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第一節 魔力測定”零”

王立魔導学院――。


王国最高峰の魔術師育成機関において、レイン・アルヴァスは有名人だった。

もちろん、悪い意味で。


「また魔力測定“零”かよ」

「ほんとに学院生なの、あいつ?」

「入学試験で何か不正したんじゃない?」


教室の後ろ。

黒髪の少年は、窓際で頬杖をついたまま欠伸をした。


レイン。

十七歳。

成績は最下位。

実技も最低評価。


魔力量に至っては、測定器が毎回反応しない。

――正確には、壊れる。だが学院側は偶然の故障として処理していた。

教師からは問題児扱いされ、生徒からは笑い者。

だが本人は、まるで気にしていなかった。


「レイン!」

怒鳴り声とともに杖が机を叩く。

炎術担当のバルグ教師だった。


「授業中に寝るとは何事だ!」

「起きてますよ」

「目を閉じていた!」

「省エネです」


教室が笑いに包まれる。

バルグ教師は青筋を浮かべた。

「ならば実践してみろ! 初級炎魔法、《フレア》!」


レインは眠たげに立ち上がる。

指先を軽く動かした。

ぼっ。

小さな火が灯る。

親指ほどの炎。


しょぼい。

あまりにもしょぼかった。


「料理用か?」

「焚き火にもならないじゃん」

再び爆笑。


バルグ教師は鼻を鳴らす。

「見ろ! これが努力を怠った者の姿だ!」


レインは小さくため息をついた。

(本気出したら校舎どころか、都市が消えるんだっつーの)


もちろん、誰も信じない。

その時だった。


――ゴオオオオオオン!!


学院全体が激しく揺れた。

窓ガラスが無惨に砕け散り、学院に悲鳴が響く。


「な、何だ!?」

教師が顔を青くする。

直後、廊下の扉が勢いよく開いた。

「魔獣だ!! 結界を破られた!!」

その言葉で、教室の空気は凍りついた。


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