空虚な図書室に残ってるもの
裏口らしきところから中に入るとブルレがちょっと体を斜めらせないと通れないような細い廊下だった。
さすがにボクを乗せたままだと通りにくいのか下におろされ、服の端っこをつかんで引っ張られる。
狭い廊下の先は本棚と思われる棚が数えきれないほど並んでる部屋だった。
棚と棚の間は人が2、3人は並んでも平気そうな程度は開いているためかそんなに圧迫感はない。
まぁ、圧迫感がない理由はそれだけじゃない。
本棚と思われる、といった通り本棚が本棚たるもの、つまりは本がないからだ。
棚の通路側の面にはなにかが掛けられていた跡が残っていてなにがあったのかはわからない。
見る者の気を引き締めるような荘厳な部屋だった?それとも訪れた人に安らぎをもたらすような部屋?
案内された部屋の片隅には唯一本の並んでる棚と小さな机とそれを囲む椅子が4脚あった。
「さぁ、こちらにどうぞ座ってくださいな?今お水を持ってきますから」
ぱたぱたと枯れ枝のような足を世話なく動かしてさっき通ってきた細い廊下とは別の、たぶん本来の正面出入り口のほうへかけていった。
「これ、売れるものはなんでも全部売ったって感じだけど、棚は売れる物じゃなかったのかな」
空の棚にそっと指を滑らせる。
どの棚もかなり木質がよさげだしささくれもない、さりげない細工も上品だ。
側面に残ってる跡を差し引いてもいい値段になりそうだけど。
「一番上の棚板の裏見てみな」
「棚板の裏?」
上を見て覗き込むとなにか紋章のようなものが目に入った。
幹の太い樹を中心にいろんな形の葉っぱが下から上へ包むように円をかいてる。
どの棚も同じものが同じ場所に彫り込まれてる。
「世界樹聖堂のギルド証だ。十何年か前にイベクエで大量の本棚を作ってあちこちの図書館に寄贈するってのがあったんだよ。世界樹聖堂が関わって対応したイベクエ関連で配られたもんには全部はいってる。そういうのは別のイベクエに使う可能性がたけぇから売ることは禁止されてる。そこだけ削って売ったところで、どこになにを渡したか、全部記録されてるからなー」
「なるほどねぇ……………」
ふと椅子と机も下から覗きのんでみると同じのが刻まれてた。
なるほど。
と、言うことはこっちの本にも――――。
ドキワク☆冒険娘の初めて生活
マッスルプリンス舞踏会
いと拙たし幼帝建国
「…………………………ねぇブルレ」
振り返ったら目をそらされた。




