涙1つ後回し
「前にお母様に連れられて行った王都で会った同い年の子達はまだ遊んでるのかなとか、お爺様はまだ帰ってこないのかなとか、お父様お母様はどうしてみんなを連れて行ってしまったのか、残ってくれたみんなだって頑張ってくれてるのに、なんで私ばっかりたいへんなんだろうって考えちゃったりして、でも弱音なんて見せられないわ。細くったって小さくたって、私がソーニッジの柱なんだもの。だからね、シロがどっかでは権力者だって言って、ちょっと気が楽になったのよ。あぁ私だけじゃない、私よりもっと小さい子だって頑張ってるんだって」
「…………………………」
エリーのほうが頑張ってる、なんて今は励ましの言葉にはならないだろうね。
耐えて踏ん張って頑張ってきて、今ここにいるんだ。
いつも周りが合わせてくれてたし、対人経験の薄い自分ではこういうときなんと言うのがいいのかわからない。
「はぁ……………さあって!じめじめは終わり!芋の整理だって続けなきゃいけないし見舞金だって捻出しなきゃ。カーキンの儀に出すノルマの代わりも確認して、税金の計算だってまだなんだもの!泣くのは後で!」
瞬き1つの間に、この前にみたままの勝気な女子の顔に戻った。
「……………強いなぁ」
空気になってたブルレの言葉にただ頷く。
腰掛けてた荷車の番になったみたいなので、結んでた縄をほどいて場所を譲った。
慣れた手つきでブルレが持ち上げてくれたので遠慮なく背におぶさる。
「おチビちゃんはさ、ほんっっっとに自力で歩かないのなー」
どこが邪魔にならんかねーなんてブルレがきょろきょろしてたら、子供の質問責めからやっと解放されたらしいあーちゃんがにじりよってきた。
「いやー、子供って好奇心の塊だねぇ……………」
「最初に質問責めしてきた人がなんか言ってるよブルレ」
「鏡でも用意するか?」
鏡の代わりに剣の面を向けるブルレ。
あーちゃんはおやいい男がいる、なんてほざいてる。
「あのさ、あーちゃん」
「ん?このいい男になんだい?」
「聞きたいことがあるならはっきりしてくれないかな。うざったいんだよね、その視線」
「……………」
ブルレを登るしぐさ、言葉1つ、適当に置いた指の先にすらさりげなく視線を回してなにもないことを確認しては変なリズムでまばたきしてどっかに伝えてる。
「なにを気にしてるかしらないけどね、今ここにいるのは、迎えを待ち続けて帰り道を探すのをめんどくさがってるただの迷子だよ」




