。

仲間っていうより、親友のような間柄なんだろうな。雰囲気が和やかでいいな。



『――羨ましい。しんどい』


配信者がゲームしているだけ。

いつもは見てるだけで楽しいのに。


『どうして自分も一緒に』と思うのか。

自分を登場人物にするのが、おこがましいことだと知ってるのに。


私はゲーム音痴。ゲームが上手くできないからやりたくない。

観てるだけで。というより、

観ているのが楽しい。


本来ならね、でもいつもとは違う。

なのに、その日は『自分も友人と遊びたい』と感じた。

死にそうなくらい苦しかった。


本当なら笑えるはずなのに、なんか笑えない。


人生ゲームだから、たかがゲームなのに。

好きな仕事して、大好きな人と結婚して、

たくさんの子どもに囲まれて、友人と笑いあって。


ちょっとした言い間違いが胸に深く刺さって痛かった。


笑いたいのに、心が痛くてしようがない。


『もっと早く』何かをすればよかったかもしれない。

そうしたら、『自分だって』結婚して子供が出来て、

そうすれば良い積み重ねが出来たかもしれない。


たかがゲームだろうけど、その中に自分の羨ましいが詰まっていた。

『子供』が欲しかった。

 喉から手が出るほど、画面の向こうの配信者に焦がれた。


 

 後から思えば奇妙な話だが、私はまだ20代だし、今から望めば結婚できるだろうに。

 この時は、何もかも諦めなきゃいけない気がした。


 そんなことないのにね。おかしいね。


 

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