↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
44/66

文烈様、子和様を盾にして逃げられるのですか?

劉明珠でございます。


玉珠が嫁ぎました。

たいへん結構なことでございます。

妹が無事に夏侯家へ迎え入れられ、元譲様の片目の下で、菓子を管理され、鼻へ向かう手を止められながら、立派な夏侯家の女へ仕込まれていく。

姉として、これほど安心なことはございません。


……ございませんが――

なぜでしょう?

曹休家の奥が、たいへん静かなのでございます。

静かとは良いことのはずです。

転ぶ音もなく、菓子を探す声もなく、「今のは鼻ではありません」という先制の言い訳もない。

平和です。

平和すぎます。

そして平和とは、なぜか少し腹が立つものでございました。

妹がいない家で、私は環珠を抱き、寧珠を眺め、曹肇と曹纂の所在なげな顔を見ながら、産後の身としてたいへん丁重に動くなと命じられております。

曹休家の奥方でございますのに、扱いはほぼ病人です。

乳母も女房も文烈様も、私を座らせ、寝かせ、休ませようとなさいます。

たいへん結構です。

皆様、私を休ませる前に、父上にも私が十三の時、少しは立ち止まるよう言っていただけませんか?

褒めておりません。


今回は、玉珠が嫁いだ翌朝のお話でございます。

妹がいなくなり、曹休家の奥が静かになり、私が少しだけ寂しくなり、そこへ夏侯家から文が届きます。


ええ――

嫁いだ妹の近況でございます。

姉として、ありがたく読むべきものです。

読むべきものなのですが、なぜか内容が、ほぼ戦報でございました。

敵は孫権殿ではございません。

妹の鼻でございます。


そして、未遂という言葉がいかにありがたいものであるか、私はこの日、身にしみて知ることになります。


それから、文烈様でございます。

昨日、元譲様が余計なことをおっしゃいました。

子和様の後、私を後妻に望んだのは文烈様だった、と……

私は、魏公様の手で置き直されたのだと思っておりました。

父上に置いていかれ、子和様に守られ、曹家の中で丁寧に箱へ収められた駒。

そう思っておりました。


ところが文烈様は、たいへん困ることをおっしゃるのです。

しかも産後に……

今さら逃げ場のない妻へ、昔の本音を出してくるなど、武将とは本当に戦う場所を選ばない生き物でございます。


今回は、曹休家の静けさと、夏侯家の戦報と、文烈様の白状のお話です。

なお、甘い空気になったとしても、産後なので今回はお預けでございます。


父上――

あなたが置いていった娘は、夫に望まれていたことを今さら知りました。

そして妹は、夏侯家で鼻を相手に戦を始めました。

どうやら曹魏は、今日もたいへん平和でございます。


平和すぎて、前途が心配です。

玉珠が嫁いだ翌朝、曹休家の奥は、たいへん静かでございました。

菓子皿の数が少ない。

廊下で転びかける音がしない。

「今のは鼻ではありません」と先に言い訳する声もない。

そして何より、私の「やめなさい」という声が、壁を越えて飛ぶこともございません。

平和です。

平和すぎます。

平和とは、こんなにも腹の立つものだったでしょうか?

私は産後の身でございますので、乳母たちから座れだの、寝ろだの、動くなだの、たいへん手厚く牢へ入れられておりました。

環珠はよく眠り、寧珠は妹を不思議そうに眺め、曹肇と曹纂は、玉珠がいない廊下をどこか所在なげに歩いております。

曹休家の奥から、妹が一人いなくなっただけ――

ただそれだけなのに、家の形が少し変わったようでございました。

「奥方様」

朝餉の後、女房が一通の文を持ってまいりました。

差出人を見て、私は眉を上げました。

夏侯家――

つまり、元譲様でございます。

玉珠は昨日嫁いだはずです。

嫁いだ妹の近況が翌朝に届く。

まあ、分からなくはございません。

元気かどうか、泣いていないか、夏侯家の水が合うか……

そういった報せなら、姉としてありがたく受け取りましょう。

私は文を開きました。

玉珠、朝餉を食す。

粥を二杯。

菓子を要求。

嫁いだから控えろと告げる。

不満顔。

鼻へ向かう気配あり。

未遂。

以上。

私は、しばらくその文を見つめました。

近況ではございません。

これは戦報でございます。

しかも、敵は孫権殿でも劉備玄徳でもなく、妹の鼻でございます。

「……元譲様は、嫁入り先で何をなさっているのでしょう」

「見張っておられるのだろう」

文烈様が、平然とおっしゃいました。

「見れば分かります」

「なら、よい」

「よくありません。嫁いだ妹の報せが、鼻の未遂で終わっております」

「未遂なら、勝ちだ」

「文烈様……いつから曹魏の武将方は、鼻を相手に勝敗を数えるようになられたのですか?」

文烈様は、少しだけ考えました。

「玉珠殿が来てからだな」

否定できませんでした。

たいへん困ります。

昼には、別の使いが参りました。

また夏侯家でございます。

私は嫌な予感と、少しの期待を抱きながら文を開きました。

玉珠、昼餉後に衣の裾を踏む。

転ばず。

褒める。

菓子を要求。

一つ与える。

もう一つを要求。

却下。

鼻へ向かう気配あり。

未遂。

以上。

「文烈様」

「何だ」

「元譲様は、玉珠を嫁に迎えたのですか?それとも、新しい戦場を得たのですか?」

「両方ではないか?」

「たいへん嫌な両立でございます」

夕刻にも届きました。

玉珠、夕刻に姉上は今ごろ菓子を食べているかと問う。

食べていないと答える。

では玉珠が代わりに食べると申す。

却下。

泣きそうな顔。

鼻へ向かう気配あり。

未遂。

以上。

私はそこで、思わず文を胸に当てました。

玉珠は泣きそうになったのです。

けれど、鼻は未遂でございました。

偉いのか、情けないのか、判断に困ります。

いえ、姉としては褒めるべきなのでしょう。

妹は嫁入り初日を生き延び、元譲様もまた初日を生き延びたのです。

曹魏の未来は、今日も鼻の手前で守られました。

褒めておりません。

そうして、玉珠からの戦報に家中が妙に慣れ始めた頃でございます。

私は、文烈様を見ました。

文烈様は環珠の寝顔を眺めておられました。

寧珠の時と同じです。

赤子が泣けば顔を向け、眠れば静かに息を吐く。

戦場で兵を率いる方が、赤子一人にいちいち負けておられる。

たいへんよろしいことでございます。

しかし、今日はそれだけで終わらせるわけにはまいりません。

「文烈様」

「何だ?」

「昨日のことでございます」

文烈様の動きが、ほんの少し止まりました。

やはり分かっておられます。

私は微笑みました。

「子和様のことでございます」

文烈様は、環珠から目を離されました。

「子和殿のことか」

「ええ……子和様のことです。昨日、元譲様がたいへん余計なことをおっしゃいました」

「余計なことではない」

「では、たいへん正確で迷惑なことをおっしゃいました」

文烈様は黙られました。

黙れば逃げられると思っておられるのでしょうか?

残念ながら、私は父上の娘でございます。

逃げ足の速い男を、多少は見慣れております。

「子和様が、具合を悪くされていた時に頼まれた。そうおっしゃいましたね?」

「ああ」

「明珠を粗略にするな、と?」

「ああ」

「それは本当でございますか?」

「本当だ」

文烈様の顔は静かでした。

そこに嘘はないのでしょう。

子和様は、確かにそういう方でした。

長坂の後、私は子和様の家に置かれました。

妻という名を与えられ、曹家の中に組み込まれました。

けれど子和様は、私を急がせませんでした。

妻の名を与えながら、その名で私を縛り、壊すようなことはなさらなかったのです。

捕虜の娘を、妻として置く。

それだけを見れば、たいへん乱暴な話でございます。

しかし子和様は、乱暴な形の中で、できる限り私を守ってくださいました。

曹家にも、困るほど立派な方がいらっしゃるのです。

敵なら敵らしく、全員まとめて悪人でいてくだされば、こちらも恨みやすいというのに。

歴史とは、本当に不親切でございます。

「子和様は、私を守ってくださいました」

「ああ」

「妻として迎えながら、妻であることを急がせませんでした」

「知っている」

私は少しだけ息を止めました。

知っている。

その一言は、思っていたより重うございました。

文烈様は視線を落とされました。

「子和殿は、そういう方だった」

「……では、文烈様はご存じだったのですね」

「ああ」

「子和様が、私を名ばかりの妻として守ってくださったことを」

「知っていた」

知っていて、私を後妻に望んだ。

それは、たいへん困ります。

子和様の形ばかりの妻だった私を、未亡人として迎えたのです。

周囲から見れば、私は一度嫁ぎ、夫を失った女でございます。

けれど内側には、誰にも言いづらい空白が残っておりました。

子和様が、触れずに置いてくださった空白。

文烈様は、それを知っていた。

「では、なおさらでございます」

「何がだ?」

「子和様のせいにして逃げるのは、卑怯でございます」

文烈様は、今度こそ困った顔をなさいました。

珍しいものを見ました。

私は産後でなければ、もっと追い詰めていたかもしれません。

産後の身とは不便です。

人を刺すにも体力が要ります。

「子和殿のせいにしたつもりはない」

「昨日は、たいへんそのように聞こえました」

「明珠」

「はい」

「子和殿に頼まれたのは、本当だ。そなたを粗略にするな、と」

「存じました」

「だが、迎えたいと申したのは、私だ」

部屋が静かになりました。

環珠が、かすかに息を立てて眠っております。

寧珠は隣の部屋で乳母と遊んでいるのでしょう。

小さな笑い声が、かすかに届きます。

曹肇と曹纂は、玉珠のいない廊下をまた歩いているかもしれません。

その中で、文烈様は、逃げずに私を見ておられました。

たいへん困ります。

逃げてくだされば、こちらも追えたのです。

「なぜでございますか?」

「そなたを、他へやりたくなかった」

私は言葉を失いました。

父上に置いていかれ、子和様に守られ、魏公様に置き直された。

そう思っておりました。

丁寧に飾られた駒。

曹家の内側に置かれた火種。

曹休家の奥へ移された劉備玄徳の娘。

けれど文烈様は、他へやりたくなかった、とおっしゃる。

今さらです。

本当に今さらでございます。

私はもう文烈様の妻です。

寧珠を産み、環珠を産み、父上の文を箱に閉じ込め、玉珠を夏侯家へ送り出しました。

逃げるには遅すぎます。

しかも産後です。

立ち上がるだけでも女房に叱られます。

それなのに、胸の奥だけが勝手に逃げ場を失いました。

「文烈様」

「何だ」

「そういうことは、もっと早くおっしゃるものではございませんか」

「言えなかった」

「なぜ」

「そなたが、嫌がると思った」

それは、たいへん正しい。

十五の私が聞いていたら、きっと嫌がったでしょう。

魏公様に置かれ、子和様を失い、次は文烈様に望まれたなどと言われれば、私は自分がまた誰かの手に移される荷だと思ったはずです。

けれど、今の私は。

今の私は、文烈様が出征すれば腹を立て、戻れば安心し、箱の鍵を持っていかれれば待ち、産屋の外で待たれれば困り、娘の名を預けられればもっと困る女でございます。

たいへん遺憾ながら、文烈様の妻でございました。

「嫌がったかもしれません」

「ああ」

「でも、今は困っております」

「すまない」

「謝られると、なお困ります」

「では、どうすればよい」

「しばらく困っていてください」

文烈様は、少しだけ笑われました。

私は腹が立ちました。

こちらはたいへん真剣に困っているのです。

笑うところではございません。

けれど、その笑い方があまりに穏やかで、私はさらに腹が立ちました。

文烈様は、そっと私の手に触れられました。

逃げようと思えば逃げられるほど軽く。

それなのに、逃げたくなくなるほど静かに……

「明珠」

「はい」

「そなたを、急がせるつもりはない」

私は目を瞬きました。

その言葉は、子和様の記憶と重なりました。

子和様は、私を急がせなかった。

文烈様もまた、同じ場所から始めようとしてくださったのでしょうか?

ただし、文烈様の場合、すでにだいぶ進んでおります。

寧珠も環珠もおります。

今さら始まりと言われても、順番がたいへん混乱しております。

「文烈様」

「何だ?」

「子和様は、曹家の中でも屈指の紳士でございました」

「ああ」

「文烈様も、その道を進まれるおつもりですか?」

「できる限りは」

「では、まず覚えておいてくださいませ」

私は、文烈様の手を軽く握り返しました。

「産後なので、今回はお預けでございます」

文烈様は、ほんのわずかに固まりました。

それを見た瞬間、私はたいへん満足いたしました。

人は、時に勝たねばなりません。

曹魏の武将が戦場で勝つように、曹休家の奥方も寝台の手前で勝つのです。

褒めておりません。

「……そういう意味ではない」

「存じております」

「明珠」

「はい」

「そなたは、たまにひどい」

「魏公様にも、そのようなことを言われました」

「ならば正しい」

「文烈様、そこで納得しないでくださいませ」

その時でございます。

廊下の向こうが、妙に騒がしくなりました。

女房が慌てた足でこちらへ来ます。

私は嫌な予感がいたしました。

文烈様も振り向かれました。

「奥方様……夏侯家より、急ぎの文でございます」

急ぎ――

元譲様からの文に急ぎ。

私は受け取りました。

開く前から、紙が重い気がいたしました。

玉珠の身に何かあったのでしょうか?

転んだのか?

泣いたのか?

菓子を詰まらせたのか?

それとも、鼻がついに城門を突破したのか?

私は文を開きました。

玉珠、午睡明け。

菓子なし。

不満を申し立てる。

嫁いだからだと告げる。

鼻へ向かう。

止め遅れる。

失敗。

以上。

私は、その二文字を見つめました。

失敗――

元譲様が……

失敗……

あの夏侯元譲様が……

戦場で片目を失い、それでも折れず、曹魏の一門を支え、玉珠の鼻を幾度も手前で押さえてきた元譲様が……

失敗……

私は、文烈様を見ました。

文烈様も、文を読みました。

そして、たいへん真面目な顔でおっしゃいました。

「……大事だな」

「ええ」

私は深くうなずきました。

「曹魏の前途が心配でございます」

その下に、もう一行ございました。

明朝、対策を改める。

文烈も来い。

私は文を閉じました。

曹休家の奥は、玉珠が嫁いで静かになったはずでした。

けれど、どうやら静けさとは、次の戦の前にだけ訪れるもののようでございます。

父上――

あなたが置いていった娘は、夏侯家へ嫁ぎました。

そして今、曹魏の重鎮二人を相手に、鼻で戦を始めようとしております。

文烈様――

どうやら明朝、あなたは江東ではなく、夏侯家へ出陣なさるようでございます。

敵は孫権殿ではございません。

玉珠の鼻でございます。

劉玉珠です。


玉珠は、たいへん怖いことを知りました。

嫁ぐとは、家が変わることだと思っておりました。

衣を着て、髪を整えて、鼻へ行きにくくなって、菓子の数を減らされ、元譲様に見張られることだと思っておりました。

だいたい合っていたと思います。


でも、ひとつだけ知りませんでした。

嫁ぐと、玉珠の鼻のことが、曹休家へ文で送られるのです。

たいへん怖いです。

玉珠は、夏侯家へ嫁いだはずです。

なのに、朝の粥の数も、菓子を要求したことも、鼻へ向かった気配も、姉上の家へ届いているそうです。

これは嫁入りでしょうか?

それとも、監察でしょうか?

玉珠にはまだ少し分かりません。


元譲様は、必要な報告だとおっしゃいました。

何に必要なのでしょう?

姉上の安心に必要なのでしょうか?

文烈様の判断に必要なのでしょうか?

それとも、曹魏の軍事に必要なのでしょうか?

もし玉珠の鼻が曹魏の軍事に関わっているのなら、たいへん責任重大です。

玉珠は、ただ少し鼻が気になるだけなのに……

少しです。

本当に少しです。

たまに手が勝手に近くへ行くだけです。


今日は、午睡のあとに菓子がありませんでした。

嫁いだからだ、と元譲様はおっしゃいました。

嫁ぐと菓子が減ります。

これは、婚儀の前にもっと大きく書いておくべきだと思います。

玉珠は不満を申し立てました。

すると元譲様は、片目でこちらをご覧になりました。

その片目がたいへん強いのです。

戦場で矢が飛んできても逃げなかった目だそうです。

菓子を求める玉珠にも、まったく逃げません。

大人とは恐ろしいです。

それで、玉珠の手が少し上へ行きました。

違います。

菓子がない時、人は考えます。

考える時、手が動くことがあります。

その先に鼻があっただけです。

けれど元譲様が、少しだけ止め遅れました。

本当に、少しだけです。

玉珠も驚きました。

元譲様も止まりました。

そして、紙に書かれました。

失敗。

玉珠は、その字を見ました。

失敗。

誰がでしょうか?

玉珠でしょうか?

元譲様でしょうか?

鼻でしょうか?

菓子でしょうか?

字は短いのに、意味が広すぎます。

たいへん怖い字です。


玉珠は思いました。

もし元譲様が失敗したのなら、明日はどうなるのでしょう?

元譲様は、失敗をそのままにする方ではありません。

菓子を一つ隠しただけでも見つける方です。

鼻へ行く前の気配まで読む方です。

その元譲様が、失敗と書きました。

つまり、次はもっと厳しくなるということです。

玉珠は戦々恐々としております。

戦々恐々とは、たぶん、菓子を前にして食べてよいか分からない時の胸に似ています。

違うかもしれません。

でも、とても落ち着きません。

そして、もっと怖いことがありました。


元譲様は、文烈様を呼ぶそうです。

文烈様です。

姉上の文烈様です。

戦場へ行って、帰ってきて、鍵もなくさず、産屋の外で待つことのできる、あの文烈様です。

その文烈様が、明日、玉珠の鼻のために夏侯家へ来るそうです。

玉珠は、そこでようやく分かりました。

これはもう、ただの鼻ではありません。

会議です。

たぶん軍議です。

玉珠の鼻をめぐって、元譲様と文烈様が対策を改めるのです。

曹魏は大きな国だと聞いております。

その大きな国の偉い方々が、玉珠の鼻で集まります。


父上――

玉珠は、たいへんなところへ嫁いだようです。


姉上――

玉珠は、捨てられたのではなく迎え入れられたのだと聞きました。

でも、迎え入れられたあと、すぐに対策を改められるとは思いませんでした。

玉珠は明日、どうすればよいのでしょう……

菓子を控えればよいのでしょうか?

手を膝に置けばよいのでしょうか?

鼻に近づかないよう、袖の中へ手をしまえばよいのでしょうか?

それとも、先に謝ればよいのでしょうか?


今のは鼻ではありません。

明日のことを考えていただけです。

けれど元譲様がこちらを見ました。

玉珠はすぐに手を下ろしました。

……明日、文烈様が来ます。


玉珠は、生まれて初めて、孫権殿のお気持ちが少し分かった気がいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。