小話 真顔で笑えた
―――アカside―――
「よーし、それじゃ、オディリアに乗るメンバーはこれで決定だな」
重ねた訓練に試験、へっとへとでへたばってるやつらに向かって満面の笑顔を向けながら、隣で情報を整理してるキーを横目にメンバーの名前をつらつら並べていく。
いつでもどこにでも、シロの指示のもと先頭に立ってみんなを引っ張る。
シロの手で、星の爆発の熱を核に生み出された、正真正銘1番最初の天使、それが俺。
「んで隊長は俺、副はハイな。出発時間はいまから41時間後、名前を呼ばれた奴はそれまでに心も体も絶好調にしとくようになー」
声を震えさすな。
そう、これはいつもの神様からの突発イベントとそうかわらないさ。
笑顔だ笑顔。
そう、ほら見ろ、俺は疲れてないし、余裕もある。
いつも通りだろう?誰もなにも心配することなんてないさ。
時空の乱れにシロが巻き込まれて1人だけになってるなんてよくあることだ。
不安になる理由なんて頭から追い出せ。
いつもシロが座ってる場所にシロがいない、いつもの時間帯にシロからの連絡がない。
いつもと違ってシロの場所がわかるまで時間がかかってしまった、いつもと違ってシロと小まめな連絡が取れない。
「時間までに戻ってこなかった奴はおいてくかんなー。んじゃ、かっいさーん!」
選ばれた奴らがばらけて姿が見えなくなるとキーが肩に腕を回してきた。
「お?なんだなんだ、お疲れかー?」
「はぁ……………それはお前だろう」
「……………バレたか」
指摘されたとたんに、虚勢で体の端っこに押し込んで隠してた疲労が全身に戻ってきちまった。
より早く長く飛ぶために大きく成長したキーの翼に隠されながら自分の部屋への道を進んでいく。
「……………目の前の敵が道が、どんなに脅威であろうとも危険であろうとも、顔を上げればお前の背がある、振り返ればアオがいる、そしてシロの指先一つで足を進める。それがここハーベスティの基本ですべてだ。だからお前は見栄をはる」
「はははー、そんなそんな」
「今でこそクロが常にシロの隣だが、その前はお前だった。今だってなにか困ればとりあえずお前をメンバーにいれる。だからお前は恰好つける」
「―――――」
「俺は覚えている。右も左もわからず全てが文字通り手探りだった頃のことを。初めての敗戦の後に、落ち込んだシロを支えるアオがお前が、自分の在り方を決めた瞬間を。俺は見ていた」
ぽいっと寝台に雑に投げられた。
「お前らは隠すと決めた。自身の不安も恐怖も懸念も、すべて隠して皆の支えになることを。だから俺も決めた」
寝台の周りに適当に火属性向けの回復促進器具が乱雑に置かれていく。
「俺はすべてを知って、覚えて、記録して、お前らを支えると決めた。……………だから、俺の前で無理をするな、必要ない。頼れ、兄弟」
最後に投げられたかけ布団越しにキーが部屋から出ていった音を聞いた。
……………ははっ
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