めんどうでも生きる理由
「んー、そっか、そっか、迷子かぁ…………とは、なれないんだよねぇ」
とん、とあーちゃんが足踏みをしたら巨大なシャボン玉みたいなものに包まれた。
うっすらと水に浮かんだ油みたいな反射光が揺らめいている。
歩く速度に合わせてシャボン玉も移動するし、ブルレもまったく気にしてないところを見るに、本来は見えないものの可能性がある。
なんでボクに見えるのかはわからないけど。
「まぁ聞いていいならどんどん聞いちゃおうかなー。おチビちゃんはどっからきたん?お名前は?種族は?見た感じ鉱石っぽいけどゴーレムのお仲間?さっき雨降らせてたのおチビちゃんだよね?魔力使ってなかったって情報あるけどどういう力?なんか種族的な本能とかある?迷子ってことはお仲間がどっかにいるってことだよね?どこではぐれたん?その金縁イベクエはまだ起こさない感じ?」
あーちゃんの質問に反応してシャボン玉の光がボクの周りに集まってきた。
返事のためにちょっとあーと声を出したら頭の周りで急速回転し始め、なんか干渉しようとしてる感じがする。
状況的に自白効果とかかな。
しかし残念だったねあーちゃんこれ属性光でしょ、得意分野だ。
あ、それで見えるのかな?
ふっとろうそくを消す感覚で息をかければ簡単にシャボン玉ははじけて消えた。
にこにこしていたあーちゃんの顔が微かにひきつる。
「あー、ん、あー。まぁたまにはきちんとしますか……………めんどくさいけど」
ブルレから下りて少し服装を整える。
翼もきちんと3対戻して、だるだるしてる体勢も整えて、と。
―――アーヴィンside―――
うっそぉん。
靴に仕込んでたレデンタちゃんご自慢の「ちょっぉおっと素直になれる秘密の魔法」すっごいあっさり解除されちゃったんだけど?
ねーぇ、これ光の精霊とかみたいな高レベルの光耐性がないかぎりは破れないってすっごいどやってたよねぇ!?
それぐらいの耐性持ってるってこと!?
こっちが混乱してる間になんか身支度しだしたんだけど。
たまにはきちんとやるってなに、を
目があった。
さっきまでだるそうにしてた目がきちんと開かれて、こっちを見てる。
背中をしゃんと伸ばした小さな子。
でも幼くはない。
地面まであんまり日光が届かないみたいな深い森の奥で、わずかな木漏れ日を浴びて朝露が輝いてる苔みたいな色をした、でも不純物が一切ない水みたいに澄みきった瞳が、
「ボクは世界『ユグドラシルガーデン』の第6領域内空間番号2451番、通称ハーベスティのシロロベンゼン。かみさまの手により創られた数多の上級天使のうちの1体。ボクらの生きる理由、生まれた定めはただ1つ」
きらきら、
「かみさまの願いを叶える。それがすべてだ」




