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導くカードは正解を知らない  作者: さんご
第一章 導くカード

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9/21

◯の正体は、金貨か運命か

数ある物語の中から、本作を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。

この小さな物語が、あなたの日々にほんの少しでも彩りを添えられますように。

もし気に入っていただけましたら、ブックマークや感想をお寄せいただけると、作者にとって大きな励みとなります。

なお、全く別ジャンルの物語も公開しております。気分転換に違う世界を覗いてみたいときは、ぜひそちらもお楽しみください。

森を抜けたとき、ベルはまだ知らなかった。

今日の収穫が、薬草では済まないことを。


ギルドに戻る。

薬草の山に職員が苦笑した。


「これ、全部一人で?」


「ああ」


(正確には二人)


「はいはい」


――その時。

コツ、コツ、と静かな足音。


それだけで空気が変わった。

ギルドの喧騒が、すっと引く。


現れたのは黒衣の男。

無駄のない所作。

五十を過ぎているのに背筋は微塵も曲がっていない。


「冒険者ベルジュール様、とお見受けいたします」


「……ああ、そうだけど」


(ただ者じゃない)


男は深く一礼。


「本日は、我が主のご息女をお救いいただき、誠にありがとうございました」


「……は?」


「森にてお助けいただいた若き冒険者――」


「ああ、あの子か」


「この地域一帯を統治されております、ルーデンハイム公爵家にございます」


「…………」


(おい)


「おい」


(やばいな)


「やばいな」


男は淡々と言う。


「次女様であらせられます」


「……貴族?」


「大貴族でございます」


ベルは天井を見上げた。


「……やっちまった」


(何をだ)


「助ける相手、選べるなら選びたかった……!」


(逆だろ)


男は小袋を差し出す。


「こちらを。謝礼にございます」


袋を開くと金貨がぎっしり。


「……多くね?」


職員が覗いて息を呑む。


「金貨五十枚はありますね……」


「ご、五十!?」


薬草収入の倍近い。


ベルはカードに意識を向ける。


「これ、“◯”の結果だよな」


(ああ。“価値がある場所”の回収だ)


「価値、でっけぇ……」


男は再び頭を下げた。


「改めて感謝を」


「いや、たまたまだよ」


(半分は事実だ)


「黙れ!」


男は去っていく。

ギルドのざわめきがゆっくり戻る。


「相棒。◯、もう一回定義し直した方がいい気がする」


(同感だ。“金貨”も“運命”も入ってくる)


ベルは金貨袋の重みを握りしめた。


見えない“何か”が、確かに積み重なっていた。

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