なかなか波乱万丈人生では?
「謝る?なんで?ボクはまーさんとは今日が初対面だと思うんだけど」
「まーさん?私のこと?ふふ、新しいあだ名だわ。あのね、エリーのことなの」
「エリー……………あー、あの子、商会と領主の跡継ぎの」
小さな肩にたくさん背負いながら虚勢を張ってる姿が頭をよぎる。
「そう、そのエリーよ、私の素敵な幼馴染。エリーは遅くにできた1人娘でね、従妹のお兄様方とだいぶ年が離れているの。もう領主も商会もお兄様方が継ぐことがほぼ決定だったから最初は跡継ぎの話とは無縁だったのよ」
時々喉を潤しながらまーさんはエリーのことを話し続ける。
「お兄様方は跡継ぎとして王都の寄宿学校へ入られたけど、エリーは我が家が経営していた学校の花嫁科に入学したの。簡単な読み書きに計算、使用人の采配、社交なんかを学ぶ科で、領主としての勉強とは無縁だったの」
ん-、んー、ちょっと整理しよう。
エリーの祖父がそれなりに大きいらしいメルボール商会の会長。
その息子でエリーの父親が本店の店長、その奥さんがここソーニッジの領主の姉で、この夫妻はなかなか子供ができなかった。
話にはでてこないけどこの父親もたぶん1人息子なのかな?もしくはいてもそっちも子供がいないとか。
兄弟やその子供がいたらそっちを跡継ぎにするだろうし。
でもいないから、奥さんの弟である領主の子供が商会の跡継ぎとして決まった。
それからどれくらいの時間が経ったのかは知らないけどエリーが産まれた。
だけど決まっていた跡継ぎは変わらず、エリーはどこかに嫁入りさせる方向で話が進んだ。
「エリーのおじいさんはあちこちに支援を求めて走り回ってて、両親は出稼ぎって名目で逃げ出してる。従兄弟は王都で永久就職したようなものって言ってたから戻ってくる予定はない……………あれ?領主はなにしてるの?」
「……………」
2人に尋ねてみるも、まーさんはとびっきり愛らしい笑みを浮かべ、ブルレも奥歯に挟まったものがとれないみたいな変な顔するだけで答えは返ってこなかった。
「さぁ……………?なにしやがってるのかしら、ね?あの愚か者は」
「あぁ、うん、悪いこたぁ言わねぇ。他のやつらにも領主のことは聞くなよ」
うん、両親と同類かそれ以上のことしてそう。
面倒事は嫌だから領主の話は今後しないことにしよう。
「エリーが1人ここに残ることを選んで、最初につまずいたのは上に立つ者としての在り方なの。今まで学んできたのは全部支える者としての教えだったから。エリーが相談してくれた時にね、私、言ったの。えぇ、ちょっと前までこれが1番いい方法だって、心から思っていたのよ」
そう言ってそっと差し出されたのはドキワク☆冒険娘の初めて生活だった。
「この本に出てくる人をまねればいいわって」




