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神話の終わり

千年前。世界は滅びかけていた。これはしょうもない冗談ではない。事実だ。

空は縦横無尽に裂け、大地はうねりをあげるように燃え、海には黒い雨が降り続ける。


全ての原因は、“古代竜王”グラディウス。神代に生まれた最悪の災厄だった。


国は次々と滅び、英雄は奮闘するまでもなく死に、数千万の命が一瞬にして灰になった。

誰もが絶望した、その直後。


たった一人の魔導師が現れた。


黒髪の少年。

その隣には、灰銀の巨大な魔狼。

終焉級幻獣――フェンリル。


『本当にやるのか』

フェンリルが低く唸る。


少年は眠たそうに頭を掻いた。

「早く終わらせて寝たい」

『…一応世界の命運が懸かっているのだが』

「面倒だなぁ……」

そう呟いた少年は、空を見上げる。

彼はゆっくりと空へ手をかざした。


――《封界》。


空そのものが閉じはじめる。

神々の声が消えた。

世界から、”奇跡”そのものが失われていく。


世界最古にして、最強の禁忌。


古代竜王は封印され、世界は救われた。

だが、その代償として。少年は、仲間も居場所も失った。


そして、その名は歴史から消えた。

誰も彼を知らない。

しかし、一部の古き存在だけは、今でも彼を恐れている。


――”終焉の魔導師”レインを。



千年後。その“落ちこぼれ”は、魔導学院で昼寝をしていた。


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