外から中身はわからないっぽい
「ねぇ、ブルレ。ブルレってば、これ」
「……………中身は、それなりに人気らしいぞ」
「マッスルプリンスが!?」
「生まれた時に短時間心肺停止してしまったためかうまく体が育たず、毎日10分ほどの散歩で息が切れててしまう第2王子様。ですがいつか、幼馴染の婚約者と舞踏会で踊りたいと努力する一途な日々を綴ったお話よ」
うふふーとカートを押しながら戻ってきた。
それぞれの前に木製のコップを置くと、人の頭ほどの大きさの小さな樽からひしゃくで水を注いでいく。
「……………こっちは?」
「周りにペコペコ頭を下げる商人のご両親に反抗して家を飛び出して冒険者になった女の子。ある日とある街で行われる大規模な魔物討伐作戦で怪我を負ってしまう。療養する中、絶え間なく運ばれてくる物資の運び手に両親を見つけ、両親に何度も頭を下げ感謝を告げる人々を見て、人と人の関わりについて考えていく、そんなお話」
「これは?」
「齢7つにして己以外の皇族が病気で亡くなってしまった元第19皇子の現皇帝。権力と欲に溺れた貴族によってぼろぼろになっていく国民と数少ない味方のため、1から新たな国を作ることを決意。貴族と手を組んだ者とそうでないものを選別し、準備を開始。大規模な集まりで貴族が酒におぼれているとある日、総勢2万人ほどによる大規模な夜逃げ作戦が始まる、っていうお話」
「……………タイトル、どうにかならなかったの」
「えぇ、どうにもならないわ。なにしろ、著者は私達と会話できる場所にいないんですもの」
どの本も同じ人が書いてるみたいだ。
指で示されたとこに書かれた著者のところにはプレイヤ99834とあった。
「たまにツクモ神様からプレイヤの民が書いた書物が届くの。同時に何冊複製してどこに配るみたいなイベクエも発生するの。ここにあるのはそういった本よ」
「なるほど……………」
そういえばゲーム内で自分の作品を投稿できるものがあった気がする。
ただゲームしにきてる人は作品をそんなに見ないし、普通に作品そのものを投稿するサイトのほうが閲覧数がいいとかで作品数はそんなに伸びなかったとかなんとか。
他にも電子書籍サイトが提供していた様々なシチュエーションで読書体験ができる期間限定VRイベントとか、そういったものから持ってきてるのかもしれないな。
「…ねぇ天使様、私、天使様に謝らなければとずっと思ってたの」
水を入れ終わるとく、く、……………あ、……………まーさんは椅子に腰かけた。




