↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何回、転生させたら気が済むんですの!?  作者: 一雲一人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/71

第65話 『創造主の不安』

創造主は見ていた。あっけなく帰ったシオン様一行の姿を。


そして思った──『きっと、旅が少し退屈だったのかな?』と。



――――――――――――



天界は大いに盛り上がっていた。


催された晩餐会では、シオン様たちの旅の思い出話に花が咲く。

特に鬼ヶ島でのドタバタ劇や、そこで出会った「刺身」と「醤油」、そして「味噌」の美味しさについての話題になると、三界の重鎮たちは「そんな美味しいものが存在するのか」「なんとか天界や魔界でも作れないものか」と身を乗り出して尋ねてきた。


するとシオン様は、異空間ストレージから保存されていた刺身の数々と、醤油、さらには『鍋ごと』温かい味噌汁を取り出し、「みなさまへのお土産ですわ」とテーブルへ振る舞ったのだった。


「「「う、美味すぎる……!!」」」


初めて口にする海の幸と発酵調味料の奥深い味わいに、三界の者たちは驚きを隠せない。


「これは『大豆』という穀物から作られているんですよ」


ジュンがそう解説すると、すかさず魔王代理バンガルが立ち上がった。


「大豆だな! 任せろ! シオン様一行が今度里帰りされるまでに、魔界の魔法技術を駆使して再現してみせますぞ!」


「ならば人間界からは、極上の大豆をふんだんに提供することを誓おう!」


ザートナル国王も力強く宣言し、自国の料理長へ研究用として少しばかりの醤油を持ち帰らせることにした。


「世界には、我々のまだ知らぬ『旨味』がこれほど存在していたとは……」


神々も感心しきりで、杯を重ねていく。


こうして、三界を巻き込んだ賑やかで美味しい晩餐会は、東の空が白む夜明けまで延々と続くのだった──。


実のところ、シオン様はこの味噌や醤油が至極お気に入りになり、「この三界の誰もがこんな美味しいものを食べられたら」と思い立っての里帰りだったのだと、仲間に告げるのだった。


「流石はシオン様だ、三界の幸せを祈ってのことだったのだ」と知った面々は、更なる忠誠を心に誓うのだった。


ピクシーのライトとレフトは、天界の上空を久しぶりに飛び回っている。


それを神々は見ぬふりをしつつも、目だけはしっかりと二人を凝視しているのだった。


その後、シオン様たちは人間界にある実家、ローザ伯爵家へも顔を出した。


「世界には、このような素晴らしい調味料もございますのよ」


シオン様が持ち帰った味噌と醤油を少し差し出すと、ガリレオ伯爵と妻のカーメラは目を見張って驚きを隠せないでいた。

これに激しいショックと感銘を受けた料理長は、「なんとか我が伯爵家でも再現できないか!」と熱意を燃やし、似た食材や原料を探させるために街の冒険者たちを雇い入れるほどだった。


──そんな狂乱の調理場で、ジュンはあるものに目をつけた。


新鮮な卵、上質な白ワインビネガー、岩塩、そして黄金色のオリーブオイル──。


(……待てよ? この材料が揃ってるってことは、あれが作れるんじゃないか?)


前世の記憶を頼りに、ジュンは調理場を少し借り受けると、卵黄に酢と塩を加え、オイルを少しずつ垂らしながら木べらと泡立て器でひたすらシャカシャカと混ぜ合わせた!


じっくりと乳化され、ドロッとした黄金色のペーストが完成する。

そう、禁断の万能調味料──『マヨネーズ』である!


ジュンが試しにふかし芋や生野菜にマヨネーズを添えてローザ伯爵夫妻に振る舞うと、館に激震が走った。


「な、なんだこのクリーミーで濃厚な味わいはぁぁッ!?」


「酸味とコクが絶妙ですわ! お肉にもお野菜にも合いますわ!!」


ガリレオ伯爵夫妻は目の色を変え、料理長に至っては「これぞ神のドレッシング……!」と感涙しながらジュンの足元にひれ伏し、必死にレシピをメモしていた。


……当然、この『マヨネーズ』の噂もあっという間に城へと伝わり、ザートナル国王の耳に届くこととなる。


「何!? 味噌と醤油に続き、ジュンの手によって新たな至高の調味料が誕生しただと!?」


こうして人間界では、大豆の確保だけでなく「養鶏(卵)」と「ビネガー・オイル生産」の強化命令まで発令されることとなった。


さらに事態をややこしくしたのが、魔界科学戦略室による『味噌マヨ』『醤油マヨ』の悪魔的融合ディップソースの開発だった。


「味噌・醤油派」と「マヨネーズ派」、そして「合体派」が入り乱れ、三界はまさに『二重の調味料争奪戦(抗争)』へと突入していったのである──!


とは言え、味噌や醤油が直ぐに出来るはずもなく!


当のシオン様といえば、そんな大騒ぎを余所に、屋敷で少し長めの休息……というか、のんびりとした生活を送っていた。その間にも、退屈しのぎに魔界、天界、人間界を何度も自由に行き来しては、各地のドタバタを楽しんでいる。


……とはいえ、醸造もマヨネーズの量産も、そう簡単にすぐ全国へ行き渡るはずもない。


それから一ヶ月ほどが過ぎた頃、すっかりリフレッシュしたシオン様一行は、再びあの転移陣を通って──果てしない砂漠の広がる、元の世界へと戻っていくのだが──。

シオン様は?なんと!突拍子もないルートの選択をするのだった。




(第66話へつづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。