第4話
●白い空間
白い空間で、ウィリアムがマキに告げる。
ウィリアム「これで千の課題は修了だ。おめでとう」
マキ「ありがとうございます、今までお世話になりました! シャルロットさんもありがとうございます!」
シャルロット「いえ……外界でも頑張ってください」
頭を下げるマキに対し、シャルロットは優しく応じる。
マキ、扉を抜けて空間から出て行く。
ウィリアム、満足げに呟く。
ウィリアム「十三億年か……まあ予想通りだね」
シャルロット「…………」
ウィリアム「それで君はいつまで滞在するつもりかな?」
ウィリアム、シャルロットに問う。
シャルロット、強い意志を持って答える。
シャルロット「許される限り、魔術の研鑽を続ける予定です」
ウィリアム「なるほど。ところで、気晴らしにマキの動向を観察してみないかね」
シャルロット「いいですね。彼女は少し世間知らずなので心配ですし」
シャルロット、納得して頷く。
●森の中
鬱蒼とした森の中で、マキは素振りを行っている。
素振りの余波で暴風が巻き起こり、周囲の木々を激しく揺らしている。
その様子をシャルロットとウィリアムが遠巻きに眺めている。
シャルロット、困惑する。
シャルロット「あの……彼女はどうして自然破壊を?」
ウィリアム「日課の素振りだよ。自然破壊は意図していない」
シャルロット「もう卒業したのに、まだ素振りをするんですか」
ウィリアム「十三億年の日課はなかなか止められるものではないのさ」
シャルロット、何かに気付いてハッとする。
彼女は空の彼方に注目する。
シャルロット「この反応は……!?」
赤い竜が飛来してくる。
シャルロット、驚愕して焦る。
シャルロット「成竜……しかも強大な魔力を内包しています!」
ウィリアム「ふむ……自分の縄張りを破壊されて怒り狂っているようだ」
シャルロット「どうするんですか! 早く対処しないと……」
シャルロットが動こうとした瞬間、マキが渾身の素振りを行う。
斬撃が樹木を切断し、軌道上にいた竜を切断する。
首を斬られた竜、あえなく墜落する。
その光景にシャルロットは絶句。
シャルロット「えっ……」
ウィリアム「まあ当然の結果だね。成竜はSランク相当の魔物だが、マキはその領域を超越している。自分が竜を討伐したことに気付いてすらいないだろう」
シャルロット「そんな……」
ウィリアム「君は十三億も鍛錬に没頭したせいで、強さの基準がおかしくなったようだね」
ウィリアム、ニヤニヤと笑って指摘する。
一方、アキは元気よく素振りを行っている。
マキ「あと七億回!」
ウィリアム「マキは魔術的なセンスが皆無だ。十三億年の鍛錬でも身に付かず、感知能力はゼロに等しい。卒業生の中でも特に不器用だが、純粋な剣士として最も完成した一人だろう」
ウィリアム、敬意を込めてマキを見ながら語る。




