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関係ないだろ

 昼休み。


 隣の席の彼女は、

 昨日と同じカーディガンを着ていた。


「それ、昨日も着てなかった?」


 後ろの席の声。


「服、それ一着しかないの?」


 笑い声。

 彼女は何も言わない。


「毎日同じって、不潔じゃない?」


 俺は箸を置いた。


「――それ」


 視線が集まる。


「何着てようと、

 お前らに関係ないだろ」


 一瞬、教室が静かになる。


「人の服より、

 自分の服を気にしろよ」


 それだけ言って、

 俺はそれ以上続けなかった。


 話題は、自然に流れた。


 誰も彼女の服を見なくなった。


「……ありがとう」


 小さな声。


「礼はいらない」


 間を置かずに言う。


「あいつらがウザかっただけだ」


 彼女は何も言わず、

 ただ一度だけ頷いた。


 昼休みが終わる。


 殴らなかった。

 説明もしなかった。


 それで、終わりだ。


話題は流れ、教室は元に戻った。


 ――さて。


(今のは、徳になるのか)


 すぐに、その考えを切り替える。


(違う。

 徳を積むには、

 次にどうするかだ)


 俺はそれ以上考えず、

 弁当の蓋を閉じた。



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