第5話
●夕暮れの荒野
N「五十年後……」
日没直前の荒野。
老女となったマキ、邪神と対峙している。
禍々しい漆黒のオーラを纏う邪神、悠々とマキに接近する。
邪神「偉大なる邪神の前に立ちはだかるのが、魔力を持たぬ老女だと? あまりにも愚かだな!」
マキ「相手を見くびるのが、最も愚かな行為だと思うがね……」
マキ、前傾姿勢で剣を構える。
次の瞬間、油断する邪神にマキが斬りかかる。
マキ、一瞬で邪神の胴体を斜めに断ち割る。
邪神「ぐっ、ぬおっ!?」
マキ、すぐさま追撃を放つ。
刺突の連発で邪神を穴だらけにする。
激昂する邪神、両手に漆黒の球体を生み出す。
邪神「おのれ、小癪なァッ!!」
漆黒の球体がマキに迫る。
マキ、咄嗟に剣で防ごうとするが、球体が胴体に炸裂して穴を開ける。
マキ、苦しそうに吐血する。
マキ「……ッ」
マキ、踏ん張って斬撃を放つ。
駄目押しの斬撃が邪神を切り刻む。
邪神、端から崩れて蒸発していく。
邪神「嘘だ……我が……このような人間などに……っ!」
邪神、完全に消滅する。
同時にマキが倒れる。
そこに姿の変わらないウィリアムとシャルロットが現れる。
ウィリアム「五十年にも及ぶ活動……君は数多くの命を救ったね、マキ」
マキ「せん……せい……」
ウィリアム「邪悪な敵を斬り、戦争を止め、国を救い、最高峰の英雄に至った。実に素晴らしい功績だよ」
ウィリアムの賞賛を聞き、マキは微笑む。
マキ「ありがとう……ございます……」
ウィリアム「マキ。今なら君を蘇生させられる。それどころか若返りや永遠の命も保証しよう。どうする?」
マキ「やめて……おきます……このまま死ぬのが……幸福なので……」
マキ、眠るように息絶える。
それを見届けたウィリアム、淡々と語る。
ウィリアム「卒業生はいつもこうだ。限られた命を謳歌して死んでいく。悠久の時を選ぶ者はほとんどいない」
シャルロット「人間はそのような人生を送るように設計されていないのかもしれませんね」
ウィリアム「ああ、君の言う通りだろうね。さて、帰ろうか」
夕暮れの中、二人はギルドへの帰路に着く。




