初めてのでぇとは波乱万丈 に
自販機を背にした慧ちゃんを、3人の女性が囲んでる。
フルメイクで髪もくるくるふわふわ。清楚でさりげな露出アピールのワンピースにピンヒール。遊びにくるとこ間違ってないか?
どう見ても合コンとかに行くような恰好である。そもそも運動しに来たわけじゃないだろう、ここはカラオケとかもあるし。なのにアクティブスペースにいるってことは、最初から慧ちゃんを狙ってきたのかもしれない。
慧ちゃんが私から離れた瞬間を見逃さないあたり、捕獲者歴は長いんだろうか。肉食女子に暇と時間はないようだ。てか、イケメンなら誰でもいいんかい。
「慧ちゃん」
観察をやめて声をかけたのは、ペットボトルをくるくる回してた慧ちゃんが見るからに不機嫌になってきたから。背後に真っ黒なオーラが溢れてきてるよ、慧ちゃん。
「瑞癸」
……反則じゃね? そんな嬉しそうに笑うことないじゃん。
ハンターの囲いを一歩踏み出しただけで抜けた慧ちゃんは、そのまま私をエスコートして歩き出す。止まらないままの流れるような動きだった。よっぽどイヤだったんだね、うんわかります。
「え、ちょっとぉ」
「待ってよ!」
「ウチらまだ話してるじゃん」
清楚系なわりに、話し方はギャルっぽいな。足音うるさく追いかけてくるのがわかる。出た方がいいかなぁ。まだ遊び足りないのにな。
「ねえ!」
「そんな子供じゃ遊べないでしょ!?」
回り込まれて足が止まる。隣で舌打ちが聞こえた。不機嫌マックスである。
「あなたもさぁ、わかるでしょ? 大人は大人同士の方が自然だって」
大人はカップルに割り込んだりしないと思うけど。慧ちゃんを見ようよ、あなた達に落とせる相手じゃないよ?
「慧ちゃん」
「うん、奏喜かな」
慧ちゃんと私のスマホが震えっぱなしなのは、間違いなく兄だろう。
「あの人千里眼でも持ってるのかな」
「あれの感は当たるからね」
「返事どうしよう」
「写真でも送ったらいいよ」
「そか」
慧ちゃんとツーショットでいいかな。
「ちょっと! なにムシしてんの?」
気づいたか。意図的だよもちろん。相手にするだけ無駄な案件だもの。
「無視もなにも、俺はあんた達なんて相手にする気がないんだよ。むしろ恋人との大事な時間を邪魔されて怒りしかないんだよ。どうしてくれるの?」
責任、とってくれるんだよな?
それはそれは恐ろしい、魔王の宣告が聞こえた。
まだ続きます。




