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第一節 優等生エリシア
灰銀のフェンリル出現――。
その噂は、一日で王国中に広がった。
王国議会は緊急招集。教会は神罰認定。軍部は最悪の戦争を想定した。
学院は大混乱。
教師たちは会議室で怒鳴り合い、生徒たちは興奮気味に噂話を続けている。
しかし、当の本人は学院屋上で寝転がっていた。
「眠い」
その隣には、小型化したフェンリル。
今は白い子狼ほどのサイズである。
『騒がしいな、人間ども』
「放っとけ」
フェンリルは呆れたように尻尾を振る。
『お前、昨日かなりやらかしたぞ』
「加減したって」
『校舎半壊は加減と言わん』
そんな会話をしていると。
屋上の扉が勢いよく開いた。
「レイン!!」
現れたのは銀髪の少女。エリシア・フォン・ルーヴェルト。
学院最強と名高い優等生だった。
「探したわよ!」
「何」
「何じゃないわよ!!」
エリシアはレインを指差した。
「あなた何者なの!?」
「学生」
「フェンリル従えてる時点で学生じゃないのよ!!」
フェンリルが鼻を鳴らす。
『うるさい女だ』
「しゃ、喋った!?」
「そりゃ喋るだろ」
「普通の幻獣は喋らないの!!」
エリシアは頭を抱えた。
その時だった。
フェンリルがふと空を見上げる。
金色の瞳が細まった。
『……来るな』




