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導くカードは正解を知らない  作者: さんご
第一章 導くカード

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18/20

料理で世界を獲る少女

数ある物語の中から、本作を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。

この小さな物語が、あなたの日々にほんの少しでも彩りを添えられますように。

もし気に入っていただけましたら、ブックマークや感想をお寄せいただけると、作者にとって大きな励みとなります。

なお、全く別ジャンルの物語も公開しております。気分転換に違う世界を覗いてみたいときは、ぜひそちらもお楽しみください。

「……これは売れるわ」

翌朝。

エリナは昨夜作った“サンドイッチ”を見つめながら真顔で言った。


料理人たちは顔を見合わせる。


「売れる……ですか?」


「ええ。絶対」


目が妙に輝いていた。


(ろくな予感がしない)


「というわけで!料理で世界制覇よ!」


厨房が静まる。

使用人が一人、パンを落とした。


(発想が侵略者なんだよな、お前)


「侵略じゃないわ。美味しさによる平和的支配よ」


(言い方が変わっただけだ)


その日からエリナは暴れ始めた。

朝から厨房へ入り浸る。


「次!」

「次は何を作るの!?」


カードは淡々と知識を出す。

薄い生地に具材を包んで焼く料理。

肉と野菜の濃厚スープ。

冷たい果実菓子。

砂糖を焦がした焼き菓子。

芋を細く切って揚げたもの。


作る。

食べる。

騒ぎになる。


「なんだこの芋!」

「止まらない!」


噂が城下町へ流れる。

商人まで見物に来る。


エリナは止まれなかった。

止めると、思い出してしまうから。


ある夜。

厨房に誰もいなくなった後。

エリナは一人で机に向かっていた。

紙には料理の名前が並ぶ。


(……おい)


「なに?」


(休め)


「まだ平気」


(平気じゃない)


苛立ったようにペンを走らせる。


「やらなきゃ」


(何をだ)


「……役に立つこと」


ペン先が止まる。


「ベルは、私を助けて死んだ」


「なのに私、何もできなかった」


「せめて、何かしなきゃ」


「じゃないと……ベルが死んだ意味がなくなる」


静寂。


カードはしばらく黙っていた。


(勘違いするな)


「……え?」


(あいつは、“役に立つお前”を助けたんじゃない)


(泣いてても、失敗しても、お前だから助けた)


(死んだ意味を作ろうとするな。死は、そんなに便利なものじゃない)


エリナは唇を噛む。

涙が滲む。


(お前は、お前のために生きろ)


(その結果、誰かの役に立てたなら、それで十分だ)


エリナは机に突っ伏した。

泣き声は出なかった。

ただ静かに肩だけが震えていた。

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