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何回、転生させたら気が済むんですの!?  作者: 一雲一人


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第41話 『里帰りのような!か?』

ターコイズ色の明るい階段を降りて行くにつれ、水色の透き通るガラス張りの狭い通路へと繋がっていく。


気がつけば既に周りには水が無く、身体の動きにも違和感は無くなっていた。


真っ直ぐ続く通路の先には、人が一人通れるほどの狭い扉が見えている。


レオンが警戒したように呟いた。

「シオン様、何か嫌な予感が……!」


ジュンも頷く。

「僕もそんな気がする……。」


先頭を歩くレオンが、慎重に扉を開ける。

すると突然、目の前のすぐ向こう側に自分たち三人の姿が現れた!


「なっ、何ですかこれは! 姿見……?」

レオンが思わず身構える。


シオンが静かにそれを見つめた。

「鏡……ですわね。」


ジュンが周囲を見回しながら声を上げる。

「これ、鏡の迷路なんじゃ……?」


「そのようですわね。」

シオンが納得したように頷く。


「なんと……! これは迷宮の中の迷路ですか!?」


四方八方に自分たちの姿が映り込み、進むべき道が全く分からない。


「あ! いたたっ!!」


ジュンが目の前の鏡に勢いよく頭をぶつける。

痛む額を押さえながら、瞼を閉じて脳内のテレスコデバイスを起動した。


「ダメだ……! テレスコを使っても、視界に反射した三人の黒いマーカーしか表示されない!」


ジュンは焦ったように首を振る。


「周りには何も反応がない空間だ……。生命体や出口の位置だけでもマップに映れば助かるんだけど!」



シオンは困ったように首をかしげた。

「あら、困りましたわね……。私、色々と魔法は使えますけれど……壊すことなら簡単ですわよ?」


シオンが優雅に手をかざそうとした瞬間、レオンが慌てて両手を広げて制止した。


「いやいやいや! シオン様、待ってください! 下手に手を出したら、この迷宮ごと消し飛びかねませんぞ!? そんなことをされるくらいなら、手分けしてこの迷路を制覇しましょうぞ!」


シオンは扇子を口元にあて、クスリと微笑む。

「でしたら、お二人でそちらを。私はこちら側から探しますわ。」


そして、事も無げに恐ろしい条件を付け加えた。


「しばらく探して念話で確認出来なくなりましたら、ここへ全員強制的に魔法陣で呼び戻して、ディナーにいたしますわ。お分かりかしら?」


「きょ、強制召喚でディナー……!?」


ジュンとレオンは顔を見合わせた。


結局のところ、三人は恐らく十数日はこの迷路の中を探し回っていた。


(声が届かなくなるたびにシオンの魔法陣で強制召喚され、自分たちが四方八方映る部屋でディナーを囲む……というサイクルを繰り返しながらである)


「……っ、もうダメだ。鏡に映る自分と目が合いすぎて、精神的に限界だよ……。」


疲れ果てて膝をつくジュンの前に、突如として眩い魔法陣が展開される。

光の中から現れたのは、優雅に扇子をあおぐシオンと、疲れ切った表情のレオンだった。


この日もいつも通り、鏡を少し外した居住スペースにディナーの準備をしていた時のこと。

異空間に保管してあるあの卵から、コツコツと内側を叩くような音が響き始めた。


「いよいよ……孵化するのかもしれませんな!」

レオンとジュンが息をのむ。


だがシオンは、そんな卵の異変などどこ吹く風でお構いなしだった。


(この迷路を破る、何か良い方法は無いかしら……)


あれこれ思考を巡らせるが、流石のシオンも良い案が全く思いつかない。

そこで彼女はある決断に至った。


『神々の元へ戻って、使えそうな魔法が無いか調べてみようかしら』


果たして、この水底の迷宮から天界への転移陣など作れるものだろうか?

そんな二人の疑問をよそに、シオンは優雅に微笑みながら告げた。


「皆様、食事終わりましたら天界へ参りますわよ。少し調べ物がございますの。」


ジュンが思わず食べかけのフォークを止めて目を丸くする。

「て、天界……!? それって普通、死んでから行くところじゃないの!?」


一方で、レオンはどこか興味深そうに顎を撫でた。

「ほう……生きて行けるものなら、一度はお目にかかりたいものですな!」


「では、参りましょうか。」


三人はシオンが足元に描き出した眩い転移陣へ足を滑らせた。

瞬間、圧倒的な光が視界を埋め尽くし――次の瞬間には、雲の上にそびえ立つ天界の巨大な「転移門」の前へと到達していた!


そこへちょうど差し掛かったのは、神々の茶会へ招待されていた魔王代理・バンガル御一行であった。


「ぬ……っ!?」


かつて神界のモニター越しにシオンたちの無双ぶりを散々見せつけられていたバンガルは、目の前に現れた三人を見て驚愕で目を見開く。なぜここに怪物たちが!?と内心で冷や汗を流すバンガルだったが、彼らにとってシオンたちはもはや伝説の英雄のような存在。


バンガルは思わず、長年の旧友に会ったかのように親しげに声をかけてしまった。


「これはこれは……! なぜこんなところにおられるのだ!?」

……と、勢いよく声をかけたものの、シオンたちの放つ圧倒的なオーラを前に、バンガルは慌てて後ろに飛び跳ねて腰を抜かした。


シオンはまるで近所の知人にでも会ったかのように、気さくに扇子を振る。

「あら、お久しぶりですわね、ルールル……いえ、バン?ガル?だったかしら?」


「う、うむ! まぁ立ち話もなんですな!」

バンガルは冷や汗をかきつつも慌てて案内し、三人はバンガル御一行と共に、神々が待ち受ける神殿の大広間へと堂々と足を進めていくのだった――。


それを迎えたのは、天界に集う神々と、三至高神たちであった!


広間の扉が開いた瞬間、神々の一人が血相を変えて叫ぶ。

「シ、シオン様が……! シオン様とお供の者たちが来られたぞーーーっ!?」


静寂に包まれていた神殿が、一瞬で大パニックに陥る。


そんな狂乱の渦などどこ吹く風で、シオンは広間の中央へと優雅に歩み進め、眩い微笑みを浮かべた。


「あら、ちょうど良かったですわ。これからティータイムですの? ご一緒させていただきますわね。」


その一言に、神殿中の神々が悲鳴にも似た叫び声を上げた。


「最高級の茶葉と菓子を追加だ!!」

「椅子を! 椅子をもう一卓持ってこい!!」

「粗相のないようにしろ! 宮殿中の最高級品をかき集めろ――っ!!」


かつてないほどの大騒動と悲鳴が、天界の宮殿中にどこまでも響き渡るのだった。



(第42話へつづく)


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