初めてのでぇとは波乱万丈 いち
お久しぶりです。でぇと編です。
ある日、家に帰ったら当たり前のように慧ちゃんがいたのさ。
「瑞癸、今度デートしよう」
「ほぇ!?」
私が固まったのは言うまでもないが、父は凍った。後から聞いたらしい兄は膝から崩れ落ちたそうだ。衝撃ねぇ、と笑う母はいつでも最強説。
デートだと動揺してる私をよそに、妹の由癸はマイペースだった。私の服を物色すると、あれやこれとコーディネートを3パターン用意。場所が決まると、私の服も決まった。由癸すげぇ。
そんなわけで、今日の私は白シャツにデニムのロールアップ、紺のロングカーディガンだ。うむ、シンプル。
出迎えた私を見た慧ちゃんが、私を上から下まで見て満面の笑顔になった。イケメンの爽やか笑顔ってば凶器。
デート場所はアミューズメントパークだった。慧ちゃん曰く、堅苦しい場所だと私が固まって楽しくないから。よくわかってらっしゃるー。
最初にボーリングに行った。フォームが完璧な慧ちゃんに勝てるわけなかったよ。パーフェクトってどんだけー。
次はカラオケしてみたよ。採点方式だった。イケメンでイケボ。百点ってどんだけー。
スケートもしたよ。生まれたての小鹿になった私を軽やかに支える慧ちゃん。もしかしてジャンプとかもできますかそうですかー。
「慧ちゃんできないことないの?」
バスケットゴールにボールを投げてみる。外れて転がったボールを拾った慧ちゃんがシュートした。スリーポイントより外側からでも入るって、しかもリングに当たらずパシュって、パシュって。
「あるよ。瑞癸に気づいてもらえなかった」
「いや、それ違うし」
「あんなにあからさまだったのになぁ」
「……ちょっとなに言ってるかわかんないなぁ」
こんなパーフェクトなイケメン腹黒が、なぜに私を選んだのか。謎解きは無理ー。考えるだけ無駄、慧ちゃんの思考回路は私にしたら迷路だから。
休憩しようと飲み物を買いに行った慧ちゃんを見送る。ジェンドルだ、ジェントルマンがいるわ。Tシャツにジーンズなのに、イケメン度が下がらない。なーぜー。
ベンチに座って慧ちゃんを待つ間、なぜか隣に座る男達がいた。にやにやしながらお互いの肩をど突き合ってるけど、なにがしたいのさ。
「あ、あのさ!」
「え、ちょっ」
誰かに向けた声がしたけど、その時には私は立ち上がっていた。慧ちゃん遅いしこんなのといたらなにするかわからない。慧ちゃんがね!
その慧ちゃん。自販機の前で女性3人組にナンパされてやがったわ。どうしてくれようか。
続きます。




