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導くカードは正解を知らない  作者: さんご
第一章 導くカード

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7/20

地図に刻まれた“◯”と“✕

数ある物語の中から、本作を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。

この小さな物語が、あなたの日々にほんの少しでも彩りを添えられますように。

もし気に入っていただけましたら、ブックマークや感想をお寄せいただけると、作者にとって大きな励みとなります。

なお、全く別ジャンルの物語も公開しております。気分転換に違う世界を覗いてみたいときは、ぜひそちらもお楽しみください。

朝の森は、やけに清潔だった。

ダンジョンの湿気とは違う。命の匂いがする。


「……こういう仕事、久しぶりだな」


――薬草採取。

冒険者として最も基本で、最も安全……のはずの仕事。


「相棒。場所、分かるか?」


(試すのか)


「試す」


ベルが頼むと、視界が切り替わった。

森の風景の上に半透明の“地図”が重なる。


起伏、木々の密度、地形。

そして――点在する“◯”。


「うわ……便利……」


(視覚イメージの転送だ。言葉より精度が高い)


「……なんつーか、迷わねぇな」


(迷うタイプだろ、お前)


「うるせえ!」


だが、地図には異質な印が混ざっていた。


“✕”。


「これ何?」


(危険地点。近づくな)


「了解」


最寄りの◯へ向かう。

迷いがない。


「あった。これ薬草?」


(ああ。状態もいい。根を傷つけるな)


「了解、先生」


次へ、また次へ。

◯を辿るたび成果が増える。


「効率、やばいな……」


(無駄がない)


袋が膨らむ。

ベルは調子に乗りかけた。


「これなら誰にも負け――」


(慢心するな)


「はいはい」


その時、視界の端に✕が映る。


「……なあ、ちょっとだけ見ていい?」


(推奨しない)


「ちょっとだけ!」


(自己責任だぞ)


ベルは慎重に進路を変えた。

森の空気が変わる。

鳥の声が消えた。


(止まれ)


足を止めた瞬間、地面がわずかに沈んだ。


「――ッ!?」


ベルが飛び退く。

次の瞬間、バン、と乾いた音。

鋭い木の杭が地面から突き出た。


「トラップかよ!」


(“✕”の一つだ)


「さすが先生……」


(まだある。周囲、三箇所)


地図が強調され、見えなかった✕が浮かび上がる。


「……全部罠か」


(もしくはそれに類する危険)


「もう近づかねえ」


袋は満杯。

森の出口が見える。


「……いいな、これ。ちゃんと“組んでる”感じ」


(……ああ。悪くない)


◯と✕。

それは単なる記号ではなく、

二人の関係を“実務”に変える道標だった。


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